業務用洗濯機の価格とおすすめメーカー5選|家庭用との違いも解説

業務用洗濯機の価格とおすすめメーカー、家庭用との違いも解説

ホテルや病院、コインランドリーなどで日々大量の洗濯物を処理するために欠かせない「業務用洗濯機」。家庭用とは比較にならないほどの耐久性や洗浄力を備えていますが、その分価格も高く、種類も多岐にわたるため、どの製品を選べば良いか悩む方も多いでしょう。

この記事では、業務用洗濯機の基本的な知識から、家庭用との具体的な違い、失敗しないための選び方のポイント、さらにはおすすめのメーカーまで、網羅的に解説します。自社のニーズに最適な一台を見つけるための参考にしてください。

業務用洗濯機とは?

業務用洗濯機とは?

業務用洗濯機とは、商業目的や業務用途で、大量かつ高頻度の洗濯に対応するために設計された、高い耐久性と洗浄能力を持つ洗濯機のことを指します。ホテル、病院、介護施設、コインランドリー、クリーニング工場など、日々の運営において洗濯が不可欠な施設で広く利用されています。

家庭用洗濯機が1日に1〜2回の使用を想定しているのに対し、業務用洗濯機は1日に何十回という過酷な連続運転にも耐えうる堅牢な構造が特徴です。例えば、部品には摩耗に強い金属が多く使われ、モーターや駆動部も長時間の使用を前提とした高耐久仕様となっています。

また、単に大量に洗えるだけでなく、業務用途に特化した機能が搭載されている点も大きな違いです。医療・介護現場で求められる感染症対策のための高温洗浄や消毒機能、クリーニング店で必要とされる多様な素材に対応する細やかなプログラム設定機能、コインランドリーで必須の料金課金システムとの連携機能など、それぞれの現場のニーズに応えるための専門的な性能を備えています。

業務用洗濯機を導入する背景には、事業運営における「効率化」「品質向上」「衛生管理の徹底」といった明確な目的があります。例えば、宿泊施設では大量のシーツやタオルを短時間で清潔に洗い上げることで、顧客満足度と業務の回転率を向上させます。病院や介護施設では、徹底した衛生管理によって院内感染や集団感染のリスクを低減し、利用者や患者の安全を守るという重要な役割を担っています。

このように、業務用洗濯機は単なる「大きな洗濯機」ではなく、各業界のビジネスを支えるための専門的な設備と考えるのが適切です。そのため、導入を検討する際には、本体価格だけでなく、その性能が自社の業務にどのようなメリットをもたらすのか、長期的な視点で判断することが重要になります。

この記事を通じて、業務用洗濯機の持つポテンシャルを深く理解し、自社の課題を解決するための最適なパートナー選びを進めていきましょう。次の章では、業務用と家庭用の違いをより具体的に掘り下げて比較していきます。

ここが違う!業務用洗濯機と家庭用洗濯機の比較

業務用洗濯機と家庭用洗濯機は、見た目こそ似ていますが、その中身は全くの別物です。ここでは、「耐久性」「洗浄力」「容量」「時間」「機能」「価格」という6つの観点から、両者の決定的な違いを詳しく解説します。

比較項目 業務用洗濯機 家庭用洗濯機
耐久性 非常に高い。金属部品を多用し、1日数十回の連続運転を想定した堅牢設計。 標準的。プラスチック部品が多く、1日1〜2回の使用を想定。
洗浄力・衛生管理能力 極めて高い。高温洗浄、オゾン、電解水など専門的な衛生管理機能が充実。 高い。日常的な汚れに対応する標準的な洗浄プログラムが中心。
洗濯容量 大きい。10kg程度の小型機から100kgを超える超大型機まで幅広い。 比較的小さい。一般的に5kg〜12kg程度。
洗濯時間 短い。強力なモーターと大容量の給排水能力で業務効率を重視。 比較的長い。節水・省エネを重視したプログラムが多い。
搭載されている機能 業務特化型。プログラムのカスタマイズ、洗剤自動投入、決済連携など。 生活利便性追求型。おしゃれ着コース、予約タイマー、AIによる自動運転など。
本体価格 高価。数十万円から数千万円クラスまで。 比較的安価。数万円から数十万円程度。

耐久性

業務用と家庭用の最も大きな違いは「耐久性」にあります。家庭用洗濯機が1日に1〜2回の運転を想定し、耐用年数が6〜8年程度とされるのに対し、業務用洗濯機は1日に10回以上の連続運転という過酷な条件下での使用を前提に設計されています。

この圧倒的な耐久性を実現するため、業務用洗濯機は構造から異なります。心臓部であるモーターはパワフルで熱にも強く、長時間の連続稼働でも性能が落ちにくいものが採用されています。また、フレームやドラム(洗濯槽)、軸受けなどの主要部品には、プラスチックではなく頑丈な金属やステンレスが多用されており、物理的な摩耗や歪みに対して非常に強い耐性を持っています。

例えば、コインランドリーで24時間365日、不特定多数の利用者に使われることを想像してみてください。家庭用洗濯機では、数ヶ月も経たずに故障してしまう可能性が高いでしょう。業務用洗濯機は、このような厳しい環境下でも安定して稼働し続けることが求められるため、開発段階から厳しい耐久テストが繰り返されています。この「壊れにくさ」こそが、業務を止めないという信頼性に繋がり、業務用洗濯機の最大の価値の一つと言えます。

洗浄力と衛生管理能力

業務用洗濯機は、家庭では落としきれない特殊な汚れに対応し、かつ高度な衛生基準をクリアするための強力な洗浄力を備えています。

その一つが「高温洗浄機能」です。多くの業務用洗濯機では、給湯接続や内蔵ヒーターによって60℃以上の高温水で洗濯できます。これにより、皮脂汚れや油汚れを強力に分解するだけでなく、多くの細菌やウイルスを死滅・不活化させる熱消毒効果が期待できます。これは、特に感染症対策が重要となる病院や介護施設において不可欠な機能です。

さらに、一部の機種では「オゾン水洗浄」や「電解水(次亜塩素酸水)洗浄」といった、より高度な衛生管理機能が搭載されています。オゾンや電解水は強力な酸化作用を持ち、常温の水でも高い殺菌・消臭効果を発揮します。これにより、ユニフォームに染み付いた汗の臭いや、リネン類の雑菌の繁殖を根本から抑制できます。

家庭用洗濯機にも除菌や消臭を謳うコースはありますが、これらは主に銀イオンや温風を利用したもので、業務用レベルの厳格な衛生管理を目的としたものとは異なります。業務用の洗浄力とは、単に汚れを落とすだけでなく、目に見えない菌やウイルスまでコントロールする衛生管理能力を含む概念なのです。

洗濯容量

洗濯容量の違いは一目瞭然です。家庭用洗濯機の容量は、単身者向けの5kg前後からファミリー向けの12kg程度が主流です。一方、業務用洗濯機は、小規模な施設向けの10kg程度の小型モデルから、リネンサプライ工場などで使われる100kgを超える超大型モデルまで、非常に幅広いラインナップが揃っています。

この大容量により、一度に大量の洗濯物を処理できるため、業務効率が飛躍的に向上します。例えば、ベッド数50床のホテルの場合、1日に出るシーツやタオル、ガウンなどのリネン類は数百kgに及ぶことも珍しくありません。これを家庭用洗濯機で処理しようとすれば、何十回も洗濯機を回さなければならず、人件費と時間が膨大にかかってしまいます。

業務用洗濯機を導入することで、洗濯作業にかかる時間と労力を大幅に削減し、スタッフを他のより付加価値の高い業務に振り分けることが可能になります。自社の1日の洗濯物量を正確に把握し、それに適した容量の機種を選ぶことが、導入成功の第一歩となります。

洗濯時間

「時間はコスト」であるビジネスの現場において、洗濯時間の短縮は極めて重要です。業務用洗濯機は、この点でも家庭用を圧倒します。

家庭用洗濯機は、水道代や電気代を節約するため、少量の水を時間をかけて循環させることで洗浄力を確保する設計が主流です。そのため、標準コースでも1時間近くかかることが珍しくありません。

対して業務用洗濯機は、業務の回転率を最優先に考えられています。強力なモーターでドラムをダイナミックに回転させ、大口径の給排水バルブで一気に給水・排水を行います。内蔵ヒーター付きのモデルであれば、短時間で設定温度まで加熱することも可能です。これにより、洗濯からすすぎ、脱水までの一連の工程が非常にスピーディーに進み、標準的なコースであれば30分〜40分程度で完了する機種も多くあります。

この時間短縮は、コインランドリーの顧客満足度向上や、ホテルのリネン類の迅速な補充、クリーニング店の生産性向上に直結します。一日単位、一月単位で見れば、その差は膨大なものとなるでしょう。

搭載されている機能

業務用と家庭用の洗濯機では、搭載されている機能の方向性が根本的に異なります。家庭用洗濯機が目指すのは「家事の負担を軽減する生活利便性」であり、AIがお洗濯を最適化する機能、スマートフォンと連携して外出先から操作できる機能、デリケートな衣類を優しく洗う「おしゃれ着コース」などが充実しています。

一方、業務用洗濯機が追求するのは「業務の効率化と高度化」です。

  • プログラムのカスタマイズ機能: 洗濯物の種類や汚れの度合いに応じて、洗い時間、すすぎ回数、脱水時間、水温などを細かく設定し、オリジナルのコースとして登録できます。これにより、常に最適な条件で洗濯でき、品質の安定化とコスト削減に繋がります。
  • 洗剤・柔軟剤の自動投入装置: あらかじめタンクにセットしておいた液体洗剤や柔軟剤を、プログラムと連動して最適なタイミングで最適な量を自動投入します。これにより、スタッフによる計量の手間を省き、入れすぎや入れ忘れといった人為的ミスを防ぎます。
  • コインタイマー・決済システム連携: コインランドリー向けの機能で、硬貨やICカード、QRコード決済など、多様な支払い方法に対応します。売上管理や遠隔での稼働状況監視も可能になり、店舗運営を大幅に効率化します。

これらの機能は、家庭生活ではオーバースペックかもしれませんが、ビジネスの現場では生産性を大きく左右する重要な要素となります。

本体価格

これまでに述べたような高い耐久性、専門的な機能、高性能な部品の採用により、業務用洗濯機の本体価格は家庭用とは大きく異なります。

家庭用洗濯機が数万円から高くても20〜30万円程度で購入できるのに対し、業務用洗濯機は安価な小型モデルでも数十万円、中型〜大型モデルになると数百万円、時には一千万円を超えることもあります。

この価格差は、単なる性能差だけでなく、開発・製造にかかるコストの違いを反映したものです。一台一台が厳しい品質基準のもとで製造され、長期間にわたる安定稼働が保証されています。導入時には大きな投資となりますが、その後のランニングコスト削減効果や生産性向上、故障による業務停止リスクの低減などを考慮すれば、長期的な視点では十分に元が取れる設備投資と言えるでしょう。価格だけでなく、その機械がもたらすトータルな価値を見極めることが肝心です。

【容量・種類別】業務用洗濯機の価格相場

業務用洗濯機の導入を検討する上で、最も気になるのが価格でしょう。本体価格は、洗濯容量や機能、洗濯乾燥機かどうかによって大きく変動します。ここでは、容量や種類別の価格相場と、本体以外にかかる初期費用について解説します。

洗濯機の価格相場

まずは、乾燥機能が付いていない「洗濯脱水機」の価格相場です。容量が大きくなるほど価格は上昇します。

容量目安 価格相場(税別) 主な用途例
小型(〜15kg) 約50万円 〜 150万円 小規模な介護施設、美容室、飲食店、寮、部活動
中型(16kg〜30kg) 約150万円 〜 400万円 一般的なコインランドリー、中規模ホテル、病院、介護老人保健施設
大型(30kg以上) 約400万円 〜 大規模なリネンサプライ工場、クリーニング工場、大規模ホテル

小型(〜15kg)モデルは、比較的設置スペースも取らず、1日に処理する洗濯物量がそれほど多くない施設に適しています。例えば、美容室でのタオル洗濯や、飲食店のユニフォーム・ダスター洗濯などが典型的な用途です。家庭用からのステップアップとして導入されるケースも多く見られます。

中型(16kg〜30kg)は、業務用洗濯機の中で最も需要の多いボリュームゾーンです。コインランドリーでよく見かけるサイズであり、ホテルの客室リネンや病院の白衣、介護施設の入居者の衣類など、一定量の洗濯物を効率的に処理する必要がある現場で活躍します。機能も豊富で、各メーカーが最も力を入れているクラスです。

大型(30kg以上)になると、価格は一気に跳ね上がります。これは、もはや「設備」というより「プラント」に近い存在です。リネンサプライ工場のように、毎日数トン単位の洗濯物を処理する現場で、高い生産性を発揮します。機種によっては、洗濯物を自動で投入・排出するシステムと連携することも可能です。

※上記の価格はあくまで目安です。搭載機能(インバーター制御、衛生管理機能など)やメーカー、販売代理店によって価格は変動するため、正確な金額は必ず見積もりを取得して確認してください。

洗濯乾燥機の価格相場

次に、洗濯から乾燥までを一台で完結できる「洗濯乾燥機」の価格相場です。洗濯機と乾燥機の両方の機能を持つため、洗濯脱水機単体よりも高価になります。

容量目安 価格相場(税別) 特徴
小型(〜15kg) 約100万円 〜 250万円 洗濯から乾燥までを省スペースで完結できる。小規模施設向け。
中型(16kg〜30kg) 約250万円 〜 600万円 コインランドリーやホテルで主流。作業動線をシンプルにできる。

洗濯乾燥機は、洗濯機と乾燥機を別々に設置するスペースがない場合に大きなメリットがあります。洗濯物を移し替える手間が省けるため、スタッフの作業負担を軽減し、業務効率を向上させる効果も期待できます。

ただし、注意点もあります。一般的に、乾燥容量は洗濯容量よりも小さく設定されていることが多いです(例:洗濯15kg/乾燥8kg)。洗濯容量いっぱいに洗濯した場合、一度に全てを乾燥させることはできず、何回かに分ける必要があります。また、洗濯と乾燥が同時に進行できないため、大量の洗濯物を連続で処理したい場合は、洗濯機と乾燥機を別々に複数台導入した方が、全体の作業時間は短くなる可能性があります。自社の運用フローを考慮して、一体型とセパレート型のどちらが適しているかを慎重に検討しましょう。

導入時にかかる本体以外の費用

業務用洗濯機の導入には、本体価格以外にも様々な費用が発生します。これらを見落としていると、予算オーバーに陥る可能性があるため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。

  • 運送・搬入費:
    本体の重量やサイズ、設置場所の階数、搬入経路の状況によって費用は変動します。特に大型機の場合や、搬入口が狭くクレーンでの吊り上げが必要な場合は、高額になることがあります。
  • 設置・据付工事費:
    機器を水平に設置し、アンカーボルトで床に固定する作業の費用です。機器の転倒や振動による騒音を防ぐために不可欠な工事です。
  • 給排水設備工事費:
    既存の給水管や排水管の位置、口径が新しい機器に適合しない場合、配管の延長や分岐、改修工事が必要になります。特に、排水能力が不足していると、エラーの原因や水漏れに繋がるため、専門業者による確実な工事が求められます。
  • 電気・ガス設備工事費:
    業務用洗濯機は、家庭用とは異なる電圧(三相200Vなど)や高い電力を必要とすることがほとんどです。専用の電源回路を増設する電気工事が必要になる場合があります。また、ガス式の乾燥機や給湯接続を行う場合は、ガス配管工事も発生します。
  • 基礎工事費:
    設置場所の床の強度が不足している場合、機器の重量や運転時の振動に耐えられるように、コンクリートで基礎(土台)を作る工事が必要になることがあります。

これらの付帯工事費は、設置環境によって数十万円から百万円以上かかることもあります。そのため、必ずメーカーや販売代理店に現地調査を依頼し、本体価格と合わせた総額での見積もりを取得することが、失敗しないための鉄則です。

失敗しない業務用洗濯機の選び方6つのポイント

洗濯物の量に合った容量を選ぶ、乾燥機能が必要か考える、設置スペースと搬入経路を確認する、求める機能で選ぶ、給水・排水方法を確認する、メーカーのサポート体制で選ぶ

高価な設備投資である業務用洗濯機選びは、絶対に失敗したくありません。自社の状況に合わない製品を選んでしまうと、業務効率が上がらないばかりか、余計なコストがかかることにもなりかねません。ここでは、最適な一台を見つけるための6つの重要なポイントを解説します。

① 洗濯物の量に合った容量を選ぶ

最も基本的かつ重要なのが、「1日に処理する洗濯物の量(重量)」に合った容量の洗濯機を選ぶことです。

まずは、自社で1日に発生する洗濯物の総重量を把握することから始めましょう。

  • 宿泊施設の場合: 「客室数 × 1室あたりのリネン類(シーツ、カバー、タオル等)の重量」
  • 介護施設の場合: 「入居者数 × 1人あたりの衣類・タオル・シーツ等の重量」
  • 飲食店の場合: 「従業員数 × ユニフォームの重量 + 1日に使用するダスターやタオルの重量」

このように具体的な数値を算出します。その際、平均的な日だけでなく、最も洗濯物が多くなるピーク時を基準に考えることが重要です。例えばホテルなら、満室で稼働する週末や長期休暇の際の量を想定します。

容量が小さすぎると、何度も洗濯機を回す必要があり、時間と人件費、水道光熱費が無駄になります。逆に、大きすぎても、毎回少ない量で運転することになり、これもまた水道光熱費の無駄遣いに繋がります。また、本体価格も不必要に高くなってしまいます。

理想的なのは、ピーク時の洗濯物量を1〜3回程度の運転で処理できる容量を選ぶことです。さらに、将来的な事業拡大(客室数の増加やサービスの拡充など)の可能性も考慮し、少し余裕を持たせた容量を選んでおくと、後々の買い替えリスクを減らすことができます。

② 乾燥機能が必要か考える

洗濯機能だけでなく、乾燥機能まで必要かどうかは、業種や設置環境によって判断が分かれます。「洗濯乾燥機」と「洗濯機+乾燥機(セパレート)」のメリット・デメリットを理解し、自社に合った方式を選びましょう。

【洗濯乾燥機(一体型)のメリット】

  • 省スペース: 1台分のスペースで洗濯から乾燥まで完結できます。設置場所が限られている場合に最適です。
  • 作業効率の向上: 洗濯物を乾燥機に移し替える手間と時間がなくなり、スタッフの負担が軽減されます。
  • 導入コストの抑制: 高機能な洗濯機と乾燥機を別々に購入するより、トータルの導入コストを抑えられる場合があります。

【洗濯乾燥機(一体型)のデメリット】

  • 作業のボトルネック: 洗濯と乾燥を同時に行えないため、大量の洗濯物を次々と処理したい場合、乾燥が終わるまで次の洗濯を開始できません。
  • 容量の制限: 一般的に乾燥容量は洗濯容量より小さいため、洗濯物を一度に乾燥できない場合があります。
  • 故障時のリスク: 故障すると洗濯も乾燥もできなくなり、業務が完全にストップしてしまいます。

【洗濯機+乾燥機(セパレート型)のメリット】

  • 高い生産性: 洗濯機を回しながら、別の洗濯物を乾燥機にかけることができるため、大量の洗濯物を効率的に処理できます。
  • 柔軟な運用: 洗濯物の種類によって、自然乾燥と機械乾燥を使い分けるなど、柔軟な対応が可能です。
  • リスク分散: 片方が故障しても、もう片方は使えるため、業務が完全に停止するリスクを低減できます。

どちらが良いかは一概には言えません。例えば、省スペース性が最優先される都市部の小規模ホテルや美容室では洗濯乾燥機が、生産性を重視するコインランドリーやリネンサプライ工場ではセパレート型が選ばれる傾向にあります。

③ 設置スペースと搬入経路を確認する

製品カタログに記載されている本体サイズだけを見て「このスペースに収まる」と判断するのは危険です。実際に設置・使用するためには、本体寸法に加えて、十分な作業スペースとメンテナンススペースが必要になります。

  • 作業スペース: 洗濯機の扉を全開にできるか、洗濯物を出し入れする際にスタッフが無理なく動けるか、洗濯カゴを置く場所はあるか、といった動線を考慮します。
  • メンテナンススペース: 故障時の修理や定期メンテナンスのために、機器の背面や側面に人が入れる程度の空間(通常50cm以上)を確保する必要があります。

さらに、購入を決める前に必ず「搬入経路」の確認を行いましょう。

  • 経路の寸法: 設置場所までの通路、出入口、エレベーターの幅や高さを測定し、洗濯機が通過できるか確認します。
  • 床の耐荷重: 業務用洗濯機は非常に重く、水が入るとさらに重量が増します。特に2階以上に設置する場合は、床がその重量に耐えられるか、建物の設計者に確認が必要です。
  • 障害物: 階段の形状や踊り場の広さ、通路の曲がり角なども見落としがちなポイントです。

これらの確認を怠ると、「購入したのに搬入できない」「設置はできたが作業性が悪く使いにくい」といった最悪の事態に繋がりかねません。メーカーや販売代理店の担当者に現地調査を依頼し、プロの目で確認してもらうのが最も確実です。

④ 求める機能で選ぶ

業務用洗濯機には、業務効率や品質を向上させるための様々な機能が搭載されています。自社の目的や課題に合わせて、必要な機能を見極めましょう。

省エネ・節水性

業務用洗濯機は毎日長時間稼働するため、水道光熱費は重要なランニングコストになります。長期的な視点で見ると、省エネ・節水性能の高いモデルを選ぶことがトータルコストの削減に繋がります。

注目したいのが「インバーター制御」を搭載したモデルです。インバーターはモーターの回転数を洗濯物の量や工程に応じて細かく制御することで、電力の無駄をなくし、消費電力を大幅に削減します。また、運転音を静かにする効果もあります。導入時の価格は高くなる傾向がありますが、ランニングコストの削減分で数年で元が取れるケースも少なくありません。

衛生管理機能

特に病院、介護施設、食品工場など、高度な衛生管理が求められる現場では、洗浄力に加えて「除菌・殺菌機能」が必須となります。

  • 高温すすぎ/熱水消毒: 80℃以上の熱水ですすぎを行うことで、洗濯物を効果的に殺菌します。
  • オゾン洗浄: 強力な酸化力を持つオゾンを水に溶け込ませて洗浄することで、常温でも高い殺菌・消臭・漂白効果を発揮します。洗剤の使用量を減らせるメリットもあります。
  • 電解水洗浄: 水と塩を電気分解して生成される「電解水(次亜塩素酸水など)」を利用します。これも高い殺菌効果を持ち、ノロウイルスなどにも有効とされています。

これらの機能は、院内感染の防止やHACCP(ハサップ)対応など、事業所の信頼性を担保する上でも重要な役割を果たします。

⑤ 給水・排水方法を確認する

設置場所の設備状況に合わせて、適切な給水・排水方式のモデルを選ぶ必要があります。

  • 給水: 一般的なのは水道管に直接接続する「水道直結式」ですが、ボイラーなどからお湯を供給する「給湯接続式」もあります。給湯接続ができれば、洗濯機本体のヒーターで水を温める時間を短縮でき、洗濯時間の短縮と電気代の節約に繋がります。
  • 排水: 排水口が床面にある場合は「自然排水(重力排水)」方式で問題ありませんが、排水口が高い位置にある場合や、床に勾配がつけられない場合は、ポンプで強制的に排水する「ポンプアップ排水」方式のモデルを選ぶ必要があります。

契約前に設置場所の給排水設備を業者に確認してもらい、追加工事が必要かどうかを把握しておくことが大切です。

⑥ メーカーのサポート体制で選ぶ

業務用洗濯機は、一度導入すれば10年以上使用することも珍しくない高価な設備です。万が一の故障は、業務の停止という大きな損害に直結します。そのため、購入後のサポート体制やメンテナンスサービスは、製品の性能と同じくらい重要な選択基準となります。

  • 保証期間と内容: メーカー保証の期間はどのくらいか、保証の対象範囲はどこまでかを確認します。
  • メンテナンス体制: 定期的な保守点検の契約があるか。全国にサービス拠点があり、迅速に対応してくれるか。24時間365日対応のコールセンターがあるか、なども重要なポイントです。
  • 部品の供給期間: モデルが生産終了になった後も、修理用の部品をどのくらいの期間供給してくれるのかも確認しておくと安心です。

価格が安いという理由だけで知名度の低いメーカーや、サポート体制が不透明な業者から購入すると、いざという時に「修理を依頼できない」「部品が手に入らない」といった事態に陥るリスクがあります。信頼できるメーカーや販売代理店から、充実したアフターサービスを受けられる体制を整えておくことが、安心して長く使い続けるための鍵となります。

業務用洗濯機のおすすめメーカー5選

国内には、それぞれに強みを持つ業務用洗濯機メーカーが複数存在します。ここでは、業界で高い評価を得ている代表的な5つのメーカーの特徴をご紹介します。自社の業種や求める性能に合ったメーカーを見つける参考にしてください。

メーカー 主な強み・特徴 主なターゲット市場
TOSEI(トーセイ) IoT技術の先進性、豊富なラインナップ コインランドリー、クリーニング店、ホテル
Electrolux Professional グローバル基準のデザイン・環境性能 ホテル、レストラン、ヘルスケア
AQUA(アクア) 旧三洋電機の技術力、使いやすさ コインランドリー、小規模施設
山本製作所 大型・超大型機、高い生産性と耐久性 大規模リネンサプライ、クリーニング工場
SANEI(サンエイ) 福祉・介護向けの感染症対策機能 介護施設、病院、障がい者施設

① TOSEI(トーセイ)

株式会社TOSEIは、特にコインランドリー業界で圧倒的なシェアを誇るリーディングカンパニーです。長年培ってきた技術力と現場のニーズを的確に捉える開発力が強みで、洗濯機から乾燥機、洗濯乾燥機、さらには布団専用の洗濯乾燥機まで、非常に幅広い製品ラインナップを展開しています。

TOSEIの最大の特徴は、IoT技術を積極的に活用したソリューションにあります。スマートフォンアプリと連携し、利用者は空き状況の確認やキャッシュレス決済、運転終了通知の受け取りが可能です。一方、オーナーは店舗に行かなくても、遠隔で機器の稼働状況や売上を確認したり、エラー発生時に通知を受け取ったりできます。こうした先進的な機能は、店舗運営の効率化と顧客満足度の向上に大きく貢献しています。もちろん、ホテルや病院向けの機器も充実しており、その信頼性と先進性で多くの施設から支持されています。

参照: 株式会社TOSEI 公式サイト

② Electrolux Professional(エレクトロラックス・プロフェッショナル)

スウェーデンに本社を置くエレクトロラックス・プロフェッショナルは、世界150カ国以上で事業を展開するグローバルリーダーです。その製品は、洗練された北欧デザインと、厳しい国際基準をクリアする高い性能を両立しているのが特徴です。

特に、環境性能へのこだわりは特筆すべき点で、水やエネルギーの消費量を最小限に抑える技術に長けています。長期的なランニングコストの削減を重視する施設にとって、大きな魅力となるでしょう。また、世界中の衛生基準に関する知見を活かした「バリア(衛生)ランドリーシステム」は、汚染エリアと清潔エリアを物理的に分離することで、病院や介護施設における徹底した感染管理を実現します。デザイン性と機能性、そしてサステナビリティを高いレベルで求める施設におすすめのメーカーです。

参照: エレクトロラックス・プロフェッショナル・ジャパン株式会社 公式サイト

③ AQUA(アクア)

AQUAは、かつて業務用洗濯機で高い評価を得ていた三洋電機(SANYO)の事業を継承したメーカーです。その歴史の中で培われた高い技術力と信頼性を背景に、特にコインランドリー市場で根強い人気を誇ります。

AQUAの製品は、誰にでも直感的に使えるシンプルな操作性と、日々の過酷な使用に耐える堅牢な作りが特徴です。また、オゾンを利用して洗浄・すすぎを行う「電解水除菌システム」など、衛生意識の高まりに応える機能も搭載しています。近年では、集中精算システムやICカードシステムなど、店舗運営をサポートするソリューションも強化しており、オーナーにとっても利用者にとっても使いやすいランドリー環境の構築をサポートしています。実績と信頼性を重視するなら、有力な選択肢の一つとなるでしょう。

参照: アクア株式会社 公式サイト

④ 山本製作所

株式会社山本製作所は、クリーニング工場やリネンサプライ工場で使われる大型・超大型の業務用洗濯機(連続洗濯機など)を主力とする専門メーカーです。その名は一般にはあまり知られていませんが、プロフェッショナルの世界では絶大な信頼を得ています。

山本製作所の強みは、圧倒的な生産性と耐久性です。1時間に数トンの洗濯物を処理するような大規模工場において、24時間稼働を続けてもびくともしないタフな設計が特徴です。また、顧客の要望に応じて仕様をカスタマイズする対応力も高く、工場のレイアウトや生産フローに最適化された、まさに「オーダーメイド」のランドリーシステムを構築できます。一般的な業務用洗濯機では対応できない、極めて大量の洗濯物を処理する必要がある大規模事業者にとって、欠かせないパートナーと言えるでしょう。

参照: 株式会社山本製作所 公式サイト

⑤ SANEI(サンエイ)

株式会社SANEIは、特に病院や福祉・介護施設向けの業務用洗濯機に強みを持つメーカーです。施設の規模に合わせて選びやすい、比較的小型〜中型のラインナップを中心に展開しています。

SANEIの最大の特徴は、徹底した感染症対策機能の充実にあります。前述の「オゾン」や「電解水」を利用した洗浄・除菌システムをいち早く製品に採り入れ、業界をリードしてきました。これらの機能は、インフルエンザウイルスやノロウイルスなど、様々な菌やウイルスに対して効果を発揮し、施設内の衛生環境を高いレベルで維持するのに役立ちます。また、限られたスペースにも設置しやすいコンパクトな設計や、車椅子の利用者でも使いやすい操作パネルなど、福祉施設の現場の声を反映した製品開発を行っている点も高く評価されています。

参照: 株式会社SANEI 公式サイト

業務用洗濯機はどんな場所で使われている?

コインランドリー、ホテル・旅館などの宿泊施設、病院・介護施設、クリーニング店・リネンサプライ、スポーツ施設・工場

業務用洗濯機は、私たちの身近な施設から専門的な工場まで、社会の様々な場所で活躍しています。ここでは、主な使用シーンとその場所で求められる性能について解説します。

コインランドリー

最も身近な例がコインランドリーです。ここでは、家庭の洗濯機では洗えない羽毛布団やカーペットなどの大物洗いや、まとめ洗いのニーズに応えるため、10kgから30kg程度の中型〜大型の洗濯機や洗濯乾燥機が主流です。

コインランドリーで求められる性能は、

  • 高い耐久性: 不特定多数の利用者が24時間365日、様々な使い方をするため、極めて高い堅牢性が求められます。
  • 簡単な操作性: 初めて利用する人でも迷わず使える、シンプルで分かりやすい操作パネルが必要です。
  • 決済機能: 硬貨だけでなく、ICカードやQRコード決済など、多様な支払い方法に対応できるシステム連携が不可欠です。
  • 短い洗濯時間: 利用者の待ち時間を短縮し、店舗の回転率を上げるためのスピードも重要になります。

ホテル・旅館などの宿泊施設

ホテルや旅館では、毎日大量のシーツ、ピロケース、タオル、バスローブ、ガウンといったリネン類が発生します。これらを自社内で洗濯(内製化)するために業務用洗濯機が導入されます。

宿泊施設で求められる性能は、

  • 大容量と処理能力: 客室数に応じた大量の洗濯物を、チェックアウトから次のチェックインまでの限られた時間で処理するための大容量とスピードが求められます。
  • 仕上がりの品質: お客様が直接肌に触れるものだからこそ、ゴワゴワせず、ふんわりとした心地よい仕上がりにするための、高品質な洗浄・乾燥能力が必要です。
  • プログラムの多様性: リネン類だけでなく、レストランのテーブルクロスやスタッフのユニフォームなど、様々な種類の洗濯物に対応できる柔軟なプログラム設定が求められます。

病院・介護施設

病院や介護施設は、業務用洗濯機が最も重要な役割を担う現場の一つです。衣類やシーツに付着した血液や体液などのタンパク汚れを落とすだけでなく、院内感染や施設内感染を防ぐための徹底した衛生管理が最優先されます。

病院・介護施設で求められる性能は、

  • 高度な衛生管理機能: 細菌やウイルスを不活化させるための熱水消毒(高温洗浄)機能や、オゾン・電解水などによる殺菌機能が必須です。厚生労働省のガイドラインに準拠した性能が求められる場合もあります。
  • 汚染の拡散防止: 汚れた洗濯物と洗い上がった清潔な洗濯物が交差しないよう、投入側と取り出し側が分かれている「バリア(衛生)ランドリー」仕様の洗濯機が導入されることもあります。
  • 多様な素材への対応: 利用者の私物であるデリケートな衣類から、シーツ、タオルまで、様々な素材を傷めずに洗うための細やかな設定が必要です。

クリーニング店・リネンサプライ

クリーニング店や、ホテル・レストラン等にリネン類をレンタル・洗濯して納品するリネンサプライ工場は、まさに洗濯のプロフェッショナルです。家庭では実現できないレベルの洗浄品質と生産性が求められます。

クリーニング・リネンサプライ業界で求められる性能は、

  • 卓越した洗浄力: ワイシャツの襟汚れから、作業着の頑固な油汚れ、高級衣料のシミまで、あらゆる汚れを完璧に落とすための強力な洗浄能力が求められます。
  • 高い生産性: 利益を確保するため、いかに短時間で大量の洗濯物を処理できるかが重要です。大型機や、複数の洗濯槽が連結した「連続洗濯機」が活躍します。
  • コスト管理能力: 水、洗剤、エネルギーの使用量を最適化し、1枚あたりの洗濯コストをいかに低く抑えるかが、事業の競争力を左右します。

スポーツ施設・工場

スポーツジムやフィットネスクラブでは、レンタル用のウェアや大量のタオルの洗濯に利用されます。また、建設現場や食品工場、機械工場などでは、従業員の作業着を洗濯するために導入されます。

これらの現場で求められる性能は、

  • 特殊な汚れへの対応力: スポーツウェアに染み付いた汗や皮脂の臭いを強力に消臭する能力や、作業着に付着した泥、油、食品の汚れなどを確実に落とす特殊な洗浄プログラムが求められます。
  • 耐久性: 毎日、大量の汚れがひどい洗濯物を処理するため、高い耐久性が不可欠です。

このように、一口に業務用洗濯機と言っても、使用される場所によって求められる性能は大きく異なります。自社がどのカテゴリーに属し、何を最も重視すべきかを明確にすることが、最適な機種選びに繋がります。

業務用洗濯機の導入方法とそれぞれのメリット・デメリット

業務用洗濯機を導入するには、「新品購入」「中古品購入」「リース」「レンタル」の4つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、自社の財務状況や事業計画に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。

導入方法 メリット デメリット こんな施設におすすめ
新品を購入 ・最新の機能、高い省エネ性能
・長期的な資産となる
・メーカー保証が充実している
・初期費用(導入コスト)が最も高い
・固定資産税がかかる
・資金に余裕がある
・長期的に事業を運営する予定
中古品を購入 ・新品に比べて初期費用を大幅に抑えられる ・故障のリスクが高い
・保証がない、または短い
・最新機能や省エネ性能は期待できない
・とにかく初期投資を抑えたい
・短期間の事業や予備機として
リース ・初期費用が不要
・月々の支払いが定額で経費計上できる
・最新機種を選べる
・総支払額は購入より高くなる
・原則、中途解約できない(3〜7年契約)
・所有権はリース会社にある
・初期費用を抑えて最新機種を導入したい
・資金を運転資金に回したい
レンタル ・数日〜数ヶ月単位の短期間で利用できる
・メンテナンス費用が含まれていることが多い
・リースよりも月々の料金が割高
・選べる機種が限られる
・所有物にはならない
・イベントなど一時的な需要に対応したい
・本格導入前のお試しで使いたい

新品を購入

メーカーや販売代理店から新品の業務用洗濯機を購入する方法です。
最大のメリットは、最新の機能を備えた省エネ性能の高いモデルを導入できることです。長期的に見れば、ランニングコストである水道光熱費の削減効果が期待できます。また、手厚いメーカー保証が付いているため、導入後数年間の故障については無償で修理を受けられ、安心して使用できます。自社の資産となるため、長期的な事業運営を計画している場合に最も適した方法です。
一方、デメリットは、数百万円単位のまとまった初期費用が必要になることです。また、固定資産として計上するため、固定資産税の支払い義務も発生します。

中古品を購入

専門の業者などから、既に使用された業務用洗濯機を購入する方法です。
最大のメリットは、新品に比べて導入コストを劇的に抑えられることです。予算が限られている場合や、開業時の初期投資を極力少なくしたい場合に魅力的な選択肢となります。
しかし、デメリットも大きいことを理解しておく必要があります。まず、故障のリスクが新品よりも格段に高く、保証が付かない、あるいは非常に短い期間しか付かないケースがほとんどです。修理費用が自己負担となり、結果的に高くつく可能性もあります。また、旧型のモデルが多いため、最新の省エネ機能や衛生管理機能は期待できません。中古品を選ぶ際は、信頼できる販売業者を選び、機器の状態をしっかりと確認することが不可欠です。

リース

リース会社が利用者に代わって新品の業務用洗濯機を購入し、利用者は月々定額のリース料を支払って、長期間(通常3年〜7年)にわたって機器を借りる契約です。
メリットは、初期費用ゼロで最新機種を導入できる点です。購入時に必要なまとまった資金が不要なため、手元の資金を運転資金などに有効活用できます。また、月々のリース料は全額経費として計上できるため、節税効果も期待できます。
デメリットは、リース期間中の総支払額が、新品を購入した場合の価格を上回ることです。また、契約期間中の中途解約は原則として認められず、解約する場合は高額な違約金が発生します。リース期間が満了した後は、「再リース(契約延長)」「返却」「買い取り」などの選択肢がありますが、所有権はあくまでリース会社にあります。

レンタル

レンタル会社が所有する業務用洗濯機を、数日〜数ヶ月といった短期間で借りる方法です。
メリットは、必要な時に必要な期間だけ利用できる柔軟性です。建設現場の仮設事務所や、イベント開催時など、一時的に洗濯機が必要になる場合に非常に便利です。月々のレンタル料には、通常メンテナンス費用も含まれています。
デメリットは、月々の料金がリースに比べて割高であることと、選べる機種が限られる点です。あくまで短期利用を前提としたサービスのため、長期的に利用する場合は、リースや購入の方がコスト的に有利になります。

問い合わせから設置までの5ステップ

問い合わせ・ヒアリング、現場調査・見積もり、契約、搬入・設置工事、試運転・アフターフォロー

業務用洗濯機の導入を決めてから、実際に使えるようになるまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、一般的な問い合わせから設置完了までの流れを5つのステップで解説します。

① 問い合わせ・ヒアリング

まずは、気になるメーカーや販売代理店に電話やウェブサイトのフォームから問い合わせをします。この最初のコンタクトで、スムーズに話を進めるために、以下の情報を準備しておくと良いでしょう。

  • 事業の業種と規模:(例:50床の介護施設、30室のビジネスホテル)
  • 1日の想定洗濯物量:(例:約100kg)
  • 設置を希望する場所の状況:(建物の1階、スペースの広さなど)
  • 現在抱えている課題:(例:洗濯に時間がかかりすぎている、衛生管理を強化したい)
  • おおよその予算感
  • 希望する導入時期

これらの情報を伝えることで、担当者はより具体的な提案をしやすくなります。この段階で、製品カタログや概算の費用感などを教えてもらうことができます。

② 現場調査・見積もり

次に、メーカーや販売代理店の専門スタッフが、実際に設置を希望する場所を訪れて「現場調査(現調)」を行います。ここでは、以下の点がプロの目で詳細にチェックされます。

  • 設置スペースの正確な採寸
  • 搬入経路(出入口、廊下、エレベーター等)の確認
  • 床の強度や材質の確認
  • 給水、排水、電気、ガスなどの設備状況の確認

この調査結果を基に、最適な機種の選定と、必要な付帯工事(配管工事、電気工事、基礎工事など)の内容が確定します。そして、本体価格とすべての工事費を含んだ正式な「見積書」が提示されます。
この際、複数の業者から相見積もりを取ることを強くおすすめします。価格だけでなく、提案内容や担当者の対応力を比較検討することで、最も信頼できるパートナーを見つけることができます。

③ 契約

提示された見積もりの内容に納得できたら、契約手続きに進みます。契約書には、以下の項目が明記されているかしっかりと確認しましょう。

  • 契約金額(本体価格、工事費、諸経費の内訳)
  • 製品の型番、仕様、台数
  • 納品日、工事日
  • 支払い条件(支払いのタイミングや方法)
  • 保証期間と保証内容
  • 保守メンテナンス契約の内容(契約する場合)

不明な点や疑問点があれば、必ず契約前に担当者に確認し、すべてクリアにしてから署名・捺印することが重要です。

④ 搬入・設置工事

契約時に取り決めた日時に、業務用洗濯機の搬入と設置工事が行われます。当日は、事前に打ち合わせた搬入経路を使い、専門の作業員が慎重に機器を運び込みます。
その後、見積もりに基づいた設置・据付工事、および給排水・電気などの接続工事が進められます。工事の規模にもよりますが、通常は半日から1〜2日程度で完了します。工事中は安全確保のため、立ち入りが制限される場合もあります。

⑤ 試運転・アフターフォロー

すべての設置・接続工事が完了したら、最後に「試運転」を行います。実際に水と電気を通して、機器が正常に動作するか、水漏れなどがないかを確認します。
この際、担当者から具体的な操作方法や日常のメンテナンスに関する説明があります。不明な点は遠慮なく質問し、実際に操作を試してみましょう。
問題がないことが確認できれば、引き渡し完了となります。これ以降、保証や保守契約に基づいたアフターフォローがスタートし、安心して業務用洗濯機を使い始めることができます。

長く使うために知っておきたい導入後のメンテナンス

糸くずフィルター(リントフィルター)の清掃、洗剤・柔軟剤投入口の清掃、本体・ドアパッキンの清掃、定期的な洗濯槽の掃除

高価な業務用洗濯機を導入したからには、できるだけ長く、安定した性能で使い続けたいものです。そのためには、導入後の適切なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスには、自分たちでできる日常的な手入れと、専門家による定期的な点検の2種類があります。

日常的な手入れと洗濯槽の掃除

日々の簡単な手入れを怠らないことが、故障を未然に防ぎ、洗濯品質を維持する上で非常に重要です。

  • 糸くずフィルター(リントフィルター)の清掃:
    業務用洗濯機には、洗濯中に出る糸くずやゴミをキャッチする大きなフィルターが付いています。ここが詰まると、排水不良や乾燥効率の低下、さらには洗濯物へのゴミの再付着の原因となります。理想的には、1日の業務終了後に毎回清掃することが推奨されます。
  • 洗剤・柔軟剤投入口の清掃:
    洗剤の投入口や、自動投入装置の周辺は、洗剤が固まって付着しやすい場所です。放置するとカビの原因になったり、洗剤がスムーズに流れなくなったりします。定期的に取り外して水洗いするか、お湯で湿らせた布で拭き取り、清潔に保ちましょう。
  • 本体・ドアパッキンの清掃:
    洗濯機の外側や操作パネルは、水に濡らした柔らかい布で拭きます。また、ドアの内側にあるゴム製のパッキンは、水滴や汚れが溜まりやすく、カビが発生しやすい部分です。洗濯終了後は、乾いた布で水気を拭き取る習慣をつけましょう。
  • 定期的な洗濯槽の掃除:
    目には見えませんが、洗濯槽の裏側には石鹸カスや水アカ、カビなどが付着していきます。これが悪臭や洗濯物の黒ずみの原因となります。月に1回程度を目安に、市販の洗濯槽クリーナーや、メーカー推奨の洗浄剤を使って「槽洗浄コース」を実行しましょう。これにより、洗濯機内部を衛生的に保ち、常にクリーンな状態で洗濯できます。

これらの日常的な手入れは、少しの手間で大きなトラブルを防ぐ効果があります。マニュアルに記載されている手入れ方法を確認し、日々の業務フローに組み込むことをおすすめします。

メーカーによる定期メンテナンス

日常的な手入れに加えて、人間でいう「健康診断」にあたる、専門家による定期的なメンテナンス(保守点検)も非常に重要です。多くのメーカーや販売代理店は、有償の保守契約プランを用意しています。

保守契約を結ぶと、年に1〜2回程度、サービスエンジニアが訪問し、以下のような専門的な点検を実施します。

  • 内部部品の点検: カバーを外し、モーター、ベルト、ヒーター、センサー、給排水バルブなど、普段は見えない内部の部品に摩耗や劣化がないかチェックします。
  • 消耗品の確認・交換: ベルトやパッキンなど、経年で劣化する消耗品の状態を確認し、必要に応じて交換します。これにより、突然の部品破損による運転停止を防ぎます。
  • 動作チェックと調整: 実際に運転させながら、異音や異常な振動がないか、各プログラムが正常に動作するかを確認し、必要に応じて微調整を行います。
  • 清掃とグリスアップ: 内部に溜まったホコリの除去や、可動部へのグリスアップ(潤滑油の塗布)を行い、スムーズな動作を維持します。

保守契約を結ぶ最大のメリットは、大きな故障が発生する前にその予兆を発見し、予防的な措置を講じられることです。故障による突然の業務停止は、売上機会の損失や顧客からの信頼低下に直結する大きなリスクです。定期的なメンテナンスは、そのリスクを最小限に抑えるための「保険」と言えます。

契約料金はかかりますが、故障時の修理費用が割引になったり、優先的に対応してもらえたりする特典が付く場合も多く、トータルで見ればコストパフォーマンスの高い投資となるでしょう。

まとめ

本記事では、業務用洗濯機の基本的な知識から、家庭用との違い、価格相場、失敗しない選び方、おすすめメーカー、そして導入後のメンテナンスに至るまで、幅広く解説してきました。

業務用洗濯機は、単に「大きい洗濯機」ではなく、企業の生産性、品質、衛生管理レベルを左右する重要な経営資源です。高価な設備だからこそ、導入の際には慎重な検討が求められます。

改めて、業務用洗濯機選びで成功するための重要なポイントを振り返ります。

  1. 自社のニーズを正確に把握する: 1日の洗濯物量、ピーク時の量、求められる衛生レベル、設置スペースなどを具体的に洗い出すことが全ての基本です。
  2. 容量と機能を過不足なく選ぶ: 自社のニーズに対し、大きすぎず小さすぎない容量を選び、省エネ性能や衛生管理機能など、本当に必要な機能を見極めることがコストパフォーマンスを高めます。
  3. 導入方法を総合的に検討する: 初期費用、ランニングコスト、自社の財務状況を考慮し、新品購入、中古、リース、レンタルの中から最適な方法を選択しましょう。
  4. 信頼できるメーカーとサポート体制を選ぶ: 製品の性能だけでなく、万が一の際に迅速に対応してくれるメーカーのサポート体制は、事業を止めないために不可欠です。

最適な業務用洗濯機の導入は、日々の煩雑な洗濯業務からスタッフを解放し、サービスの品質向上やコスト削減に大きく貢献します。

この記事で得た知識を基に、まずは複数のメーカーや販売代理店に問い合わせ、自社の課題を相談することから始めてみてください。専門家からの具体的な提案を受けることで、自社にぴったりの一台がきっと見つかるはずです。