マンションリフォームの費用相場|箇所別の価格や実例10選を紹介

マンションリフォームの費用相場、箇所別の価格や実例10選を紹介

マンションでの暮らしをより快適で自分らしいものにするために、リフォームを検討する方は少なくありません。しかし、多くの方が最初に直面するのが「費用は一体いくらかかるのか?」という疑問です。リフォーム費用は、工事の規模や内容、使用する建材や設備のグレードによって大きく変動するため、一概に「いくら」と言い切ることは困難です。

この記事では、マンションリフォームにかかる費用相場を、価格帯別、箇所別、広さ別といった多角的な視点から徹底的に解説します。さらに、費用を賢く抑えるための具体的なコツ、活用できる補助金やローン制度、そして失敗しないリフォーム会社の選び方まで、マンションリフォームを成功させるために必要な情報を網羅的にご紹介します。

これからリフォームを計画する方も、すでに情報収集を始めている方も、本記事を参考にすることで、ご自身の理想とする住まいを実現するための具体的な予算計画を立てられるようになるでしょう。

マンションリフォームの費用相場

工事の内容と規模、設備のグレードや建材の種類、マンションの構造や規約、リフォーム会社の選択

マンションリフォームの費用は、数十万円でできる小規模なものから、1,000万円を超える大規模なものまで、非常に幅があります。まずは、予算に応じてどのようなリフォームが可能になるのか、全体像を把握することから始めましょう。また、費用がどのような要因で変動するのかを理解することも、賢い予算計画には不可欠です。

価格帯で見るリフォーム内容の目安

予算によって実現できるリフォームの内容は大きく異なります。ここでは、5つの価格帯に分けて、それぞれで可能になる工事内容の目安を、具体的なライフスタイルを想定したシナリオと共に紹介します。

〜100万円でできるリフォーム

この価格帯では、内装の一新や水回り設備の一部の交換など、比較的小規模な「部分リフォーム」が中心となります。住みながらの工事も可能なケースが多く、暮らしの気になる部分を手軽に改善したい方におすすめです。

【工事内容の例】

  • トイレや洗面化粧台など、水回り設備1〜2点の交換
  • 6畳〜8畳程度の部屋の壁紙(クロス)と床材の張り替え
  • システムキッチンの一部(コンロ、換気扇など)の交換
  • 和室から洋室への変更(簡易的なもの)
  • 内窓(二重窓)の設置(2〜3箇所)
  • 玄関収納の交換

【架空の実例シナリオ:30代単身女性・築20年・50㎡】

  • 悩み: 在宅ワークが増えたが、仕事スペースが雑然としがち。気分転換も兼ねて、部屋の雰囲気を変えたい。
  • リフォーム内容: ワークスペースとして使用している6畳洋室の壁紙を、落ち着いたアクセントクロスに変更し、床を傷に強いフローリングに張り替え。古くなっていたトイレを、節水・掃除のしやすい最新モデルに交換。
  • 合計費用目安: 約80万円

このように、100万円以下の予算でも、優先順位を明確にすることで、生活の質を大きく向上させることが可能です。

100万円〜300万円でできるリフォーム

予算が100万円を超えると、複数の箇所を組み合わせたリフォームや、水回り設備の一式交換など、工事の選択肢が大きく広がります。住まいの機能性を総合的にアップデートしたい場合に適した価格帯です。

【工事内容の例】

  • キッチン、浴室、トイレ、洗面所といった水回り4点のうち、2〜3点の設備交換と内装工事
  • リビング・ダイニング(LDK)の内装全面リフォーム(壁・床・天井)
  • 家族構成の変化に合わせた小規模な間取り変更(例:2LDK→1LDKへ壁を撤去)
  • 家全体の壁紙(クロス)の全面張り替え

【架空の実例シナリオ:40代夫婦・子供1人・築25年・65㎡】

  • 悩み: 浴室の老朽化が著しく、掃除も大変。キッチンも古く、収納が少ない。
  • リフォーム内容: 掃除しやすく保温性の高いユニットバスへ一式交換。キッチンは、収納力の高いシステムキッチンに入れ替え、壁付けから対面式に変更して家族とのコミュニケーションを取りやすくした。
  • 合計費用目安: 約250万円

この価格帯では、特に老朽化が気になる水回りを中心にリフォームすることで、日々の家事の負担軽減や快適性の向上が期待できます。

300万円〜500万円でできるリフォーム

この価格帯になると、間取り変更を含む比較的大規模なリフォームや、内装の全面的な刷新(フルリフォーム)が視野に入ってきます。中古マンションを購入して、自分たちのライフスタイルに合わせて全体を改装したい場合などに適しています。

【工事内容の例】

  • キッチン、浴室、トイレ、洗面所の水回り4点すべての設備交換と内装工事
  • LDKの間取り変更を伴うリフォーム(壁の撤去・新設など)
  • 内装の全面リフォーム(全部屋の壁・床・天井、建具の交換など)
  • 断熱性能向上のための内窓設置や断熱材の追加

【架空の実例シナリオ:50代夫婦・子供の独立後・築30年・70㎡】

  • 悩み: 子供部屋が不要になり、細かく区切られた間取りが使いづらい。夫婦二人のセカンドライフをゆったりと過ごせる空間にしたい。
  • リフォーム内容: 隣接するリビングと子供部屋の壁を撤去し、広々とした一つのLDKを作成。古くなった水回り設備はすべて一新し、バリアフリーを意識して手すりの設置や段差の解消も実施。家全体の壁紙と床材も好みのデザインに張り替えた。
  • 合計費用目安: 約480万円

300万円以上の予算をかけることで、間取りから見直し、暮らし方そのものを変えるリフォームが実現可能になります。

500万円〜1,000万円でできるリフォーム

この価格帯は、内装や設備をすべて解体・撤去してゼロから作り直す「フルリノベーション(スケルトンリフォーム)」が中心となります。デザイン性や素材にこだわり、理想の住空間を追求したい方に適しています。

【工事内容の例】

  • スケルトンリフォーム(間取りの自由な変更、配管・配線の更新を含む)
  • ハイグレードなキッチンや浴室、輸入建材など、高品質な設備・素材の採用
  • 造作家具(壁面収納、カウンターなど)の設置
  • 断熱・防音性能を大幅に向上させる工事

【架空の実例シナリオ:30代DINKS・都心の中古マンション購入・60㎡】

  • 悩み: 購入した中古マンションは立地は良いが、間取りや内装が好みではない。自分たちの趣味やライフスタイルを反映した、デザイン性の高い空間にしたい。
  • リフォーム内容: 全面的なスケルトンリフォームを実施。細かく区切られていた3DKを、開放的な1LDK+ウォークインクローゼットに変更。床は無垢材フローリング、壁は塗装仕上げとし、アイランドキッチンを導入。趣味の自転車を飾るスペースや、書斎コーナーも造作した。
  • 合計費用目安: 約800万円

フルリノベーションは、新築マンションを購入するよりも費用を抑えつつ、注文住宅のような自由度の高い家づくりができる点が大きな魅力です。

1,000万円以上でできるリフォーム

予算が1,000万円を超えると、最高級の設備や希少な天然素材の使用、著名な建築家やデザイナーへの依頼など、こだわりを極めたリフォームが可能になります。広さのあるマンション(100㎡以上など)のフルリノベーションでは、この価格帯になることも珍しくありません。

【工事内容の例】

  • 最高級グレードの設備(オーダーメイドキッチン、海外製バスなど)の導入
  • 天然石や無垢材などの高級自然素材をふんだんに使用した内装
  • 複雑なデザインや特殊な工法を要する工事
  • ホームシアター、ワインセラーなどの趣味空間の造成

このレベルのリフォームは、まさに「唯一無二の住まい」を創造するプロジェクトと言えるでしょう。費用は青天井になる可能性もあるため、信頼できる設計者やリフォーム会社と綿密な打ち合わせを重ねることが不可欠です。

リフォーム費用を左右する主な要因

同じようなリフォームに見えても、費用が大きく異なる場合があります。その背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。ここでは、リフォーム費用を決定づける4つの主要な要因について解説します。

工事の内容と規模

最も費用に直結するのが、工事の内容とその規模です。壁紙の張り替えのような表面的な「表層リフォーム」と、壁の撤去や新設を伴う「間取り変更リフォーム」、さらに構造躯体以外をすべて解体する「スケルトンリフォーム」とでは、費用が大きく異なります。解体する範囲が広ければ広いほど、廃材の処分費や下地処理の費用がかさみます。また、給排水管やガス管、電気配線の移動や更新が必要になると、専門的な技術者の工事費が加算され、費用はさらに高額になります。

設備のグレードや建材の種類

キッチン、ユニットバス、トイレなどの住宅設備は、同じメーカーの製品でもグレードによって価格が数十万円から数百万円単位で変わります。機能性(食洗機、浴室乾燥機など)、デザイン、素材によって多種多様な選択肢があり、どこにこだわるかで総額が大きく変動します。
同様に、床材(無垢材、複合フローリング、クッションフロア)、壁材(ビニールクロス、珪藻土、タイル)、建具(ドア、窓)なども、素材の種類や品質によって単価が大きく異なります。例えば、ビニールクロスと珪藻土では、材料費も施工費(左官工事が必要)も大きく変わってきます。

マンションの構造や規約

マンション特有の要因も費用に影響します。特に重要なのが「構造」と「管理規約」です。

  • 構造: マンションの構造には、主に「ラーメン構造」と「壁式構造」があります。ラーメン構造は柱と梁で建物を支えるため、室内の壁(間仕切り壁)の多くは撤去可能で、間取り変更の自由度が高いです。一方、壁式構造は壁そのもので建物を支えるため、撤去できない構造壁が多く、間取り変更に大きな制約があります。希望する間取り変更が構造上可能かどうか、また、それを実現するために特殊な補強工事が必要かどうかで費用が変わります。
  • 管理規約: 各マンションには、リフォームに関するルールを定めた「管理規約」が存在します。特に、床材の防音規定(遮音等級L-45以下など)は厳格に定められていることが多く、指定された性能を持つ高価な床材や下地材を使わなければならない場合があります。また、工事可能な曜日や時間帯、資材搬入のルールなども費用(工期の長期化や人件費)に影響を与える可能性があります。

リフォーム会社の選択

どこにリフォームを依頼するかも、費用を左右する大きなポイントです。リフォーム会社の業態は、設計事務所、工務店、リフォーム専門会社、ハウスメーカーのリフォーム部門など多岐にわたります。
デザイン性の高いリフォームを得意とする設計事務所は設計料が別途かかることが多く、地域密着型の工務店は比較的費用を抑えやすい傾向があります。大手のリフォーム会社は、商品企画力や保証体制が充実している反面、広告宣伝費や人件費が価格に反映され、高めになることもあります。それぞれの特徴を理解し、自分のリフォーム内容や予算に合った会社を選ぶことが重要です。

【箇所別】マンションリフォームの費用相場と工事期間の目安

住まいの快適性を向上させるためには、どの箇所にどれくらいの費用と期間がかかるのかを具体的に把握することが大切です。ここでは、主要な箇所別にリフォームの費用相場、工事期間の目安、そして価格を左右するポイントを詳しく解説します。

キッチン・台所

キッチンは毎日使う場所だからこそ、リフォームによる満足度が高い箇所の一つです。機能性やデザイン性を追求することで、日々の料理がもっと楽しく、効率的になります。

工事内容 費用相場 工事期間の目安
システムキッチンの交換 50万円 ~ 150万円 2日 ~ 5日
壁付けから対面式への変更 80万円 ~ 200万円 1週間 ~ 2週間
コンロ・換気扇のみの交換 15万円 ~ 30万円 1日

費用の内訳は、主に「キッチン本体の価格」と「工事費」です。キッチン本体は、I型、L型、対面式(アイランド型、ペニンシュラ型)といったレイアウトや、扉材のグレード、食洗機や浄水器、IHクッキングヒーターなどのオプション機能の有無によって価格が大きく変動します。

工事費は、既存キッチンの解体・撤去費用、新しいキッチンの組立・設置費用、そして給排水管やガス管、電気配線の移設工事費などが含まれます。特に、壁付けキッチンを対面式にするなど、レイアウトを大幅に変更する場合は、床や壁の補修、配管・配線の移動といった追加工事が必要になるため、費用と工期が増加します。費用を抑えたい場合は、既存のレイアウトのまま、同サイズのシステムキッチンに交換するのが最も効率的です。

浴室・お風呂

一日の疲れを癒す浴室は、快適性や安全性にこだわりたいスペースです。最新のユニットバスは、保温性、清掃性、節水性などが格段に向上しています。

工事内容 費用相場 工事期間の目安
ユニットバスの交換 60万円 ~ 150万円 3日 ~ 5日
在来工法からユニットバスへ 80万円 ~ 200万円 1週間 ~ 2週間
浴室乾燥機・暖房機の設置 10万円 ~ 25万円 1日 ~ 2日

マンションリフォームでは、防水性が高く施工も容易な「ユニットバスからユニットバスへ」の交換が一般的です。費用は、ユニットバス本体のグレードが大きく影響します。浴槽の素材(FRP、人工大理石など)、壁パネルのデザイン、浴室換気乾燥暖房機、ミストサウナ、ジェットバスといった高機能オプションを追加すると価格は上昇します。

注意が必要なのは、古いマンションに見られる「在来工法(タイル貼りなど)」の浴室です。これをユニットバスに交換する場合、解体工事や防水工事、下地造作が大掛かりになるため、費用も工期も大幅に増加します。また、マンションの梁(はり)や柱の位置によっては、設置できるユニットバスのサイズに制限があるため、事前の現地調査が非常に重要です。

トイレ

トイレリフォームは、比較的短期間かつ低コストで実施でき、節水効果や清掃性の向上など、費用対効果が高いのが特徴です。

工事内容 費用相場 工事期間の目安
便器の交換のみ 15万円 ~ 30万円 半日 ~ 1日
便器交換+内装工事 20万円 ~ 50万円 1日 ~ 2日
和式から洋式への変更 30万円 ~ 60万円 2日 ~ 4日

費用は、選ぶ便器の種類によって大きく変わります。タンク付きトイレは比較的安価ですが、タンクレス風トイレや、水道直結で見た目もすっきりするタンクレストイレは高価になる傾向があります。タンクレストイレは、別途手洗器の設置が必要になる場合がある点や、マンションの水圧によっては設置できないケースもあるため、事前に確認が必要です。
多くの場合は、便器交換と同時に壁紙(クロス)や床材(クッションフロア)の張り替えも行います。これにより、空間全体が明るく清潔な印象に生まれ変わります。

洗面所

洗面所は、洗顔や歯磨き、脱衣、洗濯など、多目的に使われる空間です。リフォームによって、収納力を高めたり、家事動線を改善したりできます。

工事内容 費用相場 工事期間の目安
洗面化粧台の交換 15万円 ~ 40万円 半日 ~ 1日
洗面化粧台交換+内装工事 20万円 ~ 50万円 1日 ~ 3日

洗面化粧台の価格は、間口(幅)のサイズ、収納キャビネットの種類(引き出し式、開き戸式)、鏡の機能(三面鏡、曇り止めヒーター)、水栓金具のデザインなどによって決まります。最近では、掃除がしやすい一体型のカウンターや、収納力の高い引き出しタイプが人気です。
洗面所は湿気がこもりやすいため、リフォームの際には調湿・消臭効果のある壁材(エコカラットなど)を採用したり、床材を耐水性の高いクッションフロアやフロアタイルにしたりするのもおすすめです。

リビング・ダイニング

家族が集まる中心的な空間であるリビング・ダイニングのリフォームは、住まい全体の印象を大きく変えます。

工事内容 費用相場 工事期間の目安
壁紙・床材の張り替え 30万円 ~ 80万円(12畳程度) 3日 ~ 5日
間取り変更(壁の撤去など) 50万円 ~ 200万円以上 1週間 ~ 3週間

内装の張り替えだけでも、空間の雰囲気は一新されます。アクセントクロスを取り入れたり、照明計画を見直したりすることで、よりデザイン性の高い空間を演出できます。
隣接する和室や洋室との壁を撤去して、一つの広々としたLDKにする間取り変更は、特に人気の高いリフォームです。ただし、前述の通り、マンションの構造によっては撤去できない壁があるため注意が必要です。また、壁を撤去した後の床や天井の補修、照明配線の変更なども必要になるため、費用は高額になります。

内装(壁紙・床材)

内装材の変更は、比較的低コストで部屋のイメージを大きく変えることができるリフォームです。

工事内容 費用相場(6畳間) 工事期間の目安
壁紙(クロス)の張り替え 5万円 ~ 8万円 1日
フローリングの張り替え 10万円 ~ 25万円 2日 ~ 4日
畳からフローリングへ 15万円 ~ 30万円 2日 ~ 4日

壁紙は、量産品のビニールクロスが最も安価ですが、デザイン性の高い輸入壁紙や、調湿・消臭機能を持つ機能性壁紙など、選択肢は豊富です。
フローリングの張り替えには、既存の床を剥がして新しい床材を張る「張り替え工法」と、既存の床の上に新しい床材を重ねて張る「重ね張り(カバー)工法」があります。重ね張り工法は、解体費用や廃材処分費がかからないため、費用と工期を抑えられますが、床が少し高くなる、下地の状態を確認できないといったデメリットもあります。
また、マンションの場合は、管理規約で定められた遮音等級(L値)をクリアする床材を選ぶことが絶対条件です。

玄関

玄関は「家の顔」とも言える場所です。収納を増やしたり、明るくしたりすることで、住まいの第一印象が格段に良くなります。

工事内容 費用相場 工事期間の目安
玄関収納(下駄箱)の交換 10万円 ~ 30万円 1日
床材(タイルなど)の張り替え 5万円 ~ 15万円 1日 ~ 2日

玄関リフォームの定番は、収納力の高い玄関収納への交換です。床から天井までのトールタイプにすれば、靴だけでなく傘やアウトドア用品などもすっきりと収納できます。また、床を高級感のあるタイルやフロアタイルに変更したり、人感センサー付きの照明を設置したりするのも人気の工事です。

窓・サッシ

窓は断熱性や防音性、防犯性に関わる重要な部分ですが、マンションでは窓サッシや玄関ドアは「共用部分」と定められていることがほとんどです。そのため、所有者が勝手に交換することはできません。
リフォームとして可能なのは、既存の窓の内側にもう一つ窓を設置する「内窓(二重窓)」の取り付けです。

工事内容 費用相場(1箇所) 工事期間の目安
内窓(二重窓)の設置 8万円 ~ 15万円 2時間 ~ 半日
ガラスのみの交換 5万円 ~ 10万円 1時間 ~ 3時間

内窓の設置は、断熱効果を高めて冷暖房効率を上げる、結露を軽減する、外からの騒音を低減するといった多くのメリットがあります。工事も比較的簡単で、1箇所あたり数時間で完了します。省エネリフォームとして補助金の対象になることも多いので、ぜひ検討したいリフォームです。

間取り変更

ライフスタイルの変化に合わせて間取りを変更することで、住まいの機能性を飛躍的に高めることができます。

工事内容 費用相場 工事期間の目安
壁の撤去 10万円 ~ 30万円 2日 ~ 4日
壁の新設 8万円 ~ 20万円 2日 ~ 3日
スケルトンリフォーム 500万円 ~ 2ヶ月 ~ 4ヶ月

壁を撤去して二部屋を一つにしたり、逆に広い部屋を仕切って子供部屋を二つ作ったりするのが一般的な工事です。費用は、撤去・新設する壁の面積、電気配線やスイッチの移設の有無などによって変動します。
最も重要な注意点は、撤去しようとしている壁が、建物を支える「構造壁(耐力壁)」ではないかを確認することです。これは図面だけでは判断が難しいため、必ず専門家であるリフォーム会社に現地調査を依頼する必要があります。構造壁を誤って撤去すると、建物の耐震性に深刻な影響を及ぼすため、絶対に行ってはいけません。

【規模・広さ別】マンションリフォームの費用相場

リフォームの費用は、工事を行う「箇所」だけでなく、その「規模」や「広さ(専有面積)」によっても大きく変わります。ここでは、気になる箇所だけを改修する「部分リフォーム」と、住まい全体を生まれ変わらせる「全面リフォーム(フルリノベーション)」に分け、それぞれの費用感を解説します。

部分リフォームの費用

部分リフォームは、特定の設備交換や一部屋の内装工事など、範囲を限定して行うリフォームです。前章「【箇所別】マンションリフォームの費用相場と工事期間の目安」で解説した内容がこれに該当します。

費用の目安は、数十万円から300万円程度が一般的です。

  • 〜100万円: トイレ交換+内装、洗面台交換+内装、一部屋の壁・床の張り替えなど
  • 100〜300万円: ユニットバス交換+洗面所リフォーム、システムキッチン交換、LDKの内装一新など

部分リフォームのメリットは、予算やライフスタイルに合わせて、必要な箇所から段階的に手を入れていけることです。また、工事期間が短く、住みながらの工事が可能なケースが多いのも特徴です。一方で、リフォームした箇所としていない箇所の差が目立ってしまったり、何度もリフォームを繰り返すことで結果的に費用が割高になったりする可能性もあります。

全面リフォーム(フルリノベーション)の費用

全面リフォーム(フルリノベーション)とは、住戸の内装や設備をすべて解体・撤去し、間取りから設備、内装までを全面的に作り直す大規模なリフォームを指します。特に、構造躯体(コンクリート)だけを残してすべてを新しくする工事は「スケルトンリフォーム」とも呼ばれます。

費用は、マンションの広さ(平米数)と、導入する設備のグレードや内装材の仕様によって大きく変動しますが、1㎡あたり10万円~20万円程度が目安となります。

専有面積 全面リフォーム(フルリノベーション)の費用相場
50㎡台 500万円 ~ 1,000万円
60㎡台 600万円 ~ 1,200万円
70㎡台 700万円 ~ 1,400万円
80㎡台 800万円 ~ 1,600万円

以下で、広さ別の費用相場とリフォーム内容のポイントを詳しく見ていきましょう。

【50㎡台】の費用相場

50㎡台のマンションは、単身者やDINKS(子供のいない共働き夫婦)に人気の広さです。リフォーム費用は500万円~1,000万円が中心的な価格帯となります。

  • リフォームのポイント:
    • 開放感の演出: 細かく区切られた2DKや2LDKの間取りを、壁を取り払って広々とした1LDKに変更するプランが人気です。視線が抜けることで、平米数以上の広がりを感じられます。
    • 多機能な空間づくり: 限られたスペースを有効活用するため、リビングの一角にワークスペースを設けたり、可動式の間仕切りで空間を柔軟に使えるようにしたりする工夫が有効です。
    • 収納計画: ウォークインクローゼットやシューズインクローゼットを設けることで、生活感の出やすい物をすっきりと片付け、空間を広く見せることができます。

【60㎡台】の費用相場

60㎡台は、夫婦二人暮らしから小さな子供のいる3人家族まで、幅広いライフステージに対応できる広さです。リフォーム費用は600万円~1,200万円が相場となります。

  • リフォームのポイント:
    • ライフステージの変化への対応: 現在の暮らしやすさはもちろん、将来の家族構成の変化も見据えた間取りが重要です。例えば、今は広いLDKとして使い、将来は壁を新設して子供部屋を作れるような設計にしておくことも可能です。
    • 家事動線の最適化: キッチンから洗面所、バルコニーへの動線をスムーズにする「回遊動線」を取り入れると、日々の家事効率が格段にアップします。
    • コミュニケーションの促進: 対面式キッチンを導入し、料理をしながらリビングにいる家族と会話ができるようにするなど、家族のつながりを育む空間づくりが求められます。

【70㎡台】の費用相場

70㎡台は、ファミリータイプのマンションとして最も標準的な広さです。3LDKの間取りが多く、3~4人家族が快適に暮らせます。リフォーム費用は700万円~1,400万円が目安です。

  • リフォームのポイント:
    • 家族それぞれのプライベート空間の確保: LDKという共有スペースの快適性に加え、夫婦の寝室や子供部屋といった個室のプライバシーや収納力をしっかり確保することが大切です。
    • 豊富な収納: 家族が増えると物も増えるため、各部屋のクローゼットに加えて、廊下収納やパントリー(食品庫)など、適材適所の収納計画が暮らしやすさを左右します。
    • 水回りの機能性: 家族が朝の準備で混雑しないよう、洗面台を広くしたり、トイレを2箇所設けたり(間取りによります)といった工夫も検討の価値があります。

【80㎡台】の費用相場

80㎡台以上の広さになると、4人以上の家族でもゆとりを持って暮らすことができます。リフォーム費用は800万円~1,600万円以上となることが多く、プランの自由度も高まります。

  • リフォームのポイント:
    • 「+α」の空間づくり: LDKや個室といった基本的な空間に加え、書斎や趣味の部屋、トレーニングスペース、大容量のウォークスルークローゼットなど、ライフスタイルを豊かにするプラスアルファの空間を設けることが可能です。
    • 素材やデザインへのこだわり: 予算に余裕が生まれやすいため、床材に無垢材やタイルを使ったり、壁にデザイン性の高い塗装や左官仕上げを施したり、造作家具を多く取り入れたりと、内装の質にこだわったリフォームが実現できます。
    • 二世帯同居の検討: 間取りによっては、玄関や水回りを部分的に分けるなど、プライバシーに配慮した二世帯同居型のリフォームも視野に入ります。

全面リフォームは高額になりますが、配管や配線といったインフラ部分から一新できるため、建物の性能を根本から向上させ、この先何十年も安心して暮らせる住まいを手に入れられるという大きなメリットがあります。

マンションリフォームの費用を安く抑える7つのコツ

複数のリフォーム会社から相見積もりを取る、国や自治体の補助金・助成金制度を活用する、設備のグレードや素材を見直す、DIYできる部分は自分で行う、リフォーム箇所をまとめて依頼する、工事の時期を閑散期に合わせる、減税制度(住宅ローン控除など)を利用する

理想のリフォームを実現したいけれど、予算はできるだけ抑えたい、というのは誰もが思うことです。ここでは、品質を落とさずにリフォーム費用を賢く節約するための7つの実践的なコツをご紹介します。

① 複数のリフォーム会社から相見積もりを取る

リフォーム費用を適正化するための最も基本的かつ重要なステップが「相見積もり」です。同じ工事内容でも、リフォーム会社によって見積金額は数十万円、場合によっては100万円以上も異なることがあります。
最低でも3社以上から見積もりを取ることをおすすめします。これにより、以下のメリットが得られます。

  • 適正価格の把握: 複数の見積もりを比較することで、そのリフォーム内容のおおよその相場観が掴めます。極端に高い、あるいは安すぎる会社を見分けることができます。
  • 会社の比較検討: 価格だけでなく、提案内容、担当者の知識や対応、保証内容などを多角的に比較し、最も信頼できるパートナーを選ぶことができます。
  • 価格交渉の材料: 他社の見積もりを提示することで、価格交渉がしやすくなる場合があります。(ただし、単に値切るだけでなく、納得のいく説明を求める姿勢が大切です)

注意点として、見積もりの安さだけで会社を決めないようにしましょう。なぜその価格で提供できるのか(自社施工か、材料の仕入れルートか、など)をきちんと確認し、工事内容や品質に問題がないかを見極めることが重要です。

② 国や自治体の補助金・助成金制度を活用する

リフォームの内容によっては、国や地方自治体が実施している補助金・助成金制度を利用できます。これらを活用すれば、数十万円単位で費用負担を軽減できる可能性があります。

対象となることが多いのは、以下のような社会的な要請が高いリフォームです。

  • 省エネリフォーム: 断熱(内窓設置、断熱材追加など)、高効率給湯器の設置
  • バリアフリーリフォーム: 手すりの設置、段差の解消、廊下幅の拡張
  • 耐震リフォーム: (マンション全体での改修が主ですが、一部で補助対象となる場合も)
  • 子育て支援リフォーム: 若者・子育て世代の住宅取得やリフォームを支援する制度

これらの制度は、予算や申請期間が定められており、「工事着工前の申請」が必須なものがほとんどです。後から知っても利用できないケースが多いため、計画の初期段階でリフォーム会社に相談し、利用できる制度がないか確認しましょう。

③ 設備のグレードや素材を見直す

リフォーム費用の中で大きな割合を占めるのが、キッチンやユニットバスなどの設備費と、フローリングや壁紙などの建材費です。すべての箇所で最高グレードのものを選ぶのではなく、「こだわりたい部分」と「コストを抑える部分」にメリハリをつけることが、費用削減の鍵となります。

  • 例1: 毎日使うキッチンにはこだわるが、あまり使わない部屋の壁紙は安価な量産品にする。
  • 例2: リビングの床は見た目の良い無垢材にするが、寝室はコストの安い複合フローリングにする。
  • 例3: ユニットバス本体は標準グレードにし、代わりに浴室換気乾燥機などのオプションを追加する。

また、「施主支給」といって、施主(自分)が購入した設備や建材をリフォーム会社に取り付けてもらう方法もあります。インターネットなどで安く購入できれば費用を抑えられますが、保証の対象外になったり、取り付けを断られたりするリスクもあるため、必ず事前にリフォーム会社に確認・相談が必要です。

④ DIYできる部分は自分で行う

簡単な作業であれば、DIY(Do It Yourself)で費用を節約することも可能です。

  • DIYしやすい作業: 壁の塗装、簡単な棚の取り付け、既存の家具の再利用など
  • プロに任せるべき作業: 電気工事、ガス工事、水道配管工事、構造に関わる工事

特に電気・ガス・水道に関する工事は、専門的な資格が必要であり、素人が行うと重大な事故につながる危険があります。DIYを取り入れる際は、どこまでを自分で行い、どこからをプロに任せるのか、リフォーム会社と事前にしっかりと線引きをしておくことが重要です。

⑤ リフォーム箇所をまとめて依頼する

将来的にリフォームを考えている箇所が複数ある場合、バラバラに発注するよりも、一度にまとめて依頼する方がトータルの費用は安くなる傾向があります。

例えば、浴室と洗面所を別々のタイミングでリフォームすると、それぞれに職人の人件費や廃材処分費、養生費などの「諸経費」がかかります。しかし、同時にリフォームすれば、これらの諸経費を一本化でき、効率化された分だけ費用を抑えられます。また、資材の一括仕入れによる割引が期待できる場合もあります。
長期的なリフォーム計画を立て、どの工事をどのタイミングでまとめるのが最も効率的か、リフォーム会社に相談してみるのがおすすめです。

⑥ 工事の時期を閑散期に合わせる

リフォーム業界にも繁忙期と閑散期があります。

  • 繁忙期: 2月~3月(決算期、新生活準備)、9月~12月(年末までに終わらせたい需要)
  • 閑散期: 6月~8月(梅雨、猛暑)、1月(年始)

繁忙期を避け、職人の手が空きやすい閑散期に工事を依頼することで、価格交渉がしやすくなったり、より丁寧な対応を期待できたりするメリットがあります。工期に融通が利く場合は、リフォーム会社に「閑散期に工事をすることで安くなりませんか?」と相談してみるのも一つの手です。

⑦ 減税制度(住宅ローン控除など)を利用する

一定の要件を満たすリフォームを行った場合、所得税や固定資産税が控除される減税制度を利用できます。

  • 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除): 10年以上のローンを組んでリフォームした場合、年末のローン残高の一定割合が所得税から控除されます。
  • リフォーム促進税制: ローンを利用しない場合でも、特定の工事(耐震、バリアフリー、省エネなど)を行えば、所得税が控除される制度です。
  • 固定資産税の減額措置: 耐震、バリアフリー、省エネリフォームを行った場合、翌年度の家屋の固定資産税が減額されます。

これらの制度は、それぞれ対象となる工事内容や適用要件、申請方法が異なります。補助金と同様、リフォーム会社や税務署に確認し、漏れなく活用しましょう。

マンションリフォームで使える補助金・助成金制度

申請タイミングは工事の契約・着工前、予算と期間には限りがある、申請手続きは煩雑な場合が多い、対象となる施工業者が指定される場合がある

高額になりがちなリフォーム費用ですが、国や自治体が提供する補助金・助成金制度をうまく活用することで、負担を大きく軽減できます。これらの制度は、省エネやバリアフリーといった社会的な課題解決を目的としており、要件を満たすことで返済不要の支援金を受け取れます。ここでは、代表的な制度とその注意点について解説します。
(注)補助金・助成金制度は、年度ごとに内容が変更されたり、予算に達し次第終了したりすることがあります。必ず、各制度の公式サイトやお住まいの自治体で最新の情報を確認してください。

国が主体となる制度

国が全国的に実施している大規模な補助金制度です。対象となる工事の範囲が広く、補助額も大きいのが特徴です。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

住宅の性能を向上させ、長く良好な状態で使用できる「長期優良住宅」への改修を支援する制度です。劣化対策、耐震性、省エネルギー対策など、複数の性能項目を満たす必要があります。

  • 主な対象工事: 構造躯体の劣化対策、耐震改修、省エネ改修(断熱、高効率給湯器)、バリアフリー改修、三世代同居対応改修など。
  • 補助額: 工事費用の1/3を上限に、住宅の性能に応じて最大250万円(条件による)。
  • 特徴: 複数の工事を組み合わせて住宅全体の性能を総合的に向上させる、比較的大規模なリフォームが対象となります。
  • 参照: 国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業 公式サイト

子育てエコホーム支援事業

エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による、高い省エネ性能を持つ住宅の取得や省エネ改修を支援する制度です。

  • 主な対象者: 子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)または若者夫婦世帯(夫婦いずれかが39歳以下の世帯)。それ以外の世帯も一部対象となります。
  • 主な対象工事: 省エネ改修(開口部の断熱改修(内窓設置など)、外壁・屋根・天井又は床の断熱改修、エコ住宅設備の設置)が必須。これと併せて行う子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置なども対象。
  • 補助額: 工事内容に応じて上限20万円~60万円(世帯属性や既存住宅の購入有無による)。
  • 特徴: 内窓の設置など、比較的取り組みやすい省エネリフォームから利用できるため、人気の高い制度です。
  • 参照: 国土交通省 子育てエコホーム支援事業 公式サイト

介護保険の住宅改修費

要支援・要介護認定を受けている方が、自宅で安全に暮らすために行うバリアフリーリフォームを支援する制度です。

  • 主な対象工事: 手すりの取付け、段差の解消、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替えなど。
  • 支給限度基準額: 被保険者1人につき20万円。利用者は費用の1割~3割(所得による)を自己負担します。つまり、最大18万円が支給されます。
  • 特徴: 介護を必要とする方のための、生活に直結した小規模な改修が対象です。ケアマネジャー等への事前相談が必須となります。
  • 参照: 厚生労働省 介護保険における住宅改修

自治体が主体となる制度

国だけでなく、各都道府県や市区町村も独自のリフォーム補助金・助成金制度を設けています。お住まいの自治体によって制度の有無や内容、補助額が大きく異なるため、まずは自治体のホームページなどで確認することが重要です。

  • 制度の探し方:
    • お住まいの「市区町村名」+「リフォーム 助成金」や「住宅改修 補助金」といったキーワードで検索する。
    • 地方公共団体における住宅リフォームに関する支援制度検索サイト(住宅リフォーム推進協議会)などを利用する。
  • 一般的な制度の例:
    • 耐震改修助成: 旧耐震基準のマンションに対する耐震診断や改修工事の費用を補助。
    • 省エネ設備導入補助: 太陽光発電システム、家庭用蓄電池(エネファームなど)の設置を補助。
    • 地域材利用促進: 自治体が指定する地域の木材を使用してリフォームする場合に補助。
    • 三世代同居・近居支援: 子育て世帯と親世帯が同居・近居するために行うリフォームを補助。

国の制度と併用できる場合もあるため、使える制度は漏れなく活用しましょう。

補助金利用の注意点

補助金制度は非常に魅力的ですが、利用にあたってはいくつかの重要な注意点があります。

  • 申請タイミング: ほとんどの制度が「工事の契約前・着工前」の申請を必須としています。工事が終わってからでは申請できないため、計画の初期段階で利用の可否を確認し、手続きを進める必要があります。
  • 予算と期間: 各制度には年度ごとの予算が定められており、申請額が予算の上限に達した時点で受付が終了してしまいます。人気の制度は早々に締め切られることもあるため、早めの行動が肝心です。
  • 手続きの煩雑さ: 申請には、見積書、工事図面、住民票、納税証明書など、多くの書類が必要になります。手続きが複雑で分かりにくい場合も多いため、補助金申請のサポート実績が豊富なリフォーム会社を選ぶと安心です。
  • 対象業者の指定: 制度によっては、自治体内の業者に工事を依頼することが条件となっている場合があります。事前に要件をよく確認しましょう。

補助金の活用は、情報収集とタイミングが成功の鍵です。まずはリフォーム会社に相談し、専門家のアドバイスを受けながら進めるのが最も確実な方法です。

マンションリフォームで利用できるローン

リフォーム費用は高額になることが多く、自己資金だけでは賄えないケースも少なくありません。その際に心強い味方となるのが「リフォームローン」です。ここでは、リフォームローンの種類や、住宅ローンとの違いについて解説します。

リフォームローンの種類

リフォームローンは、大きく「有担保ローン」と「無担保ローン」の2種類に分けられます。それぞれに特徴があり、リフォームの規模や予算に応じて選択することが重要です。

種類 有担保ローン 無担保ローン
担保 必要(リフォームする住宅と土地) 不要
金利 低い(年0.5%~2%程度) 高い(年2%~5%程度)
借入可能額 高い(~1億円程度) 低い(~1,000万円程度)
返済期間 長い(最長35年など) 短い(最長15年など)
審査・手続き 厳格で時間がかかる 比較的簡易でスピーディー
諸費用 高い(保証料、抵当権設定費用など) 安い(または不要)
向いているリフォーム 全面リフォーム、大規模リノベーション 部分リフォーム、小規模な設備交換

有担保ローン

自宅を担保に入れることで、低金利かつ高額な借り入れが可能なローンです。金融機関にとっては貸し倒れのリスクが低いため、好条件での融資が期待できます。
全面リフォームやフルリノベーションなど、500万円を超えるような大規模な工事に向いています。返済期間も長く設定できるため、月々の返済負担を抑えたい場合に適しています。
ただし、担保評価や抵当権設定の手続きが必要なため、審査に時間がかかります。また、保証料や登記費用などの諸費用が別途数十万円かかる点も考慮が必要です。

無担保ローン

担保を提供せずに利用できる、手軽なリフォームローンです。銀行のほか、信販会社なども取り扱っています。
担保が不要な分、金融機関のリスクが高いため、有担保ローンに比べて金利は高めに設定されています。借入可能額も低めで、返済期間も短くなります。
水回り設備の交換や内装工事など、数百万程度までの比較的小規模なリフォームに向いています。最大のメリットは、審査がスピーディーで手続きが簡単なことです。インターネットで申し込みが完結する商品も多く、急なリフォームにも対応しやすいでしょう。

住宅ローンとの違い

リフォーム資金を準備する方法として、リフォームローン以外に「住宅ローン」を活用する選択肢もあります。

特に、中古マンションを購入してすぐにリフォームを行う場合、物件の購入費用とリフォーム費用をまとめて一つの住宅ローンとして借り入れる「一体型ローン」が非常に有効です。

【一体型住宅ローンのメリット】

  • 低金利: リフォームローン単体で組むよりも、住宅ローンの低い金利が適用されるため、総返済額を大幅に抑えることができます。
  • 手続きの一本化: 物件購入とリフォームのローン契約を一度で済ませられるため、手間が省けます。
  • 住宅ローン控除の対象: リフォーム費用部分も含めて、住宅ローン控除の対象となります(要件あり)。

【一体型住宅ローンの注意点】

  • スケジュール管理: 物件の売買契約と並行して、リフォームの見積もりを取得し、プランを固める必要があります。タイトなスケジュール管理が求められます。
  • 金融機関の指定: 金融機関によっては、提携しているリフォーム会社を利用することが条件となる場合があります。

すでに住宅ローンを返済中の人がリフォームを行う場合は、「住宅ローンの借り換え」という方法もあります。これは、既存のローンをより金利の低い別の住宅ローンに乗り換え、その際にリフォーム費用も上乗せして借り入れる方法です。金利負担を軽減しつつ、リフォーム資金も確保できる可能性があります。

どのローンが最適かは、リフォームの規模、自己資金の額、そして個々の状況によって異なります。まずはリフォーム会社に資金計画を相談し、提携している金融機関を紹介してもらったり、アドバイスを受けたりするのが良いでしょう。

失敗しないリフォーム会社の選び方

マンションリフォームの実績が豊富か、見積書の内容が詳細で明確か、保証やアフターサービスが充実しているか、担当者との相性を見極める

リフォームの成否は、パートナーとなるリフォーム会社選びで9割が決まると言っても過言ではありません。価格の安さだけで選んでしまうと、「仕上がりがイメージと違う」「追加工事で結局高くなった」「工事後に不具合が出た」といったトラブルにつながりかねません。ここでは、信頼できるリフォーム会社を見極めるための4つの重要なポイントを解説します。

マンションリフォームの実績が豊富か確認する

戸建てリフォームとマンションリフォームは、似ているようで全く異なります。マンションには、管理規約、構造上の制約、近隣への配慮など、特有の課題が多く存在します。

マンションリフォームの実績が豊富な会社は、これらの制約を熟知しています。

  • 管理規約への理解: 専有部分と共用部分の区別、床の防音規定、工事可能な時間帯など、複雑な規約を正確に理解し、管理組合への申請手続きもスムーズに進めてくれます。
  • 構造への知識: ラーメン構造と壁式構造の違いを理解し、どこまで間取り変更が可能か、どの壁が壊せないのかを的確に判断できます。
  • 近隣対策のノウハウ: 資材の搬入・搬出経路の確保や養生の方法、工事前の近隣挨拶など、トラブルを未然に防ぐためのノウハウを持っています。

会社のホームページで「施工事例」を確認し、自分と似たような広さや築年数のマンションリフォーム事例が数多く掲載されているかをチェックしましょう。具体的な事例は、その会社の経験と提案力の証です。

見積書の内容が詳細で明確かチェックする

複数の会社から見積もりを取ったら、その内容を詳細に比較検討します。ここで見るべきは、総額の安さだけではありません。「見積書がどれだけ丁寧で分かりやすく作られているか」が、その会社の誠実さを測るバロメーターになります。

【良い見積書のチェックポイント】

  • 項目が細かい: 「キッチン工事一式 〇〇円」のような大雑把な記載ではなく、「商品代」「解体撤去費」「組立設置費」「給排水工事費」「電気工事費」「廃材処分費」など、工事内容ごとに単価と数量が細かく記載されているか。
  • 使用する建材や設備の品番が明記されている: キッチンやユニットバス、フローリングなどのメーカー名、商品名、品番まで具体的に書かれているか。これにより、契約後に勝手にグレードの低い製品に変更されるといったトラブルを防げます。
  • 諸経費の内訳が分かる: 「諸経費」の項目が何に対する費用(現場管理費、交通費、駐車場代など)なのか、説明があるか。

不明な点があれば、遠慮なく質問しましょう。その際の回答が曖ুদ্ধで納得できないような会社は、避けた方が賢明です。

保証やアフターサービスが充実しているか確認する

リフォームは、引き渡しが完了したら終わりではありません。万が一、工事中に事故が起きたり、工事後に不具合が発生したりした場合に、しっかりと対応してくれる体制が整っているかを確認することが非常に重要です。

確認すべき保証は主に2つです。

  • 工事中の保証(建設工事保険・リフォーム瑕疵保険):
    • 建設工事保険: 工事中の火災や資材の盗難、第三者への損害などを補償する保険です。リフォーム会社が加入しているのが一般的です。
    • リフォーム瑕疵(かし)保険: 工事後に欠陥(瑕疵)が見つかった場合に、その補修費用を補償してくれる保険です。事業者が倒産してしまった場合でも、保険法人から直接保険金を受け取れます。この保険に加入している会社は、第三者機関の検査を受けているため、工事品質に対する信頼性が高いと言えます。
  • 工事後の保証(アフターサービス):
    • これはリフォーム会社が独自に設けている保証制度です。設備機器の保証(メーカー保証とは別)、内装の保証など、保証の対象範囲や期間(1年、5年、10年など)は会社によって様々です。
    • 「定期点検(半年後、1年後など)」を実施してくれるかどうかも、長く付き合える会社かを見極めるポイントになります。

契約前に、保証内容を具体的に書面で提示してもらいましょう。

担当者との相性を見極める

最終的にリフォームプロジェクトを二人三脚で進めていくのは、リフォーム会社の担当者です。どんなに会社の評判が良くても、担当者との相性が悪ければ、満足のいくリフォームは実現できません。

打ち合わせの段階で、以下の点を見極めましょう。

  • コミュニケーションの円滑さ: こちらの要望や悩みを親身になって聞いてくれるか。専門用語を分かりやすく説明してくれるか。
  • 提案力: こちらの要望をただ聞くだけでなく、プロの視点から「こうした方がもっと良くなりますよ」といったプラスアルファの提案をしてくれるか。予算内で実現するための代替案を出してくれるか。
  • レスポンスの速さ: 質問や相談に対する返信が迅速で、誠実に対応してくれるか。

リフォームは数ヶ月にわたる長い付き合いになります。「この人になら安心して任せられる」と心から思える担当者と出会うことが、リフォームを成功させるための最後の、そして最も重要な鍵となるでしょう。

マンションリフォームの基本的な流れ

情報収集とリフォーム会社探し、現地調査と見積もり依頼、プラン決定と契約、管理組合への申請と近隣への挨拶、着工から引き渡し

マンションリフォームを成功させるためには、計画から完成までの全体的な流れを把握しておくことが大切です。ここでは、施主(あなた)が何をすべきかという視点から、5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:情報収集とリフォーム会社探し

すべての始まりは、理想の住まいをイメージすることから。この段階で、リフォームの方向性と予算を固めていきます。

  • ① リフォームの目的と要望を整理する: なぜリフォームしたいのか(老朽化、家族構成の変化、デザインの不満など)、どこを、どのように変えたいのかを家族で話し合い、ノートなどに書き出してみましょう。「暗いキッチンを明るくしたい」「収納が少なくて散らかる」といった現状の不満点をリストアップすると、要望が明確になります。
  • ② 情報収集とイメージ固め: インテリア雑誌やSNS(Instagram, Pinterestなど)、リフォーム会社の施工事例サイトを見て、好みのデザインや取り入れたいアイデアのイメージを膨らませます。気に入った写真は保存しておくと、後でリフォーム会社にイメージを伝えやすくなります。
  • ③ 予算の設定: これまでの情報をもとに、リフォームにかけられるおおよその予算を決めます。自己資金はいくら用意できるか、ローンを利用するかなども含めて検討しましょう。予期せぬ追加工事に備え、予算の10~20%程度の予備費を見込んでおくと安心です。
  • ④ リフォーム会社候補のリストアップ: インターネット検索や知人の紹介などを通じて、相談するリフォーム会社の候補を3~5社程度リストアップします。この時点では、前述した「マンションリフォームの実績」を重視して選びましょう。

ステップ2:現地調査と見積もり依頼

リフォーム会社の候補が決まったら、実際にコンタクトを取り、具体的なプランニングを進めていきます。

  • ① リフォーム会社への連絡と相談: リストアップした会社に連絡し、リフォームの概要を伝えて相談します。この時の電話やメールの対応も、会社選びの判断材料になります。
  • ② 現地調査の依頼: 正確な見積もりとプランを作成してもらうため、各社に自宅に来てもらい「現地調査」を依頼します。担当者は、部屋の寸法を測ったり、壁や床下の状態を確認したり、管理規約をチェックしたりします。現地調査は必ず複数の会社に同条件で依頼し、立ち会うことが重要です。
  • ③ 要望の伝達とヒアリング: 現地調査の際に、ステップ1でまとめた要望やイメージ写真を担当者に見せ、具体的に伝えます。プロの視点から、実現可能性や代替案についてアドバイスをもらえます。

ステップ3:プラン決定と契約

各社から提出された見積書とプランを比較検討し、依頼する1社を決定して契約を結びます。

  • ① 見積書とプランの比較検討: 各社の提案内容、見積金額、デザイン、担当者の対応などを総合的に比較します。「なぜこのプランなのか」「なぜこの金額なのか」を納得できるまで質問し、最も信頼できる会社を選びます。
  • ② プランの最終調整: 依頼する会社が決まったら、見積もり内容をベースに、使用する建材や設備の品番、色、デザインなど、細部まで詳細な仕様を詰めていきます。ショールームに足を運び、実物を確認することも重要です。
  • ③ 契約: すべての仕様と金額が確定したら、工事請負契約を結びます。契約書は非常に重要な書類です。契約金額、支払い条件、工期、保証内容、遅延した場合の規定などが明記されているか、隅々まで確認し、疑問点があれば必ず解消してから署名・捺印しましょう。

ステップ4:管理組合への申請と近隣への挨拶

マンションリフォーム特有の、非常に重要な手続きです。これを怠ると、工事が中止になったり、近隣トラブルに発展したりする可能性があります。

  • ① 管理組合へのリフォーム申請: マンションの管理規約に従い、管理組合(または管理会社)にリフォームの工事申請を行います。申請書や工事図面、工程表などの提出が必要で、通常はリフォーム会社が代行またはサポートしてくれます。承認が下りるまでに数週間かかる場合があるため、早めに手続きを始めることが大切です。
  • ② 近隣住民への挨拶: 工事が始まる1週間前までには、リフォーム会社の担当者と一緒に、両隣、上下階の住民へ挨拶回りをしましょう。工事の日程、内容、騒音が出る時間帯などを伝え、粗品(タオルや洗剤など)を持参すると、より丁寧な印象を与えられます。

ステップ5:着工から引き渡し

いよいよ実際の工事が始まり、夢の住まいが形になっていきます。

  • ① 着工・工事中の確認: 工事中は、定期的に現場に顔を出し、進捗状況を確認したり、職人さんとコミュニケーションを取ったりすると良いでしょう。仕様と違う点や気になることがあれば、その場で担当者に確認します。
  • ② 完了検査(施主検査): 工事がすべて終わると、リフォーム会社の担当者と一緒に、仕上がりをチェックする「完了検査」を行います。図面や仕様書通りに仕上がっているか、傷や汚れがないか、設備は正常に作動するかなどを細かく確認します。
  • ③ 手直し工事と引き渡し: 完了検査で不具合が見つかった場合は、手直し工事を依頼します。すべての手直しが完了し、納得できる状態になったら、最終的な代金の支払い(残金決済)を行い、鍵や保証書を受け取って「引き渡し」となります。

この一連の流れを理解しておくことで、今どの段階にいて、次に何をすべきかが明確になり、安心してリフォームを進めることができます。

マンションリフォームで知っておくべき注意点

マンションの管理規約を必ず確認する、近隣住民への配慮を忘れない、追加費用が発生する可能性を考慮する

マンションリフォームには、戸建てにはない特有のルールや制約があります。これらを知らずに進めてしまうと、後で大きなトラブルに発展しかねません。ここでは、絶対に押さえておくべき3つの重要な注意点を解説します。

マンションの管理規約を必ず確認する

マンションリフォームにおける最大のルールブックが「管理規約」です。ここには、リフォームに関する様々な決まり事が定められており、すべての区分所有者はこれを遵守する義務があります。リフォーム計画を立てる前に、必ず管理規約の写しを入手し、リフォーム会社と一緒に内容を熟読しましょう。特に注意すべきは以下の4点です。

専有部分と共用部分の範囲

リフォームができるのは、原則として自分自身が所有する「専有部分」のみです。「共用部分」に手を入れることはできません。この区別は、時に誤解を生みやすいため注意が必要です。

  • 専有部分(リフォーム可能): 住戸の内壁、天井、床、間仕切り壁、内部の設備(キッチン、バス、トイレなど)
  • 共用部分(リフォーム不可): 玄関ドア、窓サッシ、バルコニー、建物の構造躯体(コンクリートの壁、床スラブ、柱、梁など)

例えば、「玄関ドアの室内側」は専有部分なので塗装などが可能ですが、ドア本体の交換は共用部分にあたるため不可です。同様に、窓ガラスやサッシも交換はできず、リフォームは内窓の設置などに限定されます。

工事可能な時間帯や曜日

多くの管理規約では、騒音や振動を伴う工事について、作業可能な時間帯(例:平日午前9時~午後5時)や曜日が定められています。日曜・祝日の工事を禁止しているマンションも少なくありません。このルールは、工期や工事費用にも影響するため、事前に正確に把握しておく必要があります。

床材の防音規定

下の階への音漏れを防ぐため、床材に関する規定は特に厳しく定められていることがほとんどです。一般的に、フローリング材の遮音性能を「L値(エルち)」という等級で指定しています。

  • L値とは: 床衝撃音レベルを表す指標で、数値が小さいほど遮音性能が高いことを意味します。
  • 一般的な規定: 多くのマンションで「L-45」や、より厳しい「L-40」といった基準が設けられています。

カーペットからフローリングに変更する場合などは、この規定をクリアする遮音性能の高いフローリング材や、専用の防音下地材を使用する必要があります。規定を無視して工事を行うと、後で管理組合から是正命令を受ける可能性もあります。

搬入・搬出のルール

リフォーム工事では、新しい建材の搬入や、解体で出た廃材の搬出が伴います。その際のルールも管理規約で定められています。

  • エレベーターの使用: 使用時間や、傷をつけないための養生(保護シートなどで覆うこと)が義務付けられていることがほとんどです。
  • 共用廊下やエントランスの養生: 台車などで共用部分を傷つけないよう、通路にも養生が必要となります。
  • 車両の駐車場所: 工事車両や資材を積んだトラックの駐車場所についても、指定がある場合があります。

これらのルールは、リフォーム会社が遵守すべきものですが、施主としても把握しておくことが大切です。

近隣住民への配慮を忘れない

マンションは共同住宅です。リフォーム工事はどうしても騒音や振動、人の出入り、ホコリの発生などを伴い、近隣住民に少なからず迷惑をかけてしまいます。良好なご近所関係を維持するためにも、事前の配慮は不可欠です。

  • 工事前の挨拶: 前述の通り、工事開始の1週間~10日前には、リフォーム会社の担当者と一緒に、最低でも両隣と上下階の4戸には挨拶に伺いましょう。工事期間や内容を説明し、一言お詫びを添えるだけで、相手の心証は大きく変わります。
  • 工事中の対応: 工事車両が他の住民の迷惑にならないよう配慮したり、共用部分を汚した場合は速やかに清掃したりするなど、リフォーム会社に徹底してもらうようお願いしましょう。

円滑な工事と、リフォーム後の快適な暮らしのために、近隣への心配りを忘れないようにしましょう。

追加費用が発生する可能性を考慮する

リフォームでは、契約時の見積金額以外に、「追加費用」が発生する可能性があります。特に、壁や床を解体してみて初めて分かる問題が原因となるケースが多いです。

  • 追加費用の発生例:
    • 壁を剥がしたら、内部の柱や土台が腐食・シロアリ被害にあっていた。
    • 床を剥がしたら、下地が想定以上に傷んでいて補修が必要になった。
    • 天井裏に断熱材が入っていなかったため、追加で入れることにした。
    • 予定していた場所に配管を通すことができず、迂回ルートの工事が必要になった。

このような不測の事態に備え、契約金額とは別に、予算の10~20%程度を「予備費」として確保しておくことを強くおすすめします。また、追加工事が必要になった場合は、必ずその内容と金額について事前に説明を受け、書面で確認してから着手してもらうようにしましょう。「いつの間にか工事が進んでいて、後から高額な請求をされた」というトラブルを防ぐためです。

マンションリフォームに関するよくある質問

最後に、マンションリフォームを検討している多くの方が抱く、共通の疑問にお答えします。

工事期間はどれくらいかかりますか?

工事期間は、リフォームの規模や内容によって大きく異なります。以下に大まかな目安を示します。

  • トイレの交換: 半日~1日
  • 洗面化粧台の交換: 半日~1日
  • ユニットバスの交換: 3日~5日
  • システムキッチンの交換: 2日~5日
  • 内装工事(6畳間): 1日~3日
  • 水回り4点(キッチン・バス・トイレ・洗面)の交換: 2週間~3週間
  • 間取り変更を含むLDKのリフォーム: 2週間~1ヶ月
  • 全面リフォーム(フルリノベーション): 2ヶ月~4ヶ月

これらはあくまで目安であり、マンションの構造や管理規約の制約、使用する建材の納期などによって変動します。また、複数の工事を同時に行う場合、全体の期間は単純な足し算にはならず、効率的に進めることで短縮されることもあります。正確な工期については、リフォーム会社に工程表を提出してもらい、確認することが重要です。

住みながらリフォームは可能ですか?

結論から言うと、部分的なリフォームであれば住みながらの工事は可能です。しかし、全面リフォーム(フルリノベーション)の場合は、仮住まいを用意する必要があります。

  • 住みながらリフォームできるケース:
    • トイレや洗面所など、範囲が限定的なリフォーム
    • リビングと寝室を別々に工事するなど、部屋ごとに行うリフォーム
  • 住みながらリフォームする際の注意点:
    • 騒音・ホコリ: 工事中は大きな音やホコリが発生するため、ストレスを感じることがあります。特に小さなお子様やペットがいるご家庭、在宅ワークをされる方は注意が必要です。
    • 生活の制限: 水回り(キッチン、浴室)を工事している期間は、その設備が使用できません。外食や銭湯の利用などが必要になります。
    • 家具の移動: 工事する部屋の家具や荷物は、別の部屋に移動させる必要があります。そのためのスペース確保が課題となります。

精神的な負担や生活の不便さを考慮すると、可能であれば工事期間中はウィークリーマンションや実家などに一時的に移ることも検討すると良いでしょう。

中古マンション購入と同時にリフォームはできますか?

はい、可能です。そして、非常にメリットの多い選択肢です。中古マンションを購入して、入居前に自分のライフスタイルに合わせてリフォームする「中古買ってリノベ」は、近年人気のスタイルとなっています。

  • メリット:
    • コストパフォーマンス: 新築マンションよりも安価な中古物件を購入し、浮いた予算をリフォームに充てることで、新築同様、あるいはそれ以上の自分好みの住まいを、トータルコストを抑えて手に入れることができます。
    • 入居前に工事完了: 引っ越し前にすべての工事を終えられるため、住みながらリフォームする際の騒音やホコリ、生活の不便さといったストレスがありません。
    • 一体型ローンが利用可能: 物件購入費用とリフォーム費用をまとめて低金利の住宅ローンで借り入れることができます。
  • 注意点:
    • スケジュール管理: 物件探しと並行してリフォーム会社を探し、プランを練る必要があります。物件の引き渡しから工事開始、そして入居までのスケジュールをタイトに管理しなければなりません。
    • 物件選び: 希望するリフォーム(特に間取り変更)が可能な構造か、管理規約に厳しい制約がないかなど、物件探しの段階からリフォームの視点を持って内見することが重要です。この段階からリフォーム会社に同行してもらうのも有効です。

ローンは組めますか?

はい、組めます。 リフォーム費用を賄うためのローンには、主に「リフォームローン」と「住宅ローン」の2種類があります。

  • リフォームローン: リフォーム資金専用のローンです。担保が不要な「無担保型」と、自宅を担保に入れる「有担保型」があります。無担保型は手続きが早いですが金利は高め、有担保型は低金利ですが審査に時間がかかります。工事の規模や金額に応じて選びます。
  • 住宅ローン(一体型・借り換え):
    • 中古マンション購入と同時にリフォームする場合は、物件価格と工事費をまとめる「一体型住宅ローン」が低金利でおすすめです。
    • すでに住宅ローンを返済中の場合は、現在のローンを借り換える際にリフォーム費用を上乗せする「借り換えローン」も選択肢になります。

自己資金の状況やリフォームの規模に合わせて、最適な資金計画を立てることが大切です。どのローンが良いか分からない場合は、まずはリフォーム会社や金融機関の窓口で相談してみましょう。