日々の暮らしの中で、住まいの清潔さは快適さに直結します。しかし、仕事や育児で忙しい毎日を送る中で、隅々まで掃除を行き届かせるのは簡単なことではありません。特に、キッチンの頑固な油汚れや浴室のカビ、エアコンの内部など、自分ではなかなか掃除が難しい場所は、見て見ぬふりをしてしまいがちです。
そんな時に頼りになるのが、プロの技術で家を丸ごと綺麗にしてくれる「ハウスクリーニング」です。引越し時の退去清掃や入居前のクリーニング、年末の大掃除、定期的なメンテナンスなど、様々なシーンで活用されています。
しかし、いざ依頼しようと思っても「料金はいくらかかるのだろう?」「相場がわからなくて不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。ハウスクリーニングの料金は、間取りや汚れの度合い、依頼する業者によって大きく変動するため、事前に相場を把握しておくことが非常に重要です。
この記事では、ハウスクリーニングの料金相場がどのように決まるのかという仕組みから、間取り別・場所別の具体的な料金相場、費用を安く抑えるコツ、そして失敗しない業者の選び方まで、網羅的に詳しく解説します。これからハウスクリーニングの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ハウスクリーニングとは
まず初めに、「ハウスクリーニング」が具体的にどのようなサービスなのか、基本的な定義から確認していきましょう。ハウスクリーニングとは、専門的な知識、技術、そして専用の機材や洗剤を用いて、住宅の清掃を代行するサービスのことです。
単なる「家事代行」や「掃除代行」と混同されることもありますが、両者には明確な違いがあります。家事代行が、日常的な掃除・洗濯・料理といった普段の家事全般をサポートするサービスであるのに対し、ハウスクリーニングは「清掃」に特化しています。そして、その清掃レベルは、日常的な掃除とは一線を画す専門性の高いものです。
例えば、普段の掃除では落としきれない長年蓄積した汚れや、専門的な機器がなければ掃除できない箇所を徹底的に洗浄・クリーニングすることを目的としています。いわば、住まいの「大掃除」や「徹底洗浄」を専門家が行うサービスと考えると分かりやすいでしょう。
プロに頼むハウスクリーニングと自分でやる掃除の違い
では、プロに依頼するハウスクリーニングと、自分で行う普段の掃除では、具体的に何が違うのでしょうか。その違いは、主に「道具・洗剤」「技術・知識」「仕上がりのレベル」「作業範囲」の4つのポイントに集約されます。
比較項目 | プロのハウスクリーニング | 自分でやる掃除 |
---|---|---|
道具・洗剤 | 業務用の高圧洗浄機、スチームクリーナー、強力な専用洗剤など | 市販品の掃除機、雑巾、家庭用洗剤など |
技術・知識 | 汚れや素材に関する専門知識に基づいた分解洗浄や最適な薬剤の選定 | 一般的な知識の範囲内での拭き掃除やこすり洗い |
仕上がりのレベル | 衛生的な状態まで復元。素材を傷めず、汚れを根こそぎ除去 | 見た目がきれいになる程度。汚れが残ることが多い |
作業範囲 | エアコン内部、換気扇ファン、浴槽エプロン内部など分解が必要な箇所 | 普段手が届く、目に見える範囲が中心 |
① 道具・洗剤の違い
最大の違いは、使用する道具と洗剤にあります。私たちが普段の掃除で使うのは、スーパーやドラッグストアで購入できる市販の洗剤や掃除機、スポンジなどです。これらは安全性が高く誰でも手軽に使えるように作られていますが、その分、洗浄力には限界があります。
一方、プロのハウスクリーニング業者は、汚れの種類や素材に合わせて多種多様な業務用の専用洗剤を使い分けます。例えば、キッチンの油汚れにはアルカリ性の強力な洗剤、浴室の水垢には酸性の洗剤、カビには塩素系の強力な除去剤といった具合です。これらの洗剤は非常に強力なため、取り扱いには専門知識が必要ですが、市販品では落とせない頑固な汚れを根本から分解・除去できます。
また、高圧洗浄機やスチームクリーナー、ポリッシャーといった専用機材を駆使するのもプロならでは。エアコンの内部や排水管の奥、フローリングの黒ずみなど、人の手では届かない場所の汚れも、これらの機材を使えば一掃できます。
② 技術・知識の違い
長年の経験と専門的な研修で培われた技術力と知識も、プロと素人の大きな差です。ハウスクリーニングのプロは、汚れの成分だけでなく、清掃対象の「素材」に関する深い知識を持っています。
例えば、同じフローリングでも、無垢材、合板、クッションフロアでは適切な清掃方法や使用できる洗剤が全く異なります。知識がないまま強力な洗剤を使うと、変色や傷の原因になってしまうことも少なくありません。プロは素材の特性を的確に見極め、それを傷めることなく汚れだけを的確に除去する技術を持っています。
さらに、エアコンや換気扇、浴室の浴槽エプロンなどを分解して内部を洗浄する「分解洗浄」は、まさに専門技術の真骨頂です。構造を理解していなければ、故障の原因になったり、元に戻せなくなったりするリスクがありますが、プロは安全かつ確実に分解・組立を行い、内部の隅々まで洗浄します。
③ 仕上がりのレベルの違い
使用する道具や技術が違えば、当然、仕上がりのレベルも大きく変わります。自分で行う掃除は、主に「見た目をきれいにすること」がゴールになりがちです。しかし、プロのハウスクリーニングは、見た目はもちろんのこと、衛生面まで考慮した「徹底的なクリーン状態」を目指します。
例えば、浴室の黒カビを自分で掃除した場合、表面のカビは取れても、タイルの目地やパッキンの奥深くに根が残っていることが多く、すぐに再発してしまいます。プロは専用のカビ除去剤を浸透させ、根こそぎ死滅させることで、カビが再発しにくい環境を作ります。
また、キッチンクリーニングでは、コンロの焦げ付きや五徳の油汚れを専用の薬剤に付け置きして完全に除去し、新品のような輝きを取り戻します。これは単にきれいになるだけでなく、調理環境の衛生状態を向上させることにも繋がります。
④ 作業範囲の違い
自分で掃除できる範囲は、どうしても手が届く範囲や目に見える範囲に限られます。しかし、家の中の汚れは、見えない場所にこそ溜まっているものです。
ハウスクリーニングでは、普段の掃除では絶対に手が届かない、あるいは掃除しようとすら思わない場所まで作業範囲に含まれます。
代表的な例が以下の箇所です。
- エアコンの内部: フィンや送風ファンに溜まったカビやホコリ
- 換気扇(レンジフード)の内部: 分解しないと掃除できないシロッコファンやオイルトレー
- 浴室の浴槽エプロン内部: 湿気と汚れでカビの温床になりやすい浴槽の裏側
- 排水管の内部: 髪の毛や石鹸カスが溜まり、悪臭の原因となる排水管の奥
- 窓のサッシのレール: 砂埃や結露によるカビが固着した細かい部分
これらの箇所は、放置すると悪臭やアレルギーの原因、さらには機器の故障にも繋がる可能性があります。プロに依頼することで、こうした見えないリスクまで一掃できるのが、ハウスクリーニングの大きな価値と言えるでしょう。
ハウスクリーニングの料金相場が決まる仕組み
ハウスクリーニングの料金は、様々な要素が複雑に絡み合って決まります。なぜ業者によって料金が違うのか、なぜ同じ間取りでも料金が変わることがあるのか。その仕組みを理解しておくことで、見積もり内容を正しく判断し、納得のいく業者選びができます。料金を決定する主な要素は、「間取りや広さ」「汚れの度合い」「オプションの有無」「人件費や出張費」の4つです。
間取りや部屋の広さ
最も基本的で分かりやすい料金決定要素が、清掃対象となる物件の間取りや部屋の広さ(平米数)です。当然ながら、部屋が広く、数が多いほど、清掃すべき面積や箇所が増えるため、作業に必要な時間と人員も増加します。それに比例して料金も高くなるのが一般的です。
多くのハウスクリーニング業者では、賃貸物件の入退去時などに家全体を清掃する「空室クリーニング」プランを用意しており、その料金は「1R・1K」「1LDK」「2LDK」といった間取りごとに設定されています。戸建ての場合は、延床面積(㎡)に応じて料金が決まることもあります。
- 具体例:
- 1K(約25㎡)の空室クリーニング:30,000円~
- 2LDK(約60㎡)の空室クリーニング:60,000円~
- 4LDK(約90㎡)の空室クリーニング:100,000円~
このように、広さは料金のベースとなる部分であり、見積もりを取る際には、まず自分の住まいの間取りや広さを正確に伝えることが第一歩となります。
汚れの度合い
同じ間取りや広さの物件であっても、料金が変動する大きな要因が「汚れの度合い」です。ほとんどの業者の料金表に記載されているのは、あくまで「標準的な汚れ」を想定した価格です。長年掃除をしていなかったり、特殊な汚れがあったりする場合には、追加料金が発生することがあります。
標準的な汚れを超えるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- キッチンの油汚れ: 長年蓄積し、固着してしまったコンロ周りや換気扇の油汚れ。
- 浴室のカビ: 壁や天井、パッキンなどに広範囲にわたって根深く生えてしまった黒カビ。
- 水回りの水垢: 鏡や蛇口、シンクなどに、石のように固まってしまったウロコ状の水垢。
- タバコのヤニ: 壁紙や天井が黄ばみ、強い臭いが染み付いている場合。
- ペットの毛や臭い: 大量のペットの毛が残っていたり、おしっこなどの臭いが染み付いていたりする場合。
- ゴミ屋敷状態: 清掃の前に、まずゴミの片付けや処分が必要な場合。
これらの特殊な汚れは、通常よりも強力な洗剤を使用したり、作業工程が増えたり、清掃時間が長くなったりするため、その分の追加費用がかかります。多くの業者では、事前の見積もり(訪問または写真)で汚れの状況を確認し、追加料金の有無や金額を提示します。後々のトラブルを避けるためにも、汚れがひどいと感じる場合は、正直に申告しておくことが重要です。
オプションの有無
ハウスクリーニングの料金は、「基本プラン」と「オプション」で構成されています。基本プランに含まれる作業範囲は業者によって異なりますが、一般的には、水回り(キッチン、浴室、トイレ、洗面所)、窓ガラス、床、玄関などが含まれます。
一方で、より専門的な清掃や、基本プランには含まれない箇所の清掃は、「オプションサービス」として別途料金が設定されています。どのようなオプションを追加するかによって、最終的な支払額は大きく変わります。
代表的なオプションメニューには、以下のようなものがあります。
- エアコンの分解洗浄: 通常タイプ、お掃除機能付きタイプで料金が異なる。
- 浴室のエプロン内部高圧洗浄: カビの温床となりやすい浴槽の裏側を洗浄。
- 浴室乾燥機の分解洗浄: 内部のホコリやカビを除去。
- フローリングのワックスがけ: 古いワックスを剥離してから新しいワックスを塗布する「剥離ワックス」は料金が高くなる。
- 壁紙(クロス)のクリーニング: タバコのヤニ汚れや手垢などを専用の洗剤で洗浄。
- ベランダやバルコニーの高圧洗浄: 床面の土砂汚れやコケ、鳩のフンなどを洗浄。
- 消臭・除菌コーティング: カビの発生を抑制する防カビコーティングなど。
これらのオプションをどこまで依頼するかは、予算とニーズに応じて検討する必要があります。例えば、空室クリーニングを依頼する際に、次の入居者のためにエアコン内部もきれいにしておきたい場合は、エアコン洗浄をオプションで追加します。このように、自分の目的に合わせて必要なサービスを組み合わせることで、満足度の高いクリーニングが実現できます。
人件費や出張費
ハウスクリーニングの料金には、作業員の技術料である「人件費」や、業者が現場まで移動するための「出張費(交通費)」も含まれています。
- 人件費: 作業の難易度や必要な作業時間に応じて、投入される作業員の人数が変わります。広い家や汚れがひどい現場では、2名以上で作業にあたることもあり、その場合は人件費も増額されます。スタッフの技術レベルによっても人件費は変動します。
- 出張費: 多くの業者は「対応エリア」を設定しており、エリア内であれば出張費が無料、エリア外の場合は別途出張費がかかるという料金体系をとっています。また、都心部などでは、作業車両の駐車スペースがなく、近くのコインパーキングを利用した場合の「駐車場代」が実費で請求されることもあります。
これらの費用は、見積もりに「諸経費」として含まれている場合もあれば、別途請求される場合もあります。見積もりを確認する際には、出張費や駐車場代の扱いがどうなっているのかを必ず確認しましょう。自宅に駐車スペースがある場合は、その旨を事前に伝えておくとスムーズです。
これらの4つの要素が組み合わさって、最終的なハウスクリーニングの料金が決定されます。料金の安さだけで業者を選ぶのではなく、何にどれくらいの費用がかかっているのか、その内訳をしっかりと理解することが、失敗しないための鍵となります。
【間取り別】ハウスクリーニングの料金相場
ここからは、ハウスクリーニングを家全体で依頼する場合の料金相場を、間取り別に具体的に見ていきましょう。ここで紹介するのは、主に引越し前後などに利用される「空室クリーニング」の料金相場です。家具や荷物がない状態での清掃が前提となるため、在宅クリーニングよりも割安に設定されています。
料金は業者や地域、前述した汚れの度合いによって変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
間取り | 料金相場 | 作業時間の目安 | 主な作業範囲 |
---|---|---|---|
1R・1K | 25,000円 ~ 45,000円 | 3時間 ~ 5時間 | キッチン, 換気扇, 浴室, トイレ, 洗面所, 窓, 床, 玄関など |
1LDK・2K | 40,000円 ~ 70,000円 | 4時間 ~ 6時間 | 1R・1Kの範囲 + 居室・リビング |
2LDK・3K | 55,000円 ~ 95,000円 | 5時間 ~ 8時間 | 1LDK・2Kの範囲 + 居室追加 |
3LDK・4K | 75,000円 ~ 120,000円 | 6時間 ~ 1日 | 2LDK・3Kの範囲 + 居室追加 |
4LDK以上 | 90,000円 ~ 150,000円~ | 1日 ~ | 戸建てなど。広さにより個別見積もり |
1R・1K
一人暮らしの単身者に最も多い1R(ワンルーム)や1K(ワンケー)は、ハウスクリーニングの中でも依頼が多い間取りです。広さは20㎡~30㎡程度が一般的です。
料金相場は25,000円~45,000円程度です。
主に賃貸物件の退去時に、敷金をできるだけ多く返還してもらう目的で利用されるケースが多く見られます。また、新しく一人暮らしを始める際の入居前クリーニングとしても人気があります。
作業範囲は、キッチン、換気扇(レンジフード)、浴室、トイレ、洗面所の水回り一式に加え、窓・サッシ、フローリング、収納、玄関、ベランダ(簡易清掃)などが含まれるのが一般的です。コンパクトな分、作業時間は3~5時間程度で完了することが多いでしょう。
1LDK・2K
カップルや夫婦、小さなお子様がいるご家庭に多い1LDKや2Kの間取り。広さは35㎡~55㎡程度が中心です。
料金相場は40,000円~70,000円程度となります。
1R・1Kに比べてリビングダイニングや居室が増えるため、清掃範囲が広がり、料金も上がります。特にリビングは滞在時間が長く、食事をしたりくつろいだりするため、床や壁に汚れが付きやすい場所です。
作業範囲は1R・1Kの基本セットに加え、LDKスペースと寝室の清掃が入ります。部屋数が増える分、窓や収納の数も増えるため、作業時間は4~6時間ほどかかるのが一般的です。
2LDK・3K
ファミリー層に最も一般的な2LDKや3K。広さは55㎡~75㎡程度です。
料金相場は55,000円~95,000円程度と、価格帯の幅が広くなってきます。
部屋数が増え、家族の人数も多くなるため、汚れの種類や度合いも多様化する傾向にあります。子供部屋の落書きや食べこぼしのシミ、複数の部屋に設置されたエアコンなど、清掃箇所も複雑になります。
このクラスの間取りになると、オプションの要不要が料金に大きく影響します。例えば、各部屋のエアコンクリーニングや、フローリングのワックスがけなどを追加すると、料金は10万円を超えることもあります。作業時間も長く、5~8時間、場合によってはほぼ一日がかりの作業となるでしょう。
3LDK・4K
比較的広いマンションや、一般的な戸建て住宅に多い3LDKや4K。広さは70㎡~100㎡程度です。
料金相場は75,000円~120,000円程度が目安です。
この規模になると、浴室やトイレが2つあったり、階段や廊下の面積が広くなったりと、清掃箇所が大幅に増えます。そのため、料金も高額になる傾向があります。
特に戸建ての場合は、窓の数が多かったり、庭に面した大きな窓があったり、外回りの清掃が必要になったりと、マンションとは異なる要素が加わります。業者によっては「戸建てプラン」として別途料金設定をしている場合もあります。作業は2名以上で行われることが多く、丸一日かかるのが通常です。
4LDK以上
100㎡を超える広い戸建てやメゾネットタイプのマンションなど、4LDK以上の間取りの場合、料金は90,000円以上となり、多くは個別見積もりとなります。
「〇〇円~」という表記が多く、家の構造、窓の数、特殊な設備(吹き抜けなど)の有無、汚れ具合などを現地で確認した上で、正式な見積もり額が提示されます。
ここまで広いと、全ての箇所を完璧に清掃するには相当な時間と労力がかかります。そのため、全体クリーニングを依頼するよりも、「今回は水回り全体とリビング、来年は各居室と窓」というように、場所を絞って定期的に依頼する、という使い方も有効です。
これらの相場はあくまで基本料金であり、先述の通り、汚れの度合いやオプションの追加によって料金は変動します。正確な料金を知るためには、必ず複数の業者から見積もりを取って比較検討することが重要です。
【場所別】ハウスクリーニングの料金相場
家全体ではなく、特に汚れが気になる場所だけをピンポイントで依頼したい、というニーズも非常に多くあります。ここでは、場所別のハウスクリーニングの料金相場と、主な作業内容について解説します。セットプランを利用すると、個別に頼むよりも割安になることが多いです。
清掃場所 | 料金相場 | 作業時間の目安 | 主な作業内容 |
---|---|---|---|
キッチン | 15,000円 ~ 25,000円 | 2.5時間 ~ 4時間 | シンク, ガスコンロ, IH, 壁面, 吊戸棚, 排水口など |
換気扇・レンジフード | 13,000円 ~ 20,000円 | 2時間 ~ 3時間 | 分解洗浄(フィルター, ファン, 本体内部・外部) |
浴室(お風呂) | 15,000円 ~ 25,000円 | 2.5時間 ~ 4時間 | 浴槽, 壁面, 天井, 床, 鏡, 蛇口, ドア, 排水口など |
トイレ | 8,000円 ~ 15,000円 | 1時間 ~ 2時間 | 便器(内部・外部), 尿石除去, タンク表面, 床, 壁面など |
洗面所 | 8,000円 ~ 15,000円 | 1時間 ~ 2時間 | 洗面ボウル, 蛇口, 鏡, 収納棚表面, 床など |
エアコン | 10,000円 ~ 20,000円 | 1.5時間 ~ 3時間 | 本体カバー, フィルター, 内部高圧洗浄(アルミフィン, ファン) |
フローリング・床 | 1,000円~/畳(洗浄) | 部屋の広さによる | 専用機材による洗浄, ワックス塗布(オプション) |
窓・サッシ | 2,000円~/箇所 | サイズによる | ガラス両面, サッシ, レール, 網戸 |
ベランダ・バルコニー | 10,000円 ~ 20,000円 | 1時間 ~ 2.5時間 | 床面洗浄, 排水口・溝の清掃, 手すり拭き上げ |
キッチン
料金相場: 15,000円 ~ 25,000円
キッチンは家の中で最も汚れやすい場所の一つです。調理で飛び散る油、水垢、焦げ付きなど、様々な汚れが混在しています。
プロのクリーニングでは、シンクのヌメリや水垢、ガスコンロ(またはIHクッキングヒーター)の頑固な焦げ付き、壁面にこびりついた油汚れ、収納棚の表面の拭き掃除、排水口のぬめり除去まで、徹底的に行います。自分では掃除しにくい魚焼きグリル内部もきれいに洗浄してくれます。
換気扇・レンジフード
料金相場: 13,000円 ~ 20,000円
キッチンの掃除で最も手ごわいのが換気扇(レンジフード)です。油とホコリが結合して、ベトベトの非常に落としにくい汚れが溜まっています。
プロはフィルターやファン(プロペラファン、シロッコファン)といった部品を全て取り外し、専用の強力な洗剤に付け置きします。これにより、ファンの羽一枚一枚にこびりついた油汚れを完全に溶かし出します。本体の内部や外部もきれいに拭き上げ、元通りに組み立てて作業完了です。換気効率が改善し、嫌な臭いがなくなる効果も期待できます。
浴室(お風呂)
料金相場: 15,000円 ~ 25,000円
浴室は、湿気が多いためカビが発生しやすく、水垢や石鹸カス、皮脂汚れなどが複雑に絡み合った場所です。
プロは、浴槽、壁、天井、床、ドアなどに発生したカビを根こそぎ除去します。鏡にこびりついたウロコ状の水垢は、専用の研磨剤や酸性洗剤を使って傷をつけずに除去し、クリアな状態に戻します。蛇口周りのカリカリになった水垢もきれいに落とします。オプションで浴槽のエプロン内部を高圧洗浄すると、カビの根本的な原因を取り除くことができます。
トイレ
料金相場: 8,000円 ~ 15,000円
毎日使うトイレは、黄ばみや黒ずみ、尿石といった汚れが付きやすい場所です。特に便器のフチ裏やウォシュレットのノズル周りは、掃除がしにくく汚れが溜まりがちです。
プロは、市販の洗剤では落としきれない便器内部の頑固な尿石を、専用の酸性洗剤を使って完全に除去します。便座やウォシュレットも可能な範囲で分解し、普段は見えない部分の汚れまで丁寧に清掃します。壁や床の拭き掃除も含まれ、トイレ空間全体の嫌な臭いが解消されます。
洗面所
料金相場: 8,000円 ~ 15,000円
洗面所は、洗面ボウルの黒ずみや、蛇口周りの水垢、鏡の飛び散り汚れなどが主な悩みです。
プロは、洗面ボウルをピカピカに磨き上げ、蛇口の根元の固まった水垢もきれいに除去します。鏡も専用の洗剤で拭き上げ、水垢のないクリアな状態にします。収納棚の表面や床の拭き掃除も行い、清潔感のある空間を取り戻します。
エアコン
料金相場: 10,000円 ~ 20,000円(壁掛け通常タイプ)
エアコンは夏と冬に大活躍しますが、内部はホコリやカビの温床です。フィルターを掃除するだけでは、内部の汚れは取れません。
プロは、本体を専用のシートで養生し、内部の熱交換器(アルミフィン)や送風ファンに、高圧洗浄機で洗剤を噴射して徹底的に洗浄します。真っ黒な汚水が出てくる様子は衝撃的です。内部がきれいになることで、嫌なカビ臭さがなくなり、冷暖房の効率がアップして電気代の節約にも繋がります。お掃除機能付きのエアコンは、構造が複雑で分解に手間がかかるため、5,000円~10,000円程度の追加料金がかかるのが一般的です。
フローリング・床
料金相場: 1,000円~/畳(洗浄のみ)
フローリングは、足裏の皮脂汚れや食べこぼしなどで、徐々に黒ずんできます。
プロは、専用の洗浄機(ポリッシャーなど)と洗剤を使って、床全体の汚れを徹底的に洗浄します。その後、オプションでワックスを塗布すれば、床を傷や汚れから保護し、美しい光沢を蘇らせることができます。古いワックスが劣化している場合は、それを一度剥がしてから新しいワックスを塗る「剥離洗浄」が必要となり、料金は高くなります。
窓・サッシ
料金相場: 2,000円~/箇所
窓ガラスの汚れは、室内側は手垢やホコリ、室外側は雨だれや砂埃が原因です。掃除がしにくいサッシのレールには、土砂やホコリ、結露によるカビが溜まっています。
プロは、ガラスの両面を専用の道具(スクイジー)を使って拭き跡を残さずクリアに仕上げます。細かいサッシのレール部分も、ブラシや専用の機材で汚れをかき出し、きれいにします。網戸の洗浄もセットになっていることが多いです。
ベランダ・バルコニー
料金相場: 10,000円 ~ 20,000円
意外と汚れが溜まっているのがベランダやバルコニーです。排気ガスや砂埃、鳥のフンなどで床は真っ黒になりがちです。
プロは、高圧洗浄機を使って、床面のこびりついた汚れを強力に洗い流します。排水口や溝に溜まった落ち葉やゴミもきれいに取り除き、手すりの拭き上げも行います。
ハウスクリーニングを依頼するメリット
専門業者に費用を払ってまで家を掃除してもらうことに、ためらいを感じる方もいるかもしれません。しかし、ハウスクリーニングには、費用以上の価値をもたらす多くのメリットがあります。ここでは、代表的な4つのメリットを詳しく見ていきましょう。
プロの技術で徹底的にきれいになる
最大のメリットは、何と言っても素人では決して真似できないレベルで家が徹底的にきれいになることです。前述したように、プロは専門的な知識、専用の機材、そして強力な洗剤を駆使して、汚れの根本にアプローチします。
自分でいくら頑張ってこすっても落ちなかったキッチンの焦げ付きや、浴室のパッキンに根を張った黒カビが、まるで新品のようにきれいになった時の感動は、一度体験すると忘れられません。見た目が美しくなるだけでなく、カビ菌や雑菌が除去されることで、住まいが衛生的な環境に生まれ変わります。
この「仕上がりの質の高さ」は、ハウスクリーニングに投資する最も大きな価値と言えるでしょう。きれいになった状態を維持しようという意識も芽生え、日々の簡単な掃除だけで清潔さをキープしやすくなるという副次的な効果も期待できます。
掃除の時間と手間を節約できる
現代人にとって、「時間」は非常に貴重な資源です。共働き世帯や子育て中の家庭では、週末にまとまった掃除の時間を確保すること自体が難しい場合も少なくありません。もし貴重な休日を丸一日使って大掃除をしたとしても、心身ともに疲れ果ててしまい、かえってストレスが溜まってしまうこともあります。
ハウスクリーニングを依頼すれば、自分が掃除に費やすはずだった時間と労力を、まるごと節約できます。例えば、レンジフードと浴室のクリーニングをプロに任せたとします。自分でやれば半日以上かかる重労働ですが、プロに依頼すれば、その数時間で家族と出かけたり、趣味に没頭したり、あるいは単にゆっくりと休息したりと、時間を有効に活用できます。
これは、「時間をお金で買う」という考え方です。掃除という重労働から解放されることで得られる精神的な余裕や、家族と過ごすかけがえのない時間は、支払う料金以上の価値があると感じる人も多いでしょう。
自分では難しい場所も掃除できる
家の中には、専門的な知識や道具がなければ、物理的に掃除が不可能な場所や、下手に手を出すと危険な場所が存在します。
- エアコンの内部: 内部構造を知らずに分解すると、故障や感電、水漏れの原因になります。
- 換気扇のファン: 頑固な油汚れは強力な洗剤が必要ですが、素人が扱うと手荒れや素材の変色を招く恐れがあります。
- 浴室のエプロン内部: カビや雑菌の温床ですが、取り外し方が分からなかったり、重くて持ち上げられなかったりします。
- 高い場所にある窓や照明: 脚立を使っても届きにくく、転落の危険が伴います。
ハウスクリーニングを依頼することで、こうした素人には手が出せない「専門領域」の清掃を、安全かつ完璧に行ってもらえます。これらの場所は汚れが蓄積しやすく、放置すると健康被害や設備の不具合に繋がることもあるため、定期的にプロの力でリセットすることには大きな意味があります。
カビやアレルギー対策になる
室内のカビやハウスダストは、ぜんそくやアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患の悪化や、シックハウス症候群の原因になることが知られています。特に、小さなお子様や高齢者がいるご家庭、アレルギー体質の方がいるご家庭では、深刻な問題です。
ハウスクリーニングは、アレルギーの原因となるアレルゲンを根本から除去する上で非常に効果的です。
例えば、エアコン内部で繁殖したカビの胞子は、運転時に部屋中に撒き散らされます。プロによる高圧洗浄で内部のカビを一掃すれば、きれいな空気を送り出すことができます。また、カーペットや布製ソファのクリーニングでは、専用の機材で内部のダニの死骸やフン、ハウスダストを強力に吸引・除去します。
目に見える汚れだけでなく、健康を脅かす可能性のある見えない汚れまで取り除けることは、ハウスクリーニングがもたらす重要な健康上のメリットです。家族の健康を守るための投資と考えることもできるでしょう。
ハウスクリーニングを依頼するデメリット
多くのメリットがある一方で、ハウスクリーニングにはいくつかのデメリットや、依頼する前に知っておくべき注意点も存在します。メリットとデメリットの両方を理解した上で、自分にとって利用価値があるかどうかを判断することが大切です。
費用がかかる
最も分かりやすいデメリットは、当然ながら費用がかかることです。ここまで解説してきたように、ハウスクリーニングの料金は決して安いものではありません。場所別のクリーニングでも1箇所あたり1万円~2万円、家全体となると数万円から十数万円の出費になります。
この費用をどう捉えるかは、個人の価値観や経済状況によって大きく異なります。「プロの仕上がりと時間の節約を考えれば妥当」と考える人もいれば、「掃除にそれだけのお金をかけるのはもったいない」と感じる人もいるでしょう。
ただし、費用対効果(コストパフォーマンス)という視点で考えることも重要です。例えば、自分で高価な掃除道具や強力な洗剤を買い揃え、丸一日かけて掃除した結果、たいしてきれいにならなかった…というケースを考えると、初めからプロに任せた方が結果的に満足度が高く、無駄な出費や労力をかけずに済む、という見方もできます。
業者選びに手間がかかる
ハウスクリーニング業界には、全国展開の大手企業から、地域密着の個人経営店まで、非常に多くの業者が存在します。インターネットで検索すれば、無数の業者が見つかるでしょう。
選択肢が多いことはメリットである反面、「どの業者に頼めば良いのか分からない」という、業者選びの手間がかかるというデメリットにも繋がります。料金体系やサービス内容、技術レベルは業者によって千差万別です。中には、不当に高額な料金を請求したり、作業が雑だったりする悪質な業者が存在するのも事実です。
信頼できる優良な業者を見つけるためには、複数の業者のウェブサイトを比較したり、口コミを調べたり、相見積もりを取ったりと、ある程度の時間と労力が必要です。この手間を面倒に感じてしまう人もいるかもしれません。
他人を家に入れる必要がある
ハウスクリーニングを依頼するということは、見知らぬ作業スタッフを自宅に上げるということです。これに抵抗を感じる方、特に一人暮らしの女性や、プライバシーを重視する方にとっては、大きなデメリットとなり得ます。
作業中は、リビングやキッチン、寝室など、プライベートな空間を見られることになります。また、万が一の盗難や物損事故のリスクもゼロではありません。
こうした不安を解消するためには、事前の対策が重要です。
- 信頼できる業者を選ぶ: 口コミや実績をしっかり確認し、身元が確かな業者を選びましょう。
- 女性スタッフを指名する: 業者によっては、女性スタッフの指名が可能な場合があります。
- 貴重品は片付けておく: トラブルを未然に防ぐため、貴重品や見られたくないものは、作業範囲外の部屋に移動させたり、鍵のかかる場所に保管したりしておきましょう。
- 立ち会い: 可能であれば、作業中は在宅し、開始時と終了時には必ず立ち会って作業内容を確認することをおすすめします。
これらのデメリットは、適切な業者選びと事前の準備によって、ある程度は軽減することが可能です。デメリットを理解した上で対策を講じることが、安心してサービスを利用するための鍵となります。
ハウスクリーニングの料金を安く抑える5つのコツ
「ハウスクリーニングを利用したいけれど、やっぱり費用が気になる…」という方は多いはずです。ここでは、サービスの質を落とさずに、料金を少しでも安く抑えるための具体的な5つのコツをご紹介します。賢く利用して、お得に家をきれいにしましょう。
① 繁忙期を避けて依頼する
ハウスクリーニング業界には、依頼が集中する「繁忙期」と、比較的依頼が少ない「閑散期」があります。
- 繁忙期: 3月~4月(引越しシーズン)と11月~12月(大掃除シーズン)
- 閑散期: 上記以外の時期、特に5月~8月頃
繁忙期は、需要が高まるため料金が通常より高く設定されたり、割引キャンペーンが適用されなかったりすることがあります。また、予約が殺到するため、希望の日時に依頼できない可能性も高くなります。
一方で、閑散期には、業者も仕事を確保したいため、割引キャンペーンを実施したり、料金交渉に柔軟に応じてもらえたりすることがあります。「閑散期割引」や「夏場応援キャンペーン」などを狙って依頼するのが、最も手軽で効果的な節約術です。急ぎの依頼でなければ、あえて繁忙期を外して計画を立てることをおすすめします。
② お得なセットプランを利用する
多くのハウスクリーニング業者では、「水回りセット」や「在宅まるごとパック」のような、複数の場所のクリーニングを組み合わせたセットプランを用意しています。
例えば、「キッチン」「浴室」「トイレ」「洗面所」をそれぞれ単品で依頼すると合計で5万円かかるところを、「水回り4点セット」プランで依頼すると4万円になる、といった具合に、個別に頼むよりも大幅に割安になります。
特に汚れが気になる場所が複数ある場合は、セットプランの利用が断然お得です。エアコンクリーニングも「2台目以降割引」が設定されていることがほとんどなので、複数台ある場合はまとめて依頼すると良いでしょう。自分のニーズに合ったセットプランがないか、各業者のウェブサイトをチェックしてみましょう。
③ 複数社から見積もりをとる
これは最も重要かつ効果的な方法です。必ず2~3社以上の業者から見積もり(相見積もり)を取り、料金やサービス内容を比較検討しましょう。
同じ作業内容でも、業者によって見積もり金額は数千円から数万円単位で変わることがあります。1社だけの見積もりで決めてしまうと、その料金が相場と比べて高いのか安いのかを判断できません。
相見積もりを取る際のポイントは、単に総額の安さだけで比較しないことです。
- 見積もりの内訳は明確か?: 「一式」ではなく、どの作業にいくらかかるのかが記載されているか。
- 追加料金の条件は何か?: どのような場合に別料金が発生するのかが明記されているか。
- 作業範囲は同じか?: A社では標準の作業が、B社ではオプションになっていないか。
- 損害賠償保険に加入しているか?
- スタッフの対応は丁寧か?
これらの点を総合的に比較することで、料金とサービスのバランスが取れた、最もコストパフォーマンスの高い業者を見つけることができます。
④ キャンペーンを利用する
各業者は、新規顧客を獲得するために様々なキャンペーンを随時実施しています。これらを活用しない手はありません。
- 初回限定割引: 初めてその業者を利用する人向けの割引。
- 期間限定キャンペーン: 「春の引越し応援キャンペーン」「年末大掃除早割キャンペーン」など。
- Web申込割引: 電話ではなく、ウェブサイトのフォームから申し込むだけで適用される割引。
- SNSフォロー割引: 業者の公式SNSアカウントをフォローすることで受けられる割引。
これらのキャンペーン情報は、業者の公式サイトやチラシ、SNSなどで告知されています。依頼を検討している時期に、どのようなキャンペーンが実施されているかをこまめにチェックしてみましょう。
⑤ 定期的に依頼する
一見、費用がかさむように思えるかもしれませんが、長期的に見ると定期利用が節約に繋がる場合があります。多くの業者では、年に2回、四半期に1回といった定期利用の顧客向けに、通常よりも安い「定期割引料金」を設定しています。
さらに、定期的にプロのクリーニングを入れることで、汚れがひどく固着する前にリセットできるという大きなメリットがあります。汚れが軽いうちに清掃すれば、1回あたりの作業時間が短縮され、特殊な洗剤や作業も不要になるため、結果的に1回あたぁりの料金が安く済む可能性があります。また、汚れがひどくなってからの「スポット依頼」でかかる高額な追加料金を避けることにも繋がります。
きれいな状態を常に維持したい、という方には特におすすめの方法です。
失敗しないハウスクリーニング業者の選び方
料金を安く抑えることも大切ですが、それ以上に重要なのが「信頼できる業者」を選ぶことです。安かろう悪かろうでは、せっかくお金を払っても満足のいく結果は得られません。ここでは、後悔しないための業者選びのチェックポイントを6つご紹介します。
料金体系や見積もりが明確か
信頼できる業者は、料金体系が非常にクリアです。ウェブサイトやパンフレットに、各サービスの料金が明確に記載されています。
さらに重要なのが、見積書の内容です。「〇〇一式」といった曖昧な表記ではなく、「〇〇洗浄費」「〇〇オプション費」「出張費」「消費税」など、料金の内訳が細かく記載されている業者を選びましょう。
また、「汚れがひどい場合」「駐車スペースがない場合」など、どのようなケースで追加料金が発生するのか、その条件と金額が事前にきちんと説明されるかどうかも重要な判断基準です。質問に対して誠実に、分かりやすく回答してくれる業者であれば、安心して任せられる可能性が高いでしょう。
サービス内容や実績が豊富か
長年の運営実績があり、サービスメニューが豊富な業者は、それだけ多くの経験とノウハウを蓄積している証拠です。公式サイトに、具体的なサービス内容や、これまでの施工実績(一般的な写真など)が掲載されているかを確認しましょう。
対応できる汚れの種類や建物のタイプ(マンション、戸建て、店舗など)が幅広いほど、様々な状況に柔軟に対応できる技術力を持っていると考えられます。自分の悩みや家の状況に合ったサービスを提供しているか、しっかりと見極めましょう。
口コミや評判が良いか
実際にその業者を利用した人の声は、非常に参考になります。ただし、情報の取捨選択には注意が必要です。
特定の比較サイトだけでなく、Googleマップの口コミ、X(旧Twitter)などのSNS、個人のブログなど、複数の情報源をチェックして、総合的に判断することが大切です。
良い口コミばかりでなく、悪い口コミにも目を通してみましょう。その際、単に「悪かった」という感想だけでなく、「なぜ悪かったのか」という具体的な理由が書かれているかを重視します。クレームに対して業者がどのように対応しているか(返信しているかなど)も、その企業の姿勢を知る上で参考になります。
損害賠償保険に加入しているか
ハウスクリーニング作業中に、万が一、家具や家電、建具などが破損してしまう事故が起こる可能性はゼロではありません。このような不測の事態に備えて、信頼できる業者は必ず「損害賠償責任保険」に加入しています。
この保険に加入していれば、万が一の事故の際にも保険で補償してもらえます。公式サイトに「損害賠償保険加入済み」といった記載があるか、または見積もり時に直接確認しましょう。保険への加入を明言できない業者は、避けるのが賢明です。
スタッフの対応が丁寧か
実際に作業を行うのは「人」です。そのため、スタッフの対応品質は、サービスの満足度を大きく左右します。
最初の電話やメールでの問い合わせの段階から、その業者の姿勢は見えてきます。
言葉遣いは丁寧か、質問に対して的確に答えてくれるか、こちらの要望を親身に聞いてくれるか、といった点をチェックしましょう。高圧的な態度だったり、専門用語ばかりで説明が分かりにくかったりする業者は、避けた方が無難です。見積もりで訪問したスタッフの身だしなみや人柄も、重要な判断材料になります。
アフターフォローが充実しているか
優良な業者は、作業が終わればそれで終わり、ではありません。作業後の仕上がりに満足できなかった場合に備えた、アフターフォローや保証制度を設けていることが多いです。
例えば、「作業後1週間以内であれば、気になる箇所は無料で再作業します」といった「満足保証制度」があれば、非常に安心です。このような制度がある業者は、自社の技術力に自信を持っている証拠とも言えます。契約前に、アフターフォローの有無や内容についてもしっかりと確認しておきましょう。
ハウスクリーニング依頼時の注意点
信頼できる業者を選んだ後も、当日のトラブルを避け、スムーズに作業を進めてもらうためには、依頼者側でいくつか注意しておくべき点があります。事前に確認・準備しておくことで、お互いに気持ちよく作業を進めることができます。
作業範囲を事前に確認する
最もよくあるトラブルの一つが、「やってもらえると思っていた場所が掃除されていなかった」という認識のズレです。これを防ぐためには、契約前に、見積書に記載されている「作業範囲」を隅々まで確認し、どこからどこまでが料金に含まれているのかを業者と依頼者の双方で明確に合意しておくことが不可欠です。
例えば、「キッチンクリーニング」でも、収納の内部まで含まれるのか、表面の拭き掃除だけなのかは業者によって異なります。「ベランダ清掃」に網戸の洗浄は含まれるのか、といった細かい点も事前に確認しましょう。少しでも疑問に思う点があれば、契約前に必ず質問して解消しておくことが重要です。
追加料金の発生条件を確認する
基本料金の安さに惹かれて契約したものの、作業当日になって「汚れがひどいので追加料金が必要です」と言われ、最終的に高額な請求になってしまう、というトラブルも少なくありません。
このような事態を避けるため、どのような場合に、いくらの追加料金が発生する可能性があるのか、その条件を契約前に書面またはメールで確認しておきましょう。
信頼できる業者であれば、見積もりの段階で汚れの状態を確認し、追加料金の可能性について事前に説明があります。もし、当日現場で初めて追加料金の話をされた場合は、その場で即決せず、作業内容と金額に納得できるか冷静に判断し、納得できなければ断る勇気も必要です。
当日の立ち会いは必要か
作業当日の立ち会いの要否は、業者の方針や依頼内容によって異なります。
多くの業者では、作業開始前の打ち合わせ(作業内容の最終確認)と、作業完了後の仕上がり確認の際には、依頼者の立ち会いを必須としています。作業中の数時間については、外出しても問題ないケースがほとんどです。
ただし、貴重品の管理やセキュリティの観点から、在宅を希望する方もいるでしょう。また、ペットがいる場合や、途中で確認してほしいことがある場合なども、在宅していた方がスムーズです。当日のスケジュールをどうするか、立ち会いがどこまで必要かについては、事前に業者とよく相談しておきましょう。
貴重品は片付けておく
これは依頼者側のマナーであり、トラブルを未然に防ぐための自己防衛策でもあります。作業スタッフはプロであり、お客様の物に手を触れることはありませんが、万が一の紛失や破損のリスクをなくすためにも、現金、貴金属、有価証券、パソコン、大切な思い出の品といった貴重品や、壊れやすい骨董品などは、作業の邪魔にならない別の部屋に移動させるか、鍵のかかる場所に保管しておきましょう。
作業スペース周辺に物が散乱していると、作業効率が落ちたり、事故の原因になったりする可能性もあります。作業スタッフが動きやすいように、事前に簡単な片付けをしておくと、より丁寧で質の高いサービスを受けやすくなります。
ハウスクリーニング依頼から完了までの流れ
初めてハウスクリーニングを依頼する方のために、一般的な依頼から作業完了、支払いまでの流れを5つのステップで解説します。この流れを把握しておけば、初めてでも安心して手続きを進めることができます。
STEP1:業者を探して問い合わせる
まずは、依頼する業者を探します。インターネットで「ハウスクリーニング 地域名」などと検索したり、本記事で後述するような大手業者や比較サイトを利用したりして、候補をいくつかリストアップします。
気になる業者が見つかったら、公式サイトから電話または問い合わせフォームで連絡を取ります。この時、「清掃を希望する場所」「間取り」「建物の種類(マンション/戸建て)」「特に気になる汚れ」「希望の作業日時」などを伝えると、その後のやり取りがスムーズです。
STEP2:見積もりを依頼する
問い合わせ後、業者から見積もりのための連絡があります。見積もり方法は、主に以下の3パターンです。
- 電話・メールでの簡易見積もり: 汚れが軽度な場合や、場所別のクリーニングの場合。
- 写真での見積もり: スマホで撮影した汚れの箇所の写真を送付し、それをもとに見積もり。
- 訪問見積もり: 家全体や汚れが広範囲な場合。スタッフが実際に家を訪問し、状況を確認して正確な見積もりを算出。
正確な料金を知るためには、訪問見積もりが最も確実です。この時に、作業内容や追加料金、不明な点などを直接質問できます。「失敗しないハウスクリーニング業者の選び方」で解説したポイントを参考に、複数の業者から見積もりを取りましょう。
STEP3:契約する
提示された見積もり内容(料金、作業範囲、作業日時など)に納得できたら、正式に契約を結びます。電話やメールでの「お願いします」という意思表示で契約成立となる場合もあれば、契約書を取り交わす場合もあります。
契約が成立したら、作業日時を最終確定させます。キャンセルポリシー(いつからキャンセル料が発生するかなど)についても、この時点で確認しておくと安心です。
STEP4:クリーニング作業当日
予約した日時に、作業スタッフが訪問します。
まず、作業開始前に、依頼者立ち会いのもと、当日の作業内容や特にきれいにしてほしい箇所などの最終確認を行います。この時に、改めて貴重品の管理や触れてほしくない場所などを伝えておきましょう。
打ち合わせが終わったら、作業開始です。スタッフは、床や家具が汚れたり傷ついたりしないように、丁寧に養生(保護シートなどで覆うこと)をしてから作業に入ります。作業中の外出は可能な場合が多いですが、事前に確認しておきましょう。
STEP5:作業完了の確認と支払い
作業が完了したら、依頼者が立ち会い、清掃箇所を一つひとつ確認します。汚れがきちんと落ちているか、傷などがついていないか、自分の目でしっかりとチェックしましょう。
もし気になる点があれば、この場で遠慮なくスタッフに伝えます。優良な業者であれば、その場で手直しに応じてくれます。
全ての確認が終わり、仕上がりに満足したら、料金を支払います。支払い方法は、当日現金払いのほか、クレジットカード決済、後日銀行振込など、業者によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。領収書を受け取って、全工程が完了となります。
おすすめのハウスクリーニング業者3選
数あるハウスクリーニング業者の中から、どこを選べば良いか迷ってしまう方のために、全国的に知名度が高く、実績も豊富な代表的なサービスを3つご紹介します。それぞれの特徴を比較し、ご自身のニーズに合った業者選びの参考にしてください。
(※料金は2024年5月時点の公式サイトの情報を基にしており、変動する可能性があります。正確な情報は各公式サイトでご確認ください。)
サービス名 | 特徴 | 料金目安(エアコン壁掛け通常タイプ) | 料金目安(浴室) |
---|---|---|---|
おそうじ本舗 | 全国47都道府県に展開。店舗数が多く、独自の技術研修を受けたプロが対応。メニューが豊富。 | 12,100円~ | 16,500円~ |
ダスキン | 業界最大手の一つ。高い知名度と信頼性。独自の厳しい基準をクリアした資器材・薬剤を使用。 | 14,300円~ | 19,800円~ |
くらしのマーケット | 業者比較プラットフォーム。多数の個人・中小事業者が登録。口コミと料金で比較して選べる。 | 業者により異なる(8,000円前後~) | 業者により異なる(12,000円前後~) |
① おそうじ本舗
「おそうじ本舗」は、全国47都道府県に約1,900店舗(2024年1月時点)を展開する、業界最大級のハウスクリーニングチェーンです。その圧倒的なネットワークにより、都市部から地方まで、幅広いエリアでサービスを依頼できるのが大きな強みです。
全てのスタッフが、独自の厳しい技術研修・マナー研修を受けており、高い品質のサービスが期待できます。エアコンクリーニングでは、独自開発のファインバブル洗浄など、最新技術を積極的に導入しています。
メニューが非常に豊富で、基本的な水回りやエアコンはもちろん、お墓の掃除代行まで手掛けています。女性スタッフを希望できる「女性スタッフ派遣サービス」もあり、一人暮らしの女性でも安心して依頼できます。
参照:おそうじ本舗 公式サイト
② ダスキン
「ダスキン」は、清掃・衛生用品のレンタルサービスで広く知られる、業界のリーディングカンパニーです。その長年の歴史とブランド力は、安心と信頼の証と言えるでしょう。
ダスキンのハウスクリーニングは「サービスマスター」という名称で展開されており、厳しい社内ライセンスを取得したプロのスタッフが対応します。人体や環境への配慮を重視し、独自の厳しい基準をクリアした専用の資器材や薬剤を使用しているのが特徴です。
料金は他社に比べてやや高めに設定されていますが、その分、徹底した品質管理と丁寧なサービスに定評があります。見積もりから作業、アフターフォローまで一貫して高いレベルの対応を求める方におすすめです。
参照:ダスキン サービスマスター公式サイト
③ くらしのマーケット
「くらしのマーケット」は、上記2社とは異なり、ハウスクリーニングを始めとする様々な暮らしのサービスを提供する個人事業主や中小企業が登録している「プラットフォーム(市場)」です。
最大のメリットは、膨大な数の出店者の中から、料金、サービス内容、そして実際に利用したユーザーの口コミ評価を比較して、自分にぴったりの業者を自由に選べることです。大手よりもリーズナブルな価格でサービスを提供している業者も多く、予算を重視する方には特に魅力的な選択肢となります。
業者ごとの顔写真や実績、自己紹介なども確認できるため、人柄で選ぶことも可能です。万が一のトラブルに備えた「損害賠償補償」も用意されています。一方で、サービスの質は出店者によってばらつきがあるため、口コミ評価をしっかりと見極めることが重要になります。
参照:くらしのマーケット 公式サイト
ハウスクリーニングに関するよくある質問
最後に、ハウスクリーニングを依頼する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問や不安を解消して、安心してサービスを利用しましょう。
Q. 賃貸の退去時にハウスクリーニングは必須ですか?
A. 法律上は必ずしも必須ではありませんが、賃貸借契約書の内容によります。
借主には、部屋を退去する際に「原状回復義務」があります。しかし、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、普通に生活していて生じる汚れや傷(通常損耗・経年劣化)の修繕費用は、家賃に含まれるものとして大家さん(貸主)が負担すべきとされています。例えば、家具の設置による床のへこみや、日照による壁紙の色あせなどは、借主が費用を負担する必要はありません。
一方で、借主の故意・過失によって生じた傷や汚れ(例:タバコのヤニ汚れ、掃除を怠ったことによる頑固なカビや油汚れ、落書きなど)は、借主の負担で修繕する必要があります。
問題は、契約書に「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担とする」という特約がある場合です。この特約は、内容が合理的で、借主がその内容を理解し合意している場合は有効とされることが多いです。ただし、あまりに高額な費用を請求された場合は、交渉の余地があります。
結論として、まずは賃貸借契約書を確認し、「ハウスクリーニング特約」の有無をチェックすることが重要です。
Q. 作業時間はどれくらいかかりますか?
A. 依頼する場所や範囲、汚れの度合いによって大きく異なります。
あくまで一般的な目安ですが、以下の通りです。
- 場所別クリーニング:
- エアコン(通常タイプ): 1.5~2時間
- 換気扇・レンジフード: 2~3時間
- 浴室: 2.5~4時間
- キッチン: 2.5~4時間
- トイレ・洗面所: 各1~2時間
- 間取り別(空室)クリーニング:
- 1R・1K: 3~5時間
- 2LDK: 5~8時間
- 3LDK以上: 6時間~1日以上
これらは標準的な汚れの場合の目安です。汚れがひどい場合や、オプションを追加した場合は、さらに時間がかかることがあります。正確な作業時間は、見積もり時に業者に確認しましょう。
Q. 作業中は家にいる必要がありますか?
A. 多くの業者では、作業中の外出は可能です。ただし、開始時と終了時の立ち会いは必要です。
一般的には、作業開始前にスタッフと作業内容の最終確認を行い、作業完了後に仕上がりの確認をするため、その2つのタイミングで在宅している必要があります。その間の作業時間中は、外出しても問題ありません。
ただし、業者の方針や、オートロックマンションでインターホンの対応が必要な場合など、状況によっては在宅をお願いされることもあります。また、トラブル防止の観点から、貴重品の管理は自己責任となります。
作業中の立ち会いの要否については、契約前に業者に確認し、当日のスケジュールを調整しておくとスムーズです。