ダウンのクリーニング料金相場は?おすすめの出し方や頻度も解説

ダウンのクリーニング料金相場は?、おすすめの出し方や頻度も解説

冬の厳しい寒さから身を守ってくれるダウンジャケットは、多くの人にとって欠かせないアウターウェアです。軽くて暖かいダウンは非常に機能的ですが、その性能を長く維持するためには適切なメンテナンスが不可欠です。しかし、「ダウンってクリーニングに出すべきなの?」「料金はいくらくらい?」「どのくらいの頻度で出せばいいの?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。

この記事では、ダウンのクリーニングに関するあらゆる疑問に答えるべく、その必要性から料金相場、お店の選び方、おすすめのサービス、さらには家庭での洗濯のリスクや正しい保管方法まで、網羅的に解説します。高価なダウンジャケットを来シーズンも最高の状態で着用するために、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

そもそもダウンにクリーニングが必要な理由

見えない汗や皮脂汚れを落とすため、カビや嫌な臭いの発生を防ぐため、ダウン本来の保温性やふんわり感を維持するため、ダウンを長持ちさせるため

「ダウンジャケットはそんなに汚れていないように見えるから、クリーニングは不要では?」と考える方もいるかもしれません。しかし、目に見える汚れがなくても、ワンシーズン着用したダウンには様々な汚れが蓄積しています。定期的なクリーニングは、ダウンを清潔に保つだけでなく、その寿命を延ばし、本来の性能を維持するために極めて重要です。 ここでは、ダウンにクリーニングが必要な4つの具体的な理由を詳しく解説します。

見えない汗や皮脂汚れを落とすため

冬場であっても、私たちは知らず知らずのうちに汗をかいています。特に、暖かい室内や満員電車の中では、思った以上に汗をかくものです。ダウンジャケットの内側は、この汗を直接吸収します。汗の成分は水分だけでなく、塩分、アンモニア、皮脂などが含まれており、これらが生地の繊維やダウンの羽毛に付着・蓄積していきます。

皮脂汚れは、襟元や袖口に特に付着しやすいです。首や手首が直接触れる部分は、摩擦によって皮脂が生地の奥深くまで浸透し、時間とともに酸化して黒ずみや黄ばみの原因となります。これらの汗や皮脂といった「見えない汚れ」は、家庭での洗濯では完全に落とすことが難しく、放置すると生地を傷めたり、変色を引き起こしたりする可能性があります。

クリーニングのプロは、素材に合わせた専用の洗剤や溶剤を使用し、これらの頑固な汚れを繊維の奥から分解・除去します。特に、汗の成分は水溶性、皮脂の成分は油溶性であるため、両方の汚れを効果的に落とすには、プロの技術である「ウェットクリーニング(水洗い)」と「ドライクリーニング」の知識と経験が不可欠です。見えない汚れを根本から取り除くことで、生地の劣化を防ぎ、ダウンジャケットを常に清潔な状態に保てます。

カビや嫌な臭いの発生を防ぐため

ダウンジャケットから発生する嫌な臭いの主な原因は、雑菌の繁殖です。そして、その雑菌の栄養源となるのが、前述した汗や皮脂汚れです。着用後に付着した汚れをそのままにしてクローゼットに長期間保管すると、最悪の事態を招きかねません。

クローゼットや押し入れの中は空気がこもりやすく、湿気が溜まりやすい環境です。汗や皮脂という栄養分と、クローゼット内の湿気や温度という条件が揃うと、雑菌やカビが爆発的に繁殖します。 これが、シーズンオフに保管していたダウンを久しぶりに取り出した際に感じる、カビ臭さや汗が酸化したような酸っぱい臭いの正体です。

一度発生してしまったカビや臭いは、家庭での消臭スプレー程度では根本的な解決にはなりません。表面的な臭いはごまかせても、原因菌は繊維の奥で生き続けています。クリーニングでは、洗浄工程でこれらの雑菌を根こそぎ洗い流し、さらに高温での乾燥処理によって完全に死滅させます。これにより、臭いの元を断ち切ることができます。また、オプションで防カビ・抗菌加工を施せば、保管中のカビの再発リスクを大幅に低減でき、次のシーズンも安心して着用を開始できるでしょう。

ダウン本来の保温性やふんわり感を維持するため

ダウンジャケットが暖かい理由は、内部に含まれるダウン(羽毛)が体温で温められた空気を大量に溜め込む「空気の層」を作るからです。一つひとつの羽毛がふんわりと広がり、多くの空気を含むことで、高い断熱効果、つまり保温性を発揮します。この羽毛の膨らむ力を「フィルパワー」と呼び、この数値が高いほど高品質なダウンとされています。

しかし、汗や皮脂、外気中のホコリなどの汚れが羽毛に付着すると、羽毛同士がくっついて固まってしまいます。汚れた羽毛はしっとりと重くなり、本来の広がる力を失ってしまうため、空気を含むスペースが減少し、ダウンジャケットの命ともいえる保温性が著しく低下します。 見た目にも、ハリがなくなり、ぺちゃんこに潰れたような印象になります。

プロによるクリーニング、特にダウンに適した「ウェットクリーニング」では、大量の水と専用の洗剤で羽毛の芯から汚れを洗い流します。そして、洗浄後にはダウンの特性を熟知した専門家が、大型のタンブラー(乾燥機)を使って羽毛を一つひとつ丁寧にほぐしながら乾燥させます。この工程により、固まっていた羽毛が再びふんわりと開き、購入時に近い「ロフト感(かさ高)」と保温性を取り戻すことができます。クリーニングは、単に汚れを落とすだけでなく、ダウンの機能性を回復させるための重要なメンテナンスなのです。

ダウンを長持ちさせるため

高価なダウンジャケットは、できれば5年、10年と長く愛用したいものです。そのためには、日々の着用後のケアもさることながら、シーズン終わりの適切なクリーニングが欠かせません。

汚れを放置することのリスクは、これまで述べてきた通り多岐にわたります。

  • 生地の劣化: 皮脂汚れの酸化は、生地の繊維を脆くし、色褪せや変色の原因となります。
  • ファスナーやボタンの錆: 汗の塩分が付着したままになると、金属パーツが錆びて動きが悪くなったり、生地を汚したりすることがあります。
  • 羽毛の劣化: 汚れが付着した羽毛は機能性が落ちるだけでなく、羽毛自体の寿命も縮めます。
  • カビによるダメージ: 一度カビが生えると、生地にシミが残ったり、素材そのものを分解してしまったりと、修復不可能なダメージを与えることがあります。

これらのダメージは、ワンシーズン放置するだけでも着実に進行します。毎シーズン終わりにクリーニングで汚れをリセットすることは、こうした様々な劣化要因を排除し、ダウンジャケットの寿命を最大限に延ばすための最も効果的な投資といえるでしょう。 定期的なメンテナンスを怠ったために、数年で着られなくなってしまうのと、適切なケアを施して10年以上愛用するのとでは、長期的なコストパフォーマンスに大きな差が生まれます。大切な一着を永く使うためにも、プロのクリーニングを積極的に活用することをおすすめします。

ダウンをクリーニングに出す最適な頻度

食べ物や飲み物のシミが付いた場合、襟元や袖口の黒ずみがひどい場合、雨や雪で濡れた後に異臭がする場合、キャンプで煙の臭いがついた場合

ダウンジャケットのクリーニングの必要性は理解できても、次に悩むのが「いつ、どのくらいの頻度で出せば良いのか」という点です。クリーニングに出すタイミングや頻度は、ダウンの状態を良好に保ち、無駄なコストをかけないためにも重要です。ここでは、ダウンをクリーニングに出す最適な頻度について、基本的な考え方と例外的なケースを解説します。

基本は年に1回、シーズンオフのタイミング

ダウンクリーニングの最も基本的かつ最適な頻度は、「年に1回、シーズンが終わったタイミング」です。 具体的には、ダウンを着なくなる春先(3月~5月頃)がベストシーズンといえます。このタイミングでクリーニングに出すことには、複数の明確なメリットがあります。

第一に、汚れの定着を防ぐことができます。 ワンシーズン着用したダウンには、目に見えなくても汗や皮脂、排気ガス、花粉など様々な汚れが付着しています。これらの汚れは、時間が経つほど繊維の奥深くに浸透し、酸化してしまいます。酸化した汚れは通常のクリーニングでは落としにくい頑固なシミや黄ばみ、変色の原因となり、特別なシミ抜き処理が必要になったり、最悪の場合は落とせなくなったりすることもあります。シーズンが終わってすぐにクリーニングに出すことで、汚れが定着する前にリセットし、ダウンへのダメージを最小限に抑えられます。

第二に、次のシーズンに気持ちよく着用を開始できます。 クリーニングを済ませてから保管しておけば、秋になっていざ着ようと思った時に、カビ臭さや汚れに気づいて慌てることがありません。清潔な状態で保管することで、カビや害虫の発生リスクも低減できます。クローゼットから出してすぐに、ふんわりとした清潔なダウンに袖を通せるのは、非常に快適です。

第三に、クリーニング店の繁忙期を避けられる可能性があります。 一般的に、衣替えの時期である春先はクリーニング店が混み合いますが、冬物を出すピークは少し過ぎている場合もあります。逆に、秋口に「これから着るから」と慌てて出す人が集中するため、秋の方が納期が長くなる傾向があります。春のうちに余裕を持って出しておくことで、比較的スムーズにクリーニングを終えることができます。

このように、着用頻度に関わらず、少なくとも年に1回、シーズンオフにクリーニングに出すことを基本的なサイクルとして習慣づけることが、ダウンを長持ちさせる秘訣です。

汚れが目立つ場合はシーズン中でも検討

「年に1回」はあくまで基本のサイクルです。もしシーズン中に明らかな汚れが付着してしまった場合は、シーズンオフを待たずにクリーニングに出すことを検討しましょう。汚れを長期間放置することは、ダウンにとって百害あって一利なしです。

具体的にシーズン中のクリーニングを検討すべきケースとしては、以下のような状況が挙げられます。

  • 食べ物や飲み物のシミが付いた場合: コーヒー、ラーメンの汁、ワイン、醤油など、色の濃いシミや油分の多いシミは、時間が経つと非常に落ちにくくなります。ティッシュで軽く拭う程度にとどめ、こすらずにできるだけ早くプロに相談しましょう。無理に自分で処理しようとすると、かえってシミを広げたり、生地を傷めたりする原因になります。
  • 襟元や袖口の黒ずみがひどい場合: ファンデーションや皮脂による黒ずみは、見た目の印象を大きく損ないます。特に色の薄いダウンでは目立ちやすいため、汚れが気になってきたら早めにクリーニングに出すのがおすすめです。
  • 雨や雪でびしょ濡れになった後、異臭がする場合: ダウンが雨や雪に濡れること自体はよくありますが、乾かし方が不十分だと、内部の羽毛が半乾きの状態になり、雑菌が繁殖して生乾き臭が発生することがあります。適切に乾燥させても臭いが取れない場合は、内部で雑菌が繁殖しているサインです。そのまま放置せず、クリーニングでリフレッシュさせましょう。
  • キャンプやバーベキューで煙の臭いがついた場合: 焚き火などの煙の粒子は非常に細かく、繊維の奥深くまで入り込みます。市販の消臭スプレーではなかなか取れないしつこい臭いも、プロのクリーニングならすっきりと落とすことが可能です。

シーズン中にクリーニングに出す際の注意点として、仕上がりまでの日数を考慮する必要があります。 店舗にもよりますが、通常1週間~2週間程度かかることが多いため、その間ダウンを着られなくても問題ないか、代替の防寒着があるかを確認してから依頼しましょう。しかし、深刻な汚れを放置するデメリットを考えれば、一時的に着られなくなっても早めに処置する方が、結果的にダウンを長く大切に使うことに繋がります。汚れの種類と程度に応じて、柔軟にクリーニングのタイミングを判断することが重要です。

ダウンクリーニングの料金相場

ダウンのクリーニングを検討する上で、最も気になるのが「料金」でしょう。料金はクリーニング店の種類(店舗型か宅配型か)、ダウンのブランド、素材、デザイン、そして追加するオプションによって大きく変動します。ここでは、それぞれのケースにおける料金相場を詳しく解説し、適正な価格を見極めるための知識を提供します。

店舗型クリーニングの料金相場

地域に根ざした個人経営の店から全国チェーン展開する大手まで、様々な形態がある店舗型クリーニング。一般的に、ダウンジャケットやダウンコートのクリーニング料金は、1点あたり2,500円~5,000円程度が相場です。

料金に幅があるのは、以下のような要因が影響するためです。

  • ダウンの種類: ベスト、ジャケット、ハーフコート、ロングコートなど、丈の長さやボリュームによって料金が変わります。一般的に、布面積が広く、羽毛の量が多いものほど高くなります。
  • 素材: ナイロンやポリエステルなどの一般的な化学繊維のものは基本料金で対応できることが多いですが、ウールやレザー、シルクといった異素材とのコンビネーションデザインの場合、特殊な処理が必要になるため追加料金が発生することがあります。
  • 付属品の有無: 取り外し可能なフードやベルトは基本料金に含まれることが多いですが、リアルファー(毛皮)の襟や袖口が付いている場合は、別途ファー専門のクリーニング料金(3,000円~)が必要になるのが一般的です。
  • 装飾の有無: ビジューやスパンコール、特殊なプリントなどが施されているデザイン性の高いダウンは、手洗いなどのデリケートな作業が求められるため、割増料金となることがあります。

大手チェーン店では料金表が明確に定められていることが多い一方、個人店では店主の判断で見積もりが変わることもあります。事前に料金を確認しておくことが大切です。

宅配クリーニングの料金相場

近年利用者が急増しているのが、自宅にいながらクリーニングの申し込みから受け取りまで完結する宅配クリーニングです。宅配クリーニングの料金体系は、大きく「単品料金」と「パック料金」の2種類に分かれます。

  • 単品料金: 1点ごとに料金が設定されているシステムです。ダウンジャケット1点あたりの相場は、3,000円~6,000円程度と、店舗型よりやや高めに設定されている傾向があります。ただし、これには往復の送料が含まれていることが多く、高級ダウン向けの高品質なコースを用意しているサービスも多いため、一概に高いとは言えません。
  • パック料金: 「5点で10,000円」「10点で15,000円」のように、決められた点数まで定額でクリーニングできるシステムです。この場合、ダウンだけでなく、スーツやコート、セーターなど他の衣類と組み合わせて出すことができます。パック料金の最大のメリットは、1点あたりの単価を抑えられることです。例えば、10点パック15,000円でダウンを3点、コートを2点、スーツを5点出した場合、1点あたり1,500円と非常にリーズナブルになります。家族の分をまとめて出したい場合や、ダウン以外にもクリーニングしたい衣類がたくさんある場合には、パック料金が断然お得です。
料金体系 特徴 1点あたりの相場(ダウン) おすすめな人
単品料金 1点から気軽に頼める。高品質なコースが多い。 3,000円~6,000円 ・クリーニングしたい衣類が少ない人
・特定のダウンだけを高品質で仕上げたい人
パック料金 点数が多いほど1点あたりの単価が安くなる。 1,500円~3,000円 ・家族の分など、まとめてクリーニングしたい人
・ダウン以外の衣類も一緒に出したい人

高級ブランドダウン専門クリーニングの料金相場

モンクレール、カナダグース、タトラス、ヘルノ、デュベティカといった、いわゆる「高級ブランドダウン」は、その特殊な素材や繊細な構造から、一般のクリーニング店では断られたり、十分な品質で仕上がらなかったりするリスクがあります。

そこで頼りになるのが、高級ブランド品を専門に扱うクリーニングサービスです。これらのサービスでは、ブランドごとの特性を熟知した職人が、一点一点手作業で丁寧にクリーニングを行います。洗浄方法から乾燥、仕上げに至るまで、ダウンへの負担を最小限に抑えつつ、最高の状態に復元するための特別なノウハウが用いられます。

その分、料金は高額になります。高級ブランドダウンのクリーニング料金相場は、1点あたり8,000円~20,000円、場合によってはそれ以上になることもあります。料金の内訳には、以下のような付加価値が含まれています。

  • 専門的な技術料: ウェットクリーニングや特殊なシミ抜き技術など。
  • 付属品のケア: ロゴワッペンの保護、アニメタグの補修など、ブランド特有のパーツへの配慮。
  • 充実した補償制度: 万が一の事故に備えた高額な賠償保険。
  • オプション加工: 標準で撥水加工や栄養補給などが含まれている場合もある。

一見すると高価に感じられますが、10万円以上するような大切なダウンを、リスクを冒して一般的なクリーニングに出して失敗する可能性を考えれば、安心と品質を確保するための必要経費と捉えることができます。購入時の価格や、そのダウンをどれだけ大切に長く着たいかを考慮して、最適なクリーニング方法を選択することが賢明です。

ダウンをクリーニングに出す2つの方法とそれぞれのメリット・デメリット

ダウンジャケットをクリーニングに出す方法は、大きく分けて「店舗型クリーニング」と「宅配クリーニング」の2つです。それぞれに一長一短があり、どちらが適しているかは、個人のライフスタイルや何を重視するかによって異なります。ここでは、両者のメリットとデメリットを詳しく比較し、自分に合った方法を見つけるためのヒントを提供します。

① 店舗型クリーニング

店舗型クリーニングは、街中にあるクリーニング店に自分で衣類を持ち込み、仕上がった後に再び引き取りに行く、昔ながらのオーソドックスな方法です。

メリット

  • 店員と直接相談できる安心感: 最大のメリットは、クリーニングのプロである店員と対面でコミュニケーションが取れる点です。 「このシミは落ちますか?」「この素材は大丈夫ですか?」といった疑問や不安をその場で直接質問できます。特に、気になるシミの原因(いつ、何が付いたか)を具体的に伝えることで、より適切なシミ抜き処理をしてもらえる可能性が高まります。また、ダウンの状態を一緒に確認しながら相談できるため、安心して預けることができます。
  • 仕上がりが比較的早い場合がある: 店舗の処理能力や混雑状況にもよりますが、急ぎで仕上げてほしい場合に対応してくれることがあります。「特急仕上げ」などのオプションを用意している店舗もあり、数日で受け取ることが可能です。シーズン中に汚してしまい、すぐにまた着たいといった場合に便利です。
  • 送料がかからない: 当然ながら、自分で持ち込むため送料は発生しません。クリーニング料金そのものだけで済むため、1点だけを安く済ませたい場合にはコストを抑えられます。
  • 地域密着型の信頼関係: 長年同じ地域のクリーニング店を利用している場合、店主が自分の好みや衣類の特性を把握してくれていることもあります。顔なじみの関係性から、細かな要望にも応えてもらいやすいかもしれません。

デメリット

  • 持ち運びの手間がかかる: 冬物のかさばるダウンジャケットやコートを複数点まとめて店舗まで運ぶのは、かなりの重労働です。 特に、車を持っていない人や、店舗が自宅から遠い人にとっては大きな負担となります。また、仕上がった後にも引き取りに行く手間が発生します。
  • 営業時間に左右される: 店舗の営業時間内に衣類を持ち込んだり、引き取ったりする必要があります。仕事で帰りが遅い人や、平日は忙しくて時間が取れない人にとっては、利用のハードルが高くなります。休日にわざわざクリーニングのためだけに出かけるのが億劫に感じることもあるでしょう。
  • 店舗の選択肢が限られる: 利用できるのは、基本的に生活圏内にあるクリーニング店に限られます。近隣にダウンの取り扱いが得意な質の高い店舗があれば良いですが、そうでない場合、仕上がりの品質に不満が残る可能性もあります。特に、高級ブランドダウンの取り扱いに慣れていない店舗に依頼するのはリスクが伴います。

② 宅配クリーニング

宅配クリーニングは、インターネットや電話で申し込み、宅配業者が自宅まで衣類を集荷に来てくれるサービスです。クリーニング後は、再び自宅に配送されます。

メリット

  • 自宅で全て完結する圧倒的な利便性: 最大のメリットは、重くてかさばるダウンを家から一歩も出ずにクリーニングに出せる手軽さです。 申し込みは24時間いつでもウェブサイトから可能で、集荷・配達も自分の都合の良い日時を指定できます。忙しい現代人のライフスタイルに非常にマッチしたサービスといえます。
  • 持ち運びの手間が一切ない: ダウンジャケット数点に加えて、冬物のコートやスーツなどをまとめて出しても、玄関先で宅配業者に渡すだけ。時間と労力を大幅に節約できます。
  • 全国の優良店を選べる: 住んでいる場所に関わらず、日本全国の高品質なクリーニングサービスを利用できるのが大きな魅力です。 ダウンの扱いに定評のある専門店や、高級ブランド品専門のサービスなど、自分の大切な衣類に最も適した業者を自由に選べます。品質や口コミを比較検討して、納得のいく店舗に依頼できます。
  • パック料金でお得になることが多い: 多くの宅配クリーニングでは、複数の衣類をまとめて出す「パック料金」が主流です。ダウンのようなクリーニング単価が高い衣類を複数点出す場合や、他の衣類も一緒に出す場合、店舗型よりも1点あたりの料金が割安になるケースが多く、コストパフォーマンスに優れています。

デメリット

  • 仕上がりまでに時間がかかる: 集荷から配送までの輸送時間が含まれるため、店舗型に比べて仕上がりまでの日数が長くなるのが一般的です。 通常、1週間から2週間程度、繁忙期や保管サービスを利用する場合はさらに時間がかかります。シーズン中に急いでクリーニングしたい場合には不向きです。
  • 対面での相談ができない: 店員と直接顔を合わせて相談することができません。シミやほつれなど、特に伝えておきたい要望がある場合は、申し込みフォームの備考欄に詳しく記入したり、メモを同梱したりする工夫が必要です。サービスによっては、電話やメールでの問い合わせ窓口を設けているので、不安な点は事前に確認しましょう。
  • 送料が発生する場合がある: 多くのサービスでは一定金額以上の利用で送料が無料になりますが、注文点数が少ない場合や、一部地域(北海道、沖縄、離島など)では別途送料がかかることがあります。料金体系をしっかり確認する必要があります。
比較項目 店舗型クリーニング 宅配クリーニング
利便性 △(持ち運び・営業時間の制約) ◎(自宅で完結)
相談のしやすさ ◎(対面で直接相談可能) △(フォームやメモでの伝達)
仕上がり日数 ◯(比較的早い、急ぎ対応も) △(輸送時間のため長め)
料金 ◯(単品は安め) ◎(パック料金なら割安)
店舗の選択肢 △(近隣に限られる) ◎(全国から選べる)

ダウンクリーニングで失敗しないための店の選び方4つのポイント

料金体系で選ぶ、仕上がりの品質で選ぶ、オプションサービスの豊富さで選ぶ、長期保管サービスの有無で選ぶ

大切なダウンジャケットをクリーニングに出して、「シミが落ちていなかった」「ふんわり感がなくなった」「生地が傷んだ」といった失敗は絶対に避けたいものです。満足のいく仕上がりを得るためには、クリーニング店を慎重に選ぶ必要があります。ここでは、料金、品質、サービス内容の観点から、失敗しないための店の選び方を4つの重要なポイントに絞って解説します。

① 料金体系で選ぶ

クリーニング料金は、安ければ良いというものではありませんが、コストパフォーマンスを考える上で非常に重要な要素です。自分の利用シーンに合わせて、最適な料金体系の店を選びましょう。

単品料金かパック料金か

クリーニング店の料金体系は、主に「単品料金」と「パック料金」に分かれます。

  • 単品料金がおすすめな人:
    • クリーニングに出したい衣類が1~2点と少ない場合。
    • 特定の高級ブランドダウンなど、1点だけを特別なコースで丁寧にクリーニングしてほしい場合。
    • 店舗型クリーニングで、シミ抜きなどのオプションをピンポイントで追加したい場合。
  • パック料金がおすすめな人:
    • ダウンジャケットやコートなど、冬物を3点以上まとめてクリーニングに出したい場合。 パック料金は、点数が多くなるほど1点あたりの単価が劇的に安くなるため、非常にお得です。
    • 家族全員の冬物衣類を一度に片付けたい場合。
    • ダウン以外にもスーツやワンピースなど、様々な種類の衣類をクリーニングしたい場合。

多くの宅配クリーニングサービスがこのパック料金を採用しており、コストを抑えたい人にとっては大きなメリットとなります。自分がクリーニングに出したい衣類の点数と種類を洗い出し、単品で計算した場合とパック料金を比較検討することが、賢い店選びの第一歩です。

② 仕上がりの品質で選ぶ

料金以上に重要なのが、仕上がりの品質です。ダウン本来の性能を損なわず、むしろ回復させてくれるような高品質なクリーニング店を見極めるには、以下の2点に注目しましょう。

水洗い(ウェットクリーニング)に対応しているか

ダウンクリーニングの品質を左右する最も重要な要素が、「水洗い(ウェットクリーニング)」に対応しているかどうかです。

ダウンに付着する汚れの主な原因は、汗や飲食物のシミなどの「水溶性の汚れ」です。一般的なドライクリーニングは、石油系の溶剤を使って油汚れを落とすのには効果的ですが、水溶性の汚れを完全に落とすことはできません。汗汚れが残ったままドライクリーニングの熱で処理されると、汚れが酸化して黄ばみが浮き出てくることさえあります。

一方、ウェットクリーニングは、クリーニングのプロが専門的な技術を駆使して行う「水洗い」です。水と専用の洗剤を使い、素材を傷めないように温度や水流を細かく調整しながら洗浄します。ウェットクリーニングは、汗などの水溶性の汚れを根本からスッキリと洗い流せるため、ダウンクリーニングには最適な方法と言えます。洗浄後は、ダウンの羽毛をふっくらと復元させるための特別な乾燥技術も伴います。

クリーニング店の公式サイトやサービス内容を確認し、「水洗い」や「ウェットクリーニング」での対応を明記している店を選びましょう。これを謳っている店は、ダウンの取り扱いに関する高い技術力と自信を持っている証拠です。

ダウンの取り扱い実績が豊富か

ダウンジャケットと一言で言っても、ブランド、素材、構造は千差万別です。特に高級ブランドのダウンは、繊細な生地や特殊な加工が施されていることが多く、相応の知識と経験がなければ適切に扱うことはできません。

そこで、そのクリーニング店がどれだけダウンの取り扱い実績を持っているかを確認することが重要です。公式サイトに「ダウンのクリーニング実績〇万点」といった具体的な数字が掲載されていたり、ブランド別のクリーニング事例やビフォーアフターの写真が紹介されていたりする店は、信頼性が高いと言えます。

また、口コミサイトやレビューで、実際にその店でダウンをクリーニングした人の評価を確認するのも有効な手段です。「ふっくら感が戻った」「新品のようになった」といったポジティブな評価が多い店を選ぶと、失敗のリスクを減らせます。

③ オプションサービスの豊富さで選ぶ

基本的なクリーニングに加えて、ダウンの機能性を高め、長持ちさせるためのオプションサービスが充実しているかも、良い店を選ぶための重要な指標です。特に以下の3つのオプションは、ダウンにとって非常に有効です。

撥水加工

ダウンジャケットの多くは、もともと表面に撥水加工が施されていますが、着用やクリーニングを繰り返すうちにその効果は薄れていきます。撥水効果が低下すると、雨や雪が生地に染み込みやすくなり、中の羽毛が濡れて保温性が低下する原因となります。

クリーニングのオプションで撥水加工(防水加工とは異なる)を追加することで、生地の表面に水の膜を作り、水滴を弾く効果を復活・向上させることができます。 これにより、急な天候の変化に対応できるだけでなく、汚れが付着しにくくなるというメリットもあります。特に、アウトドアでの使用が多いダウンや、次のシーズンも安心して着たいダウンには、ぜひ付けておきたいオプションです。

防虫・防カビ加工

シーズンオフの長期保管中に、ダウンが害虫やカビの被害に遭うリスクはゼロではありません。特に、ウールなど他の衣類と一緒にクローゼットに保管する場合、虫食いのリスクは高まります。

防虫・防カビ加工を施しておくことで、大切なダウンをこれらの外的要因から守ることができます。 クリーニング後の清潔な状態に加工を施すことで、効果が最大限に発揮されます。長期保管サービスを利用しない場合は、特に検討したいオプションです。

シミ抜き

通常のクリーニング工程だけでは落としきれない頑固なシミ(古い皮脂汚れ、インク、油など)がある場合、専門的な技術で行う「シミ抜き」が必要になります。

質の高いクリーニング店では、シミの種類や生地の素材を見極め、最適な薬剤と方法でシミを落とす専門の職人が在籍しています。多くのサービスでは、簡易的なシミ抜きは無料で行ってくれることが多いですが、広範囲のシミや特殊なシミは有料オプションとなります。シミ抜きの実績が豊富で、料金体系が明確な店を選ぶと安心です。

④ 長期保管サービスの有無で選ぶ

春にクリーニングに出した冬物のダウンは、秋になるまで半年近く保管しておく必要があります。しかし、日本の住宅事情では、かさばるダウンを保管しておく収納スペースの確保が悩みの種という方も多いでしょう。

そこで非常に便利なのが、クリーニング後の衣類をそのまま次のシーズンまで預かってくれる「長期保管サービス」です。多くの宅配クリーニングがこのサービスを提供しており、以下のような大きなメリットがあります。

  • 自宅の収納スペースがスッキリする: 最も大きなメリットです。クローゼットのスペースを有効活用でき、居住空間にゆとりが生まれます。
  • 衣類に最適な環境で保管してくれる: 自宅のクローゼットは、湿気や温度変化が大きく、カビや虫害のリスクがあります。一方、クリーニング店の保管庫は、温度・湿度が24時間管理された衣類にとって理想的な環境です。これにより、ダウンの品質を最高の状態で維持できます。

このサービスは有料オプションの場合と、パック料金に無料で含まれている場合があります。保管期間も最大9ヶ月~12ヶ月などサービスによって異なるため、自分のニーズに合った保管サービスを提供している店を選ぶことをおすすめします。

【2024年最新】ダウンにおすすめの宅配クリーニングサービス5選

ここでは、ダウンのクリーニングに定評があり、品質、料金、サービスのバランスに優れたおすすめの宅配クリーニングサービスを5社厳選してご紹介します。各社の特徴を比較し、自分にぴったりのサービスを見つけてください。

(※掲載している料金やサービス内容は、2024年5月時点の各社公式サイトの情報を基にしています。ご利用の際は、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。)

① リネット

「リネット」は、会員数50万人を突破した業界最大手の宅配クリーニングサービスです。スピーディーな対応と高品質なクリーニングで人気を博しています。

サービス名 リネット
料金体系 単品料金制
ダウン料金目安 ダウンジャケット: 3,190円~
特徴 ・プレミアム会員は往復送料無料
・最短2日後のスピーディーな届け
・無料のシミ抜き、毛玉取り
・高品質な「DX(デラックス)仕上げ」オプションあり
保管サービス あり(PREMIUM CLOAK)
公式サイト 株式会社ホワイトプラス 公式サイト

リネットの最大の特徴は、その利便性とスピードです。 プレミアム会員(月額または年額制)になれば、朝に出せば最短で翌日に届く「朝イチ・夜イチ便」など、驚異的な速さを実現しています。ダウンを1点だけ、あるいは数点だけ高品質にクリーニングしたい場合に適しています。

ダウンクリーニングにおいては、まず全品無料で丁寧なシミ抜きが行われます。さらに、より高品質な仕上がりを求めるなら「DX(デラックス)仕上げ」がおすすめです。リネット独自の「ウェットケア」技術を用いたり、撥水・防汚効果のある「リファイン加工」や羽毛のボリュームを蘇らせる「ふんわり加工」を施したりすることで、ダウンを最高の状態に仕上げます。 少々高価でも、お気に入りの一着を最高のコンディションにしたいと考える人には最適な選択肢です。

② リナビス

「おせっかいなクリーニング屋さん」を標榜する「リナビス」は、熟練の職人による丁寧な手仕事と、充実した無料サービスが魅力の宅配クリーニングです。

サービス名 リナビス
料金体系 パック料金制
ダウン料金目安 5点コース: 12,900円~(1点あたり2,580円~)
特徴 ・送料無料(一部地域除く)
・熟練職人による高品質な洗い
シミ抜き、ボタン修理など8つの無料おせっかい
・最大12ヶ月の無料保管サービス
保管サービス あり(最大12ヶ月無料)
公式サイト 株式会社東田ドライ 公式サイト

リナビスは、衣類の点数で料金が決まるパック料金制を採用しています。ダウンやコートなど、クリーニング単価の高い衣類をまとめて出すと非常にお得になります。特筆すべきは、「シミ抜き」「ボタンゆるみ直し」「毛玉取り」「再仕上げ」など、通常は有料オプションとなることが多い8つのサービスが全て無料で付いてくる点です。

ダウンクリーニングでは、素材や汚れに応じて最適な洗浄方法を選択。自然乾燥に近い形でゆっくりと乾かすことで、生地や羽毛へのダメージを最小限に抑え、ふっくらとした仕上がりを実現します。さらに、クリーニングした衣類を最大12ヶ月間、最適な環境で無料保管してくれるサービスは、収納スペースに悩む方にとって大きな魅力です。品質とコスパ、そして充実した無料サービスを求めるなら、リナビスは非常に有力な候補となるでしょう。

③ カジタク

イオングループが提供する家事代行サービス「カジタク」。その一環として提供される宅配クリーニングは、大手ならではの安心感と分かりやすい料金体系が特徴です。

サービス名 カジタク
料金体系 パック料金制
ダウン料金目安 6点パック: 13,200円~(1点あたり2,200円~)
特徴 ・安心のイオングループ
・送料無料
ダウンもコートも同一料金の分かりやすいパック料金
・最大9ヶ月の無料保管サービス
保管サービス あり(最大9ヶ月無料)
公式サイト 株式会社カジタク 公式サイト

カジタクのクリーニングもパック料金制で、コートでもダウンでも、どんな衣類でも点数でカウントする明朗会計が魅力です。 家族の冬物をまとめてクリーニングに出したい場合に最適です。

品質面でもこだわりがあり、衣類に合わせて洗浄方法を調整し、立体的な仕上げを施してくれます。もちろん、シミ抜き(簡易)やボタン付け、毛玉取りも料金内で対応。そして、リナビス同様、最大9ヶ月間の無料保管サービスが付いているため、クローゼットの整理にも大きく貢献します。イオングループという信頼性と、シンプルで分かりやすいサービスを求める方におすすめです。

④ せんたく便

「せんたく便」は、リーズナブルな価格設定と利便性で人気の宅配クリーニングサービスです。特に、パック料金のコストパフォーマンスに優れています。

サービス名 せんたく便
料金体系 パック料金制
ダウン料金目安 5パック: 7,678円~(1点あたり1,535円~)
特徴 ・業界最安値クラスのパック料金
・往復送料無料
・シミ抜き、ボタン付け、毛玉取りが無料
・撥水加工や防虫加工などのオプションも充実
保管サービス あり(最長11ヶ月)
公式サイト 株式会社ヨシハラ 公式サイト

せんたく便の最大の武器は、その価格です。5点パックや10点パックの料金は業界でも最安値水準であり、とにかくコストを抑えたいというニーズに強く応えます。 安いからといって品質が低いわけではなく、熟練の職人が一点一点の状態を確認し、適切なクリーニングを行っています。

ダウンクリーニングにおいても、標準でシミ抜きやボタン付け、毛玉取りが無料で付いてきます。また、有料オプションで「撥水加工」を追加することも可能です。最長11ヶ月の保管サービスも提供しており、価格、サービス、保管の三拍子が揃ったコストパフォーマンスに非常に優れたサービスと言えます。クリーニングに出す点数が多く、費用を重視する方には最適な選択です。

⑤ キレイナ

「キレイナ」は、他の宅配クリーニングとは一線を画す、高級ブランド品や特殊なデザインの衣類を専門に扱うハイエンドなサービスです。

サービス名 キレイナ
料金体系 単品料金制(個別見積もり)
ダウン料金目安 ダウンジャケット: 8,800円~
特徴 高級ブランド、デザイナーズブランド専門
・全品100%ウェットクリーニング対応
・診断士による個別カウンセリング
・他店で断られた衣類も対応可能
保管サービス あり(有料)
公式サイト 株式会社キレイナ 公式サイト

キレイナでは、モンクレールやカナダグースといった高級ダウンはもちろん、装飾が多いデリケートな衣類、レザーとのコンビ素材など、他店では断られてしまうような難しいアイテムのクリーニングを請け負っています。

最大の特徴は、全ての衣類に対して「ウェットクリーニング」を基本としている点です。 専門の診断士が衣類の状態を細かくチェックし、一点一点に最適な洗い方やトリートメントを施します。これにより、汗汚れを完全に除去し、ダウンのふんわり感や生地の風合いを損なうことなく、最高の状態に仕上げます。料金は高額ですが、「この一着だけは絶対に失敗したくない」という、思い入れの強い大切なダウンを預けるなら、これ以上ない安心感を得られるサービスです。

ダウンをクリーニングに出す前の注意点

ポケットの中身を空にする、フードやファーなどの付属品を取り外す、破れやほつれがないか確認する、シミや特に汚れている箇所を伝える

クリーニング店にダウンを預ける前に、少しの手間をかけるだけで、仕上がりの質を高め、トラブルを未然に防ぐことができます。ここでは、ダウンをクリーニングに出す前に必ず確認しておきたい4つの注意点を解説します。

ポケットの中身を空にする

これはクリーニングの基本中の基本ですが、意外と忘れがちなポイントです。ポケットの中に物が入ったままクリーニングに出すと、様々なトラブルの原因となります。

  • 貴重品の紛失: 現金やカード、鍵などを入れたままにしてしまうと、クリーニング工程で紛失するリスクがあります。クリーニング店も注意を払っていますが、万が一の事態を避けるためにも、自己責任で必ず確認しましょう。
  • 衣類や洗濯機の損傷: ボールペンやリップクリーム、お菓子などが入っていると、洗浄中に中身が溶け出してダウン自体や他の衣類にシミを付けてしまう大惨事になりかねません。また、硬い物が入っていると、洗濯機のドラムを傷つける可能性もあります。
  • ティッシュやレシートの悲劇: ティッシュペーパーやレシートを洗濯してしまうと、細かくちぎれて衣類全体に付着し、取り除くのに大変な労力がかかります。

出す前には、胸ポケット、内ポケット、サイドポケットなど、全てのポケットに手を入れて、中身が空であることを指差し確認するくらいの意識が重要です。

フードやファーなどの付属品を取り外す

ダウンジャケットには、取り外し可能なフードやベルト、ファーが付いていることがよくあります。これらの付属品は、紛失や破損を防ぐために、可能な限り取り外してから出すのが原則です。

特に注意が必要なのが「ファー」です。ファーには、アクリルなどで作られた「フェイクファー」と、動物の毛皮を使った「リアルファー」があります。

  • フェイクファー: ダウン本体と一緒にクリーニングできることが多いです。
  • リアルファー(コヨーテ、フォックス、ラビットなど): 水洗いやドライクリーニングで風合いが大きく損なわれる可能性があるため、ダウン本体とは別に、毛皮専門の特殊なクリーニングが必要です。そのため、ほとんどのクリーニング店では、リアルファーは別料金(3,000円~)となります。

取り外したフードやベルトは、クリーニングに出すか、自宅で保管するかを決めましょう。もし一緒に出す場合は、受付の際に「付属品あり」と明確に伝え、点数を確認してもらうことがトラブル防止に繋がります。

破れやほつれがないか確認する

クリーニングの洗浄工程では、衣類に強い水流や遠心力がかかります。もし生地に小さな破れや縫い目のほつれがあった場合、クリーニングの処理中にそのダメージが拡大してしまう可能性があります。 小さな穴が大きな裂け目になったり、ほつれがさらに広がってしまったりすることも少なくありません。

ダウンを預ける前に、全体をくまなくチェックし、生地が破れていないか、縫い目にほつれがないかを確認しましょう。もしダメージを見つけたら、受付の際に必ずその場所と状態を店員に申告してください。店によっては、クリーニングと同時に簡単な修繕(リペア)を受け付けてくれる場合もあります。事前に申告しておくことで、「クリーニングに出したら破れた」といった無用なトラブルを避けることができます。

シミや特に汚れている箇所を伝える

「このシミ、いつ付いたんだっけ?」と思いながら、そのままクリーニングに出してしまうことはありませんか? シミ抜きの成功率は、シミの原因と付着してからの時間が大きく影響します。

  • いつ付いたか: 1週間前のシミと半年前のシミでは、落ちやすさが全く違います。新しいものほど落ちやすいです。
  • 何が付いたか: コーヒーなのか、ワインなのか、油性ボールペンなのか。シミの原因物質によって、使用する薬剤や処理方法が異なります。

クリーニング店に預ける際、「昨日、ラーメンの汁をこぼしてしまいました」「襟元のファンデーション汚れが気になります」など、分かる範囲で具体的に情報を伝えることが非常に重要です。 この情報があるかないかで、シミ抜き作業の精度が大きく変わってきます。受付票に書き込む欄があれば詳細に記入し、対面の場合は直接指し示しながら説明しましょう。このひと手間が、がっかりする仕上がりを防ぎ、満足度を高める鍵となります。

ダウンは自宅で洗濯できる?プロがおすすめしない理由

羽毛が偏り保温性が低下する、輪ジミができてしまう、乾燥に時間がかかり臭いの原因になる

クリーニング代を節約するために、「ダウンジャケットを自宅で洗濯できないだろうか?」と考える方もいるでしょう。結論から言うと、一部のダウンは家庭での洗濯が可能ですが、多くのリスクを伴うため、特に高価なものや大切な一着についてはプロに任せることを強くおすすめします。 ここでは、自宅で洗うことの危険性について詳しく解説します。

まずは洗濯表示を確認する

自宅で洗えるかどうかを判断する最初のステップは、ダウンの内側についている「洗濯表示(ケアラベル)」を必ず確認することです。 ここには、その衣類に適した洗い方や手入れの方法が記号で示されています。

  • 「洗濯おけ」のマーク: このマークがあれば、家庭での洗濯が可能です。中に書かれた数字は水温の上限を示し、下の線は洗濯の強さ(線が多いほど弱く)を表します。
  • 「手のマークが入った洗濯おけ」: 手洗いが可能であることを示します。
  • 「洗濯おけに×」のマーク: この表示がある場合は、家庭での水洗いは絶対にできません。 ドライクリーニングが必要な素材や、水洗いによって著しく品質が損なわれることを意味します。この表示を無視して洗うと、取り返しのつかないダメージを負う可能性が非常に高いです。

まず、この洗濯表示を確認し、「水洗い不可」のものは迷わずクリーニングに出しましょう。「洗濯可」の場合でも、次に説明するリスクを十分に理解した上で、自己責任で行う必要があります。

自宅で洗うことのリスク

洗濯表示が「洗濯可」であっても、ダウンの家庭洗濯には専門知識と技術が必要であり、素人が行うと失敗する可能性が高いのが実情です。

羽毛が偏り保温性が低下する

ダウンの命である保温性は、内部の羽毛が均一にふんわりと広がり、空気の層を作ることで生まれます。しかし、家庭用の洗濯機で洗うと、強い水流と脱水時の遠心力によって、中の羽毛が水分を含んで一箇所に固まってしまい、「羽毛の偏り」や「団子状」になってしまいます。

一度固まってしまった羽毛を、乾かしながら均一にほぐして元の状態に戻すのは至難の業です。乾燥後も羽毛が偏ったままだと、その部分だけがぺちゃんこになり、空気の層が作れなくなります。結果として、見た目が損なわれるだけでなく、ダウンジャケット本来の暖かさが失われてしまうのです。 これが、自宅でダウンを洗濯する際の最大のリスクと言えます。

輪ジミができてしまう

自宅での洗濯でよくある失敗が「輪ジミ」の発生です。これは、すすぎが不十分で生地の表面に洗剤成分が残ってしまったり、乾燥にムラがあったりすることが原因で起こります。

ダウンの生地は密度が高いため、一度染み込んだ洗剤を完全にすすぎ落とすのは非常に困難です。残った洗剤が乾燥する過程で、水分が蒸発した部分のフチに濃縮されて残り、輪っか状のシミとなって現れます。特に、黒やネイビーなどの濃い色のダウンでは、この輪ジミが白く目立ち、非常に見栄えが悪くなります。一度できてしまった輪ジミを後から消すのは、プロでも難しい作業です。

乾燥に時間がかかり臭いの原因になる

ダウンの洗濯で最も難しいのが「乾燥」の工程です。ダウンは大量の水分を吸い込むため、表面は乾いているように見えても、内部の羽毛まで完全に乾かすには相当な時間がかかります。

家庭で天日干しをする場合、季節や天候によっては完全に乾くまでに数日かかることも珍しくありません。この生乾きの状態が長く続くと、水分を栄養にして雑菌が繁殖し、あの嫌な「生乾き臭」が発生します。 この臭いは一度ついてしまうとなかなか取れず、せっかく洗ったのにかえって不快な状態になってしまいます。

コインランドリーの大型乾燥機を使えば比較的早く乾かせますが、温度設定や時間を間違えると、高温で生地が縮んだり、羽毛が傷んだりする新たなリスクも生じます。これらのリスクを総合的に考えると、大切なダウンはプロの技術と設備に任せるのが、最も安全で確実な方法であることは明らかです。

クリーニングから戻ってきたダウンの正しい保管方法

ビニールカバーはすぐに外す、厚みのあるハンガーにかける、風通しが良く湿気の少ない場所に保管する、防虫剤を一緒に入れる

クリーニングで綺麗になったダウンジャケット。その最高の状態を次のシーズンまで維持するためには、受け取った後の保管方法が非常に重要です。誤った方法で保管すると、せっかくのクリーニング効果が台無しになり、カビや型崩れの原因にもなりかねません。ここでは、プロも実践する正しい保管方法のポイントを解説します。

保管サービスの利用もおすすめ

まず、自宅での保管に自信がない方や、収納スペースに限りがある方には、クリーニング店の「長期保管サービス」を利用するのが最も簡単で確実な方法です。

前述の通り、多くの宅配クリーニングサービスでは、クリーニング後の衣類を最大9ヶ月~12ヶ月間、無料で預かってくれるオプションを提供しています。プロの保管庫は、温度・湿度が24時間体制で徹底管理されており、遮光性も高いため、衣類にとってこれ以上ない理想的な環境です。カビ、虫害、日焼け、型崩れといったあらゆるリスクから大切なダウンを守ってくれます。

自宅のクローゼットがスッキリする上に、最高のコンディションで次のシーズンを迎えられるため、費用対効果は非常に高いと言えるでしょう。

自宅で保管する場合のポイント

自宅で保管する場合でも、いくつかのポイントを押さえるだけで、ダウンの状態を良好に保つことができます。

ビニールカバーはすぐに外す

クリーニング店から戻ってきたダウンには、ホコリよけのためにビニール製のカバーがかけられています。しかし、このビニールカバーは、あくまで持ち帰り時のための一時的なもの。保管する際には必ず外してください。

ビニールは通気性が非常に悪いため、かけたままにしておくと内部に湿気がこもり、カビが発生する絶好の環境を作り出してしまいます。また、ドライクリーニングで使用された溶剤がわずかに残留している場合、ビニール内で気化して生地の変色を引き起こす可能性も指摘されています。

ビニールを外した後は、不織布(ふしょくふ)製の通気性の良いカバーにかけ替えるのがベストです。 100円ショップやホームセンターなどで手軽に購入できます。これにより、ホコリを防ぎつつ、空気の流れを確保できます。

厚みのあるハンガーにかける

細い針金ハンガーや薄いプラスチックハンガーに長期間かけておくと、ダウンの重みで肩の部分にハンガーの跡がくっきりと付いてしまい、型崩れの原因となります。

ダウンを保管する際は、肩の部分にしっかりと厚みのある、木製やプラスチック製のハンガーを使用しましょう。 人間の肩のラインに近い形状のハンガーを選ぶことで、重さが分散され、型崩れを防ぎ、ダウン本来のシルエットを保つことができます。

風通しが良く湿気の少ない場所に保管する

保管場所の環境も非常に重要です。クローゼットや押し入れに保管する場合は、できるだけ風通しが良く、湿気がこもらない場所を選びましょう。

衣類をぎゅうぎゅうに詰め込むと、空気の通り道がなくなり、湿気が溜まりやすくなります。ダウンのふんわり感を保つためにも、隣の衣類との間にはある程度のスペースを空け、ゆとりを持って収納することが大切です。

また、湿気対策として、クローゼット用の除湿剤を設置することを強くおすすめします。特に梅雨の時期は湿度が上昇するため、定期的に除湿剤を交換し、クローゼット内をドライな状態に保つよう心がけましょう。月に1~2回、クローゼットの扉を開けて空気を入れ替えるだけでも効果があります。

防虫剤を一緒に入れる

ダウンの素材であるナイロンやポリエステル自体は虫に食われにくいですが、クリーニングで落としきれなかったわずかな食べこぼしや皮脂汚れに虫が寄ってくることがあります。また、ウールやカシミヤのセーターなど、他の衣類と一緒に保管している場合は、そこから虫が移ってくるリスクもあります。

安心して保管するためにも、必ず防虫剤をクローゼットに入れましょう。 防虫剤には吊り下げるタイプや置くタイプなど様々な種類がありますが、効果がクローゼット全体に行き渡るように、パッケージの指示に従って適切な数と配置で使用してください。防虫剤には有効期限があるので、年に一度、衣替えのタイミングで新しいものに交換するのを忘れないようにしましょう。

ダウンのクリーニングに関するよくある質問

最後に、ダウンのクリーニングに関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。

クリーニングには何日くらいかかる?

クリーニングにかかる日数は、依頼する店の種類や時期、オプションの有無によって大きく異なります。

  • 店舗型クリーニング: 通常期であれば、3日~1週間程度で仕上がるのが一般的です。急ぎの対応が可能な「即日仕上げ」や「特急仕上げ」のサービスを提供している店舗もありますが、追加料金がかかることが多いです。
  • 宅配クリーニング: 集荷から手元に戻るまで、1週間~2週間程度を見ておくと良いでしょう。これには、往復の輸送時間が含まれます。
  • 繁忙期(3月~5月、10月~11月): 衣替えのシーズンはクリーニング店が非常に混み合うため、通常よりも日数がかかります。店舗型でも10日以上、宅配型では3週間以上かかることもあります。
  • オプション利用時: 撥水加工やシミ抜き、リペアなどのオプションを追加した場合や、長期保管サービスを利用する場合は、さらに日数がプラスされます。

シーズンオフに余裕を持って出すのが、最もスムーズで確実です。

ファー付きのダウンもクリーニングできる?

はい、ほとんどのクリーニング店でファー付きダウンの取り扱いは可能です。ただし、ファーの種類によって対応が異なります。

  • フェイクファー(アクリル製など): 多くの場合、ダウン本体と一緒にクリーニングが可能です。追加料金なし、もしくはわずかな追加料金で対応してもらえます。
  • リアルファー(毛皮): ダウン本体とは全く異なる専門的なクリーニングが必要になります。 そのため、取り外して「毛皮専門クリーニング」として扱われ、別途3,000円~8,000円程度の追加料金が発生するのが一般的です。 リアルファーは非常にデリケートなため、毛皮の取り扱い実績が豊富な店に依頼することをおすすめします。

取り外しが可能なファーは、必ず取り外してから預け、ファーもクリーニングするかどうかを明確に伝えましょう。

高級ブランドのダウンも出せる?

はい、多くのクリーニング店でモンクレール、カナダグース、タトラスといった高級ブランドダウンを受け付けています。ただし、依頼する店は慎重に選ぶ必要があります。

  • 一般的なクリーニング店: 受け付けてくれる場合でも、「高級品」として割増料金が設定されていることがほとんどです。ブランド特有のロゴワッペンや素材への配慮が十分でない場合もあるため、事前に取り扱い実績を確認することが重要です。
  • 宅配クリーニング: 多くのサービスが高級ブランドダウンのクリーニングに対応しており、実績も豊富です。特にパック料金のサービスなら、他の衣類と一緒に出すことでお得にクリーニングできる可能性があります。
  • 高級ブランド専門クリーニング: 最も安心できる選択肢です。 料金は高額になりますが、ブランドごとの特性を熟知した職人が、ウェットクリーニングや手仕上げなど、そのダウンに最適な方法で最高の状態に仕上げてくれます。万が一の事故に備えた高額補償が付いているのも心強い点です。

10万円を超えるような大切なダウンであれば、多少費用がかかっても、信頼できる高級品専門のクリーニングサービスに依頼することをおすすめします。 リスクを回避し、ダウンの価値を長く保つための賢明な投資と言えるでしょう。