毎日使うトイレは、家の中でも特に快適性を左右する重要な空間です。古くなった、掃除がしにくい、水道代が気になる、といった悩みを解決するために、トイレリフォームを検討する方は少なくありません。しかし、いざリフォームを考え始めると、「一体いくらかかるのだろう?」という費用の疑問が真っ先に浮かぶのではないでしょうか。
この記事では、トイレリフォームにかかる費用の全体像を徹底的に解説します。費用相場はもちろん、その詳細な内訳、価格帯別に実現できるリフォーム内容、そして費用を賢く抑えるための具体的なコツまで、網羅的にご紹介します。 これからトイレリフォームを計画する方が、予算に合わせて最適なプランを選び、満足のいくリフォームを実現するための一助となれば幸いです。
目次
トイレリフォームの費用相場
トイレリフォームの費用相場は、一般的に10万円~50万円程度と非常に幅広くなっています。多くの場合、20万円~30万円が最も一般的な価格帯と言えるでしょう。しかし、なぜこれほどまでに費用に差が生まれるのでしょうか。その理由は、リフォームの内容が多岐にわたるためです。
トイレリフォームの費用を左右する主な要因は、以下の3つです。
- トイレ本体の種類とグレード:
便器とタンクが分かれている安価な「組み合わせトイレ」から、デザイン性の高い「一体型トイレ」、省スペースで高機能な「タンクレストイレ」まで、様々な種類があります。さらに、同じ種類の中でも、温水洗浄、自動開閉、自動洗浄、節水性能などの機能によって価格は大きく変動します。最新の高機能モデルを選ぶと本体価格だけで30万円以上になることもあります。 - 工事の範囲と内容:
最もシンプルなのは、既存の洋式トイレを新しい洋式トイレに交換するだけの工事です。この場合、工事費は比較的安く収まります。しかし、「和式トイレから洋式トイレへ変更する」「手洗い器を新たに設置する」「トイレの場所を移動(移設)する」といった工事には、床の解体・造作や給排水管の移設、電気工事などが必要となり、費用は大幅に高くなります。 - 内装工事の有無と範囲:
トイレ本体の交換と同時に、壁紙(クロス)や床材を新しくするかどうかも費用に影響します。壁紙と床材の張替えを同時に行うと、5万円~10万円程度の追加費用がかかるのが一般的です。壁や床が汚れていたり、臭いが染み付いていたりする場合には、内装も一新することで、トイレ空間全体が生まれ変わります。
費用相場 | 主なリフォーム内容 |
---|---|
~20万円 | ・シンプルな機能の組み合わせトイレへの交換(本体のみ) |
20万円~30万円 | ・一体型トイレへの交換 ・組み合わせトイレ交換+壁・床の内装工事 |
30万円~50万円 | ・タンクレストイレへの交換 ・手洗いカウンターの新設 ・和式から洋式への基本的なリフォーム |
50万円~ | ・ハイグレードなタンクレストイレへの交換 ・バリアフリー化を含む大規模リフォーム ・トイレの移設・増設 |
このように、トイレリフォームの費用は「どのトイレを選び、どこまで工事を行うか」によって決まります。まずは、ご自身の「トイレに関する悩み」や「リフォームで実現したいこと」を明確にすることが、適切な予算を把握する第一歩となります。例えば、「とにかく安く新しいトイレにしたい」という場合と、「掃除が楽でおしゃれな空間にしたい」という場合では、選ぶべきプランも費用も全く異なります。
この記事の後半では、これらの要因をさらに深掘りし、価格帯別・工事内容別にできることや、費用を抑える具体的な方法について詳しく解説していきます。ご自身の希望と予算に合ったリフォーム計画を立てるための参考にしてください。
トイレリフォーム費用の内訳
トイレリフォームの総額は、大きく分けて「トイレ本体の価格」「基本的な工事費用」「内装工事の費用」「その他の費用」の4つで構成されています。見積書を確認する際にも、これらの内訳を理解しておくことで、提示された金額が妥当かどうかを判断しやすくなります。ここでは、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
トイレ本体の価格
リフォーム費用の中で最も大きな割合を占めるのが、新しいトイレ便器の価格です。トイレは大きく3つの種類に分けられ、それぞれ価格帯が異なります。
- 組み合わせトイレ: 便器、便座、タンクがそれぞれ独立しているタイプ。価格は5万円~15万円程度と最も安価です。便座(ウォシュレットなど)が故障した場合でも、便座だけを交換できるのがメリットです。
- 一体型トイレ: 便器、便座、タンクが一体となっているタイプ。凹凸が少なく、掃除がしやすいのが特徴です。価格は10万円~25万円程度。デザイン性に優れていますが、一部が故障した際に便器ごと交換が必要になる場合があります。
- タンクレストイレ: 貯水タンクがなく、水道から直接水を流すタイプ。コンパクトでスタイリッシュなため、トイレ空間を広く見せられます。価格は15万円~40万円以上と高価ですが、高い節水性能や連続で水を流せるなどのメリットがあります。
さらに、これらの種類に加えて、以下のような機能の有無によって価格は変動します。
- 温水洗浄機能
- 便座の暖房機能
- 便ふたの自動開閉機能
- 自動洗浄機能
- 脱臭・除菌機能
- 節水・節電機能
多機能でハイグレードなモデルほど価格は高くなります。 予算を考える際には、自分や家族にとって本当に必要な機能は何かを見極めることが重要です。「あったら便利」という程度の機能であれば、グレードを少し下げることで、費用を大幅に抑えられる可能性があります。
基本的な工事費用
トイレ本体を設置するために必要な工事の費用です。既存の洋式トイレを新しい洋式トイレに交換する場合、基本的な工事費用の相場は3万円~6万円程度です。これには通常、以下の作業が含まれます。
工事項目 | 内容 | 費用目安 |
---|---|---|
養生費 | 工事中に床や壁を傷つけないように保護シートで覆う費用。 | 3,000円~5,000円 |
既存トイレの撤去 | 古い便器やタンクを取り外す作業。 | 5,000円~10,000円 |
廃材処分費 | 撤去した古い便器などを処分するための費用。 | 5,000円~10,000円 |
新規トイレの設置 | 新しい便器やタンクを取り付け、床に固定する作業。 | 15,000円~25,000円 |
給排水管の接続 | 新しいトイレに給水管と排水管を接続する作業。 | 5,000円~10,000円 |
これらの費用は、リフォーム会社の見積もりでは「基本工事費」や「標準工事費」として一式で記載されることもあります。ただし、和式から洋式へのリフォームや、トイレの移設など、配管工事や電気工事、大工工事が伴う場合は、これらの費用に加えて別途工事費が発生します。 例えば、床の解体や段差の解消、コンセントの新設などが必要になると、追加で数万円から十数万円の費用がかかることも珍しくありません。
内装工事の費用
トイレ本体を交換するタイミングで、壁紙(クロス)や床材も一緒にリフォームするケースは非常に多いです。長年使用したトイレでは、壁や床に臭いや黄ばみが染み付いていることがあり、便器だけを新しくしても、古びた印象が残ってしまうためです。内装を一新することで、清潔感のある快適な空間に生まれ変わります。
- 壁紙(クロス)の張替え:
一般的な広さ(約1坪、畳2枚分)のトイレで、天井と壁4面のクロスを張り替える場合の費用相場は3万円~5万円程度です。選ぶクロスの種類(量産品か高機能品か)によって価格は変動します。消臭効果や防カビ効果のある機能性クロスを選ぶと、少し高くなります。 - 床材の張替え:
トイレの床材には、水に強く掃除がしやすいクッションフロアがよく使われます。同じく約1坪の広さでクッションフロアに張り替える場合の費用相場は2万円~4万円程度です。フローリングやフロアタイルなど、他の床材を選ぶ場合は、材料費や施工費がこれより高くなる傾向があります。
壁紙と床材の張替えを同時に行うと、総額で5万円~8万円程度が目安となります。トイレ本体の交換と同時に行うことで、職人が出入りする回数が一度で済み、別々に依頼するよりも人件費や諸経費を抑えられるというメリットがあります。
その他の費用
上記以外にも、リフォームにはいくつかの費用がかかる場合があります。
- 諸経費:
現場管理費、駐車場代、運搬費など、工事を円滑に進めるために必要な経費です。リフォーム会社によって項目や計算方法は異なりますが、工事費総額の5%~15%程度が目安とされています。見積書に「諸経費」や「現場管理費」といった項目がないか確認しましょう。 - オプション工事費:
標準的な工事に加えて、利用者の希望に応じて行われる追加工事の費用です。- 手すりの設置: 1本あたり1万円~3万円
- 手洗いカウンターの新設: 5万円~20万円(給排水工事の有無による)
- 収納棚の設置: 2万円~10万円
- コンセントの増設: 1万円~3万円
- 換気扇の交換: 3万円~5万円
これらの費用を総合すると、トイレリフォームの総額が見えてきます。見積もりを取る際は、総額だけでなく、どの項目にどれくらいの費用がかかっているのか、内訳をしっかりと確認することが、後々のトラブルを防ぎ、納得のいくリフォームにつながります。
【価格帯別】トイレリフォームでできること
トイレリフォームの費用は、選ぶトイレのグレードや工事の範囲によって大きく変わります。ここでは、予算に応じてどのようなリフォームが可能なのかを、具体的な価格帯別に解説します。ご自身の予算と希望を照らし合わせながら、リフォーム計画の参考にしてください。
20万円未満でできること
予算20万円未満のリフォームは、「トイレ本体の交換」が中心となります。古くなったトイレの機能を回復させたい、最低限のコストで新しいものにしたい、という場合に適した価格帯です。
- 主なリフォーム内容:
- 洋式トイレから洋式トイレへの交換: 既存のトイレと同じタイプの、シンプルな機能を持つ「組み合わせトイレ」への交換がメインです。
- 温水洗浄便座の追加・交換: 既存の便器はそのままに、温水洗浄機能付きの便座(ウォシュレットなど)を新たに取り付ける、または交換する工事もこの価格帯で可能です。
- 選べるトイレの種類と機能:
この価格帯で選べるのは、主に便器・タンク・便座が分かれた「組み合わせトイレ」のベーシックモデルです。機能としては、暖房便座や基本的な温水洗浄機能が付いているものが中心となります。自動開閉や自動洗浄といった付加機能は含まれないことがほとんどです。 - 工事の範囲:
工事は、古いトイレの撤去と新しいトイレの設置、給排水管の接続といった基本的な作業に限られます。壁紙や床の張替えといった内装工事は含まれないことが多く、内装も同時にリフォームしたい場合は予算オーバーになる可能性があります。 - 具体例:
「築20年の戸建て住宅で、トイレの水漏れが気になり始めた。特に高機能は求めないので、できるだけ安く新しいトイレに交換したい」というケース。この場合、基本的な機能を持つ組み合わせトイレを選び、本体価格と基本工事費で合計15万円程度のリフォームが実現できます。
20万円~30万円でできること
20万円から30万円は、トイレリフォームで最も一般的な価格帯です。選択肢の幅が広がり、機能性やデザイン性を少し重視したリフォームが可能になります。
- 主なリフォーム内容:
- 人気の一体型トイレへの交換: デザイン性が高く、掃除のしやすい「一体型トイレ」への交換がこの価格帯の主流です。
- 組み合わせトイレの交換+内装リフォーム: 機能性の高い組み合わせトイレを選び、同時に壁紙(クロス)と床材の張替えも行うプランです。トイレ空間全体をリフレッシュできます。
- 選べるトイレの種類と機能:
便器とタンクが一体化した「一体型トイレ」のミドルグレードモデルが選択肢に入ります。節水性能が高いモデルや、便ふたの自動開閉、オート洗浄、強力な脱臭機能などが付いた製品を選ぶことができます。組み合わせトイレであれば、より高機能なモデルを選択可能です。 - 工事の範囲:
トイレ本体の交換に加えて、壁紙と床材の張替えといった内装工事まで含めることが可能になります。トイレ本体だけを新しくするのではなく、空間全体の印象を明るく、清潔にしたい場合に最適なプランです。 - 具体例:
「掃除がしにくく、見た目も古くなったトイレを何とかしたい。新しいトイレは凹凸が少ないものがよく、壁の黄ばみも気になるので一緒にきれいにしたい」というケース。この場合、掃除のしやすい一体型トイレを選び、壁と床の内装工事もセットで行うことで、総額28万円程度のリフォームが考えられます。
30万円~50万円でできること
予算30万円から50万円になると、より高機能・高デザインなリフォームが実現できます。 トイレ空間の快適性や利便性を大きく向上させたい方におすすめの価格帯です。
- 主なリフォーム内容:
- タンクレストイレへの交換: 省スペースでスタイリッシュな「タンクレストイレ」へのリフォームが視野に入ります。
- 手洗いカウンターの新設: タンクレストイレの設置に伴い、独立した手洗い器やカウンターを新たに設けることができます。
- 和式から洋式へのリフォーム: 床の解体や給排水管の工事を伴う、和式トイレから洋式トイレへの変更工事も、内容によってはこの価格帯で可能です。
- 選べるトイレの種類と機能:
この価格帯の主役は「タンクレストイレ」です。水道直結式でタンクがないため、トイレ空間がすっきりとし、広く感じられます。除菌機能やスマートフォン連携など、各メーカーの最新機能を搭載したハイグレードモデルも選択できます。 - 工事の範囲:
トイレ本体の交換や内装工事に加えて、手洗い器を設置するための給排水工事や、和式から洋式に変更するための床の造作工事など、より専門的な工事が可能になります。収納キャビネットを設置して、デザイン性と収納力を両立させることもできます。 - 具体例:
「狭くて暗い印象のトイレを、広くおしゃれな空間にしたい。最新のタンクレストイレに憧れており、来客も使うので独立した手洗いも欲しい」というケース。タンクレストイレと手洗いカウンターを設置し、内装もデザイン性の高いものに一新するリフォームで、総額45万円程度が目安となります。
50万円以上でできること
予算50万円以上は、こだわりの空間を実現するためのハイエンドなリフォームです。間取りの変更や、デザイン、機能性のすべてにこだわりたい場合に適しています。
- 主なリフォーム内容:
- トイレの移設・増設: 家の間取りを変更し、トイレを別の場所に移動させたり、新たに増設したりする大規模な工事です。
- バリアフリー化を含むフルリフォーム: 手すりの設置や床の段差解消、引き戸への変更など、将来を見据えた本格的なバリアフリー対応リフォーム。
- 最高級グレードのトイレと内装: 各メーカーの最上位機種のトイレを導入し、内装材もタイルや高級な壁紙など、デザインに徹底的にこだわった素材を選ぶことができます。
- 工事の範囲:
既存のトイレ空間の枠を超えたリフォームが可能です。壁の撤去や新設、大規模な給排水管・電気配線の工事などが含まれます。建物の構造にも関わるため、建築確認申請が必要になる場合もあります。 - 具体例:
「親の介護のために、寝室の隣に新しくトイレを増設したい。車椅子でも利用しやすいように、スペースを広く取り、引き戸や手すりを設置したい」というケース。この場合、増設に伴う大工工事、電気工事、給排水工事、バリアフリー対応の設備導入などが必要となり、費用は80万円以上になることも考えられます。
このように、予算によって実現できるリフォーム内容は大きく異なります。まずはご自身の希望と上限予算を明確にし、リフォーム会社に相談することで、現実的で満足度の高いプランを立てることができます。
【工事内容別】トイレリフォームの費用相場
トイレリフォームの費用は、具体的にどのような工事を行うかによって大きく変動します。ここでは、代表的な工事内容ごとに、費用の相場や工事のポイントを詳しく解説します。
工事内容 | 費用相場(トイレ本体価格を除く工事費) | 工事期間の目安 |
---|---|---|
洋式トイレの交換 | 3万円 ~ 6万円 | 半日 ~ 1日 |
和式から洋式へのリフォーム | 15万円 ~ 30万円 | 2日 ~ 4日 |
内装(壁紙・床)のリフォーム | 5万円 ~ 8万円 | 1日 ~ 2日 |
手洗い場の新設 | 5万円 ~ 20万円 | 1日 ~ 2日 |
バリアフリー化リフォーム | 5万円 ~ 25万円 | 1日 ~ 3日 |
トイレの増設・移設 | 40万円 ~ 80万円以上 | 4日 ~ 1週間以上 |
※上記はあくまで工事費の目安であり、選ぶトイレ本体の価格は別途かかります。
洋式トイレの交換
現在使用している洋式トイレを、新しい洋式トイレに交換する最も一般的なリフォームです。
- 費用相場: 3万円~6万円(工事費のみ)
- 工事内容: 既存トイレの撤去・処分、新しいトイレの設置、給排水管の接続作業が主な内容です。配管の位置が同じであれば、比較的簡単な工事で済みます。
- ポイント: トイレリフォームの中で最も手軽で短期間に完了します。 工事時間は半日から1日程度で、その日のうちに新しいトイレが使えるようになります。費用を抑えたい場合は、この工事が基本となります。ただし、床に古い便器の設置跡が残ることがあるため、気になる場合は床材の張替えも同時に検討するのがおすすめです。
和式から洋式へのリフォーム
和式のいわゆる「汽車便」や「半和式」と呼ばれるトイレを、現代的な洋式トイレに変更するリフォームです。
- 費用相場: 15万円~30万円(工事費のみ)
- 工事内容: 和式トイレは床に埋め込まれているため、まず床を解体して便器を撤去する必要があります。その後、排水管の位置を調整し、床を平らにするための造作工事を行います。壁にコンセントがない場合は、温水洗浄便座用の電源を確保するための電気工事も必要です。
- ポイント: 工事が大掛かりになるため、費用も期間もかかります。 工事期間は2日~4日程度を見込む必要があります。費用は高くなりますが、膝への負担が軽減され、掃除もしやすくなるなど、生活の質を大きく向上させるリフォームです。段差を解消するバリアフリー工事を同時に行うことも多く、その場合は補助金の対象になる可能性があります。
内装(壁紙・床)のリフォーム
トイレ本体はそのまま、あるいは交換と同時に、壁紙(クロス)や床材を新しくするリフォームです。
- 費用相場: 5万円~8万円(壁紙と床材の両方を張替える場合)
- 工事内容: 古い壁紙や床材を剥がし、新しいものに張り替えます。トイレの広さは1坪(約2畳)程度が一般的なので、比較的短時間で完了します。
- ポイント: トイレ本体を交換する際に同時に行うのが最も効率的です。 便器を設置する前に作業ができるため施工がしやすく、便器の周りなど細部まできれいに仕上げることができます。また、業者を別々に手配する手間や費用も節約できます。消臭や防カビ、汚れ防止などの機能性を持った内装材を選ぶと、より快適な空間を維持しやすくなります。
手洗い場の新設
特にタンクレストイレを設置する場合に、独立した手洗い器を新たに取り付けるリフォームです。
- 費用相場: 5万円~20万円
- 工事内容: 費用は、給排水管の工事が必要かどうかで大きく変わります。トイレ室内に既設の給排水管から分岐させて接続できる場合は比較的安価ですが、近くに配管がなく、床下や壁内を通して新たに配管を引き込む必要がある場合は高額になります。
- ポイント: コンパクトな手洗い器から、収納キャビネットと一体化したカウンタータイプまで、様々なデザインがあります。設置にはある程度のスペースが必要なため、事前にトイレ内の寸法を正確に測り、設置可能かどうかを確認することが重要です。
バリアフリー化リフォーム
高齢者や身体が不自由な方でも安全・快適にトイレを使えるようにするためのリフォームです。
- 費用相場: 5万円~25万円(工事内容による)
- 工事内容:
- 手すりの設置: 2万円~5万円
- 床の段差解消: 3万円~8万円
- 開き戸から引き戸への交換: 8万円~20万円
- 車椅子対応のためのスペース拡張: 20万円以上
- ポイント: 介護保険の住宅改修費支給制度や、国・自治体の補助金制度を利用できる場合があります。 これらの制度を活用することで、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。利用には要件があるため、ケアマネージャーやリフォーム会社、自治体の窓口に事前に相談することをおすすめします。
トイレの増設・移設
家族が増えた、あるいは生活動線を改善するために、トイレを新しく設けたり、場所を移動させたりするリフォームです。
- 費用相場: 40万円~80万円以上
- 工事内容: 最も大掛かりで高額なリフォームです。新しい場所に給排水管と換気扇の排気ダクト、電気配線を引く必要があります。また、トイレを設置するためのスペースを確保する大工工事(壁の造作など)も伴います。
- ポイント: 建物の構造によっては、増設・移設が難しい場合があります。特にマンションの場合は、配管の制約が大きく、実現不可能なケースも少なくありません。計画段階で、リフォーム会社に実現可能かどうかをしっかりと現地調査してもらうことが不可欠です。 また、工事規模によっては建築確認申請が必要になることもあります。
費用を左右するトイレ本体の種類と価格
トイレリフォームの総費用に最も大きな影響を与えるのが、トイレ本体の価格です。デザインや機能性、そして価格帯が異なる「組み合わせトイレ」「一体型トイレ」「タンクレストイレ」の3種類について、それぞれの特徴を詳しく比較・解説します。ご自身のライフスタイルや予算に合ったトイレを選ぶための参考にしてください。
種類 | 特徴 | 価格相場(本体) | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
組み合わせトイレ | 便器・タンク・便座が独立している伝統的なタイプ。 | 5万円 ~ 15万円 | ・価格が最も安い ・便座のみの交換が可能 ・製品の選択肢が豊富 |
・凹凸が多く掃除がしにくい ・タンクがあるためスペースが必要 ・デザインの自由度が低い |
一体型トイレ | 便器・タンク・便座が一体化しているタイプ。 | 10万円 ~ 25万円 | ・凹凸が少なく掃除が楽 ・デザイン性が高い ・節水性能に優れる製品が多い |
・便座のみの交換ができない ・故障時に全体交換になる可能性 ・組み合わせトイレより高価 |
タンクレストイレ | 水道直結でタンクがないコンパクトなタイプ。 | 15万円 ~ 40万円以上 | ・省スペースで空間が広く見える ・デザイン性が非常に高い ・連続で水を流せる ・節水性能が最も高い |
・価格が最も高い ・手洗い器が別途必要 ・水圧が低いと設置できない ・停電時に流しにくい場合がある |
組み合わせトイレ
便器、貯水タンク、便座(ウォシュレットなど)がそれぞれ独立したパーツで構成されている、最もスタンダードなタイプのトイレです。
- メリット:
最大のメリットは価格の安さです。リフォーム費用をできるだけ抑えたい場合には第一の選択肢となります。また、各パーツが独立しているため、例えば温水洗浄便座が故障した場合でも、便座だけを交換することが可能です。これにより、長期的なメンテナンスコストを抑えられる可能性があります。様々なメーカーから多種多様な製品が販売されており、予算や好みに合わせて便器と便座を自由に組み合わせられるのも魅力です。 - デメリット:
パーツが分かれているため、便器とタンクの間や、便器と床の接地面などに凹凸や隙間が多く、汚れが溜まりやすく掃除に手間がかかる点がデメリットです。また、背面に大きな貯水タンクがあるため、どうしても圧迫感が出てしまい、トイレ空間が狭く感じられることがあります。デザイン性も、一体型やタンクレストイレと比較すると見劣りする傾向があります。 - こんな方におすすめ:
- とにかくリフォーム費用を安く抑えたい方
- 将来的なメンテナンス性を重視する方
- 機能はシンプルで十分だと考えている方
一体型トイレ
便器、タンク、温水洗浄便座が一体としてデザインされているトイレです。組み合わせトイレとタンクレストイレの中間的な位置づけとなります。
- メリット:
最大のメリットはデザイン性と清掃性の両立です。タンクと便器が滑らかにつながっているため凹凸が少なく、サッと拭くだけで掃除が完了します。見た目もすっきりとしており、組み合わせトイレよりもモダンな印象を与えます。また、タンクと便座がセットで設計されているため、節水性能などの機能面で最適化されている製品が多いのも特徴です。 - デメリット:
一体となっているため、便座部分だけが故障した場合でも、原則として部分的な交換はできません。 メーカーの修理対応期間が終了すると、便器ごと交換する必要が出てくる可能性があります。価格も組み合わせトイレよりは高くなります。 - こんな方におすすめ:
- 掃除のしやすさを重視する方
- 費用を抑えつつも、すっきりとしたデザインを求める方
- 機能性と価格のバランスを取りたい方
タンクレストイレ
その名の通り、水を貯めるタンクがなく、水道管と直接つないで洗浄水を供給するタイプのトイレです。
- メリット:
圧倒的なデザイン性の高さと省スペース性が最大の魅力です。タンクがない分、トイレ空間に奥行きが生まれ、非常にすっきりと広く見せることができます。デザインも洗練されたものが多く、おしゃれなトイレ空間を演出したい場合に最適です。また、水道直結のため、一度流した後もすぐに次の洗浄ができ、家族が連続して使用する場合にも便利です。節水性能も3種類の中で最も高い傾向にあります。 - デメリット:
価格が最も高価な点が一番のデメリットです。また、タンクに付いている手洗い器がないため、トイレ室内に別途手洗い場を設ける必要があります。 これに伴い、追加の工事費やスペースが必要になります。さらに、設置には一定以上の水圧が必要なため、高層階のマンションや古い戸建て住宅では、水圧が足りずに設置できない場合があります。事前にリフォーム会社による水圧の確認が必須です。停電時には、手動で水を流すための操作が必要になる製品が多い点も留意すべきです。 - こんな方におすすめ:
- トイレ空間のデザイン性を最優先したい方
- 狭いトイレを広く見せたい方
- 高い節水性能を求める方
- 家族の人数が多く、トイレの使用頻度が高い家庭
どのタイプのトイレを選ぶかによって、リフォームの満足度と費用は大きく変わります。 価格、デザイン、清掃性、機能性、そしてご自宅の設置条件などを総合的に比較検討し、最適な一台を見つけましょう。
トイレリフォームの費用を安く抑える6つのコツ
トイレリフォームは決して安い買い物ではありません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を賢く抑えることが可能です。ここでは、リフォーム費用を節約するための具体的な6つのコツをご紹介します。
① 補助金・助成金制度を活用する
トイレリフォームの内容によっては、国や地方自治体が実施している補助金・助成金制度を利用できる場合があります。
- 対象となる工事の例:
- 節水トイレの設置: 環境負荷軽減を目的とした補助金。
- バリアフリー改修: 手すりの設置、段差解消、和式から洋式への変更など。
- 断熱改修: 住宅全体の性能向上の一環としてトイレの窓を断熱化する場合など。
これらの制度をうまく活用すれば、数万円から十数万円の補助を受けられる可能性があります。 制度には予算の上限や申請期間が定められているため、リフォームを計画する段階で、利用できる制度がないかを確認することが重要です。詳しくは後述の「トイレリフォームで活用できる補助金・助成金制度」の章で解説しますが、まずはリフォーム会社やお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
② トイレ本体のグレードや機能を見直す
リフォーム費用の中で大きなウェイトを占めるのがトイレ本体の価格です。最新モデルには魅力的な機能がたくさん搭載されていますが、本当にすべてが必要でしょうか。
- 見直しのポイント:
- 便ふたの自動開閉: あると便利ですが、手動でも問題ないかもしれません。
- スマートフォン連携: 設定の変更や健康管理に役立ちますが、使用頻度は高いでしょうか。
- 最高級の除菌機能: 各社が様々な除菌機能を打ち出していますが、標準的な機能で十分な場合もあります。
「あったら便利」という機能と、「ないと困る」という機能を冷静に仕分けることが、コストダウンの鍵です。例えば、自動開閉機能をなくしてミドルグレードのモデルにするだけで、数万円の費用を削減できます。ショールームなどで実際に機能を確認し、自分や家族のライフスタイルに本当に必要なものだけを選ぶようにしましょう。
③ 複数社から相見積もりをとる
リフォーム会社を1社に絞って話を進めるのではなく、必ず2~3社から見積もり(相見積もり)を取り、比較検討することは、費用を適正化するための鉄則です。
- 相見積もりのメリット:
- 価格競争が働く: 他社と比較されていることを知ることで、業者側もより競争力のある価格を提示しやすくなります。
- 費用の相場感がわかる: 複数の見積もりを見ることで、自分の希望するリフォーム内容の適正な価格帯を把握できます。
- 悪徳業者を避けられる: 極端に高すぎたり安すぎたりする業者を見分ける判断材料になります。
見積もりを比較する際は、総額だけを見るのではなく、「工事費」「本体価格」「諸経費」などの内訳を細かくチェックしましょう。「一式」という表記が多く、詳細が不明瞭な見積もりを出す業者は注意が必要です。誠実な業者は、なぜその価格になるのかを丁寧に説明してくれます。
④ 工事の範囲を必要最低限にする
リフォームの範囲を広げれば、当然費用は上がります。費用を抑えるためには、工事の範囲を本当に必要な箇所に絞ることが大切です。
- 具体例:
- 内装はそのままに: 壁紙や床材がまだ綺麗で、汚れや臭いが気にならないのであれば、今回はトイレ本体の交換のみに留める。
- 既存の設備を活かす: タオル掛けや収納棚、換気扇などがまだ使える状態であれば、交換せずにそのまま利用する。
ただし、注意点もあります。例えば、トイレ本体を交換した後に「やっぱり内装も新しくしたい」となると、再度業者を手配する手間と費用がかかり、結果的に割高になってしまう可能性があります。トイレ本体を交換する際は、便器の設置跡が床に残ることも多いため、床材の張替えだけは同時に行うなど、長期的な視点でバランスを考えて判断することが重要です。
⑤ ショールームの展示品などを狙う
リフォーム会社やメーカーのショールームでは、展示品を入れ替えるタイミングで、古い展示品を格安で販売することがあります。
- メリット: 最新モデルではないものの、未使用の製品を定価の半額以下といった破格の値段で購入できる可能性があります。
- 注意点:
- 現品限りで、選択肢は限られます。
- 細かい傷や汚れが付いている場合があります。
- メーカー保証の期間が通常より短い、または適用されないケースもあります。
希望の製品がタイミングよく見つかるとは限りませんが、リフォームの計画期間に余裕がある場合は、ショールームのセール情報をこまめにチェックしてみる価値はあるでしょう。
⑥ 給排水管の工事が不要な範囲で計画する
トイレリフォームにおいて、費用が高額になる大きな要因の一つが「給排水管の工事」です。
- 工事費が高くなるケース:
- 和式から洋式へのリフォーム(排水管の位置変更が必要)
- トイレの場所を移動させる移設工事
- 壁排水から床排水への変更(またはその逆)
これらの工事は、床や壁を解体する必要があり、工事費が跳ね上がります。費用を抑えるには、できるだけ既存の給排水管の位置をそのまま使えるリフォーム計画を立てることが効果的です。幸い、最近では「リフォーム対応便器」という、ある程度の配管位置のズレに対応できるアジャスター付きの製品も多く販売されています。このような製品を選ぶことで、大掛かりな配管工事を避け、コストを抑えられる場合があります。
トイレリフォームで活用できる補助金・助成金制度
トイレリフォームは、特定の条件を満たすことで国や地方自治体、介護保険制度から補助金や助成金を受けられる場合があります。これらの制度を賢く利用することで、リフォーム費用を大幅に軽減できます。ここでは、代表的な制度について解説します。
※制度の内容は年度によって変更されるため、必ず最新の情報を各公式サイトでご確認ください。
国の補助金制度
国が主導する住宅支援事業の中には、トイレリフォームが対象となるものがあります。
子育てエコホーム支援事業
エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年のカーボンニュートラルの実現を図る事業です。
- 対象となる主な工事と補助額(2024年度の例):
- 節水型トイレの設置: 1台あたり22,000円
- 手すりの設置: 1戸あたり5,000円
- 段差解消: 1戸あたり6,000円
- 衝撃緩和畳の設置: 1戸あたり18,000円
- ポイント:
- リフォームの場合、世帯を問わず対象となります。
- 補助額の合計が5万円以上でないと申請できません。そのため、トイレリフォーム単体ではなく、お風呂のシャワーを節水水栓に交換する(30,000円)、窓の断熱改修を行う、などの工事と組み合わせる必要があります。
- 申請は工事を行うリフォーム事業者が行います。
参照:国土交通省「子育てエコホーム支援事業」公式サイト
長期優良住宅化リフォーム推進事業
良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行う事業です。
- 対象となる主な工事:
- 住宅の性能を向上させる必須工事(耐震性、省エネルギー性など)に加えて、トイレのバリアフリー改修(手すり設置、段差解消など)や節水トイレへの交換が補助対象に含まれます。
- ポイント:
- リフォーム後の住宅が一定の基準を満たす必要があります。
- 補助額は工事内容や住宅の性能に応じて決まり、補助率や上限額が設定されています。
- 比較的規模の大きなリフォームを対象とした制度です。
参照:国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業」公式サイト
地方自治体の補助金制度
お住まいの市区町村が、独自にリフォームに関する補助金・助成金制度を設けている場合があります。
- 制度の例:
- バリアフリー改修助成: 高齢者や障害を持つ方がいる世帯を対象とした手すり設置や段差解消工事への助成。
- 省エネ改修助成: 節水型トイレの設置に対する助成。
- 地元業者利用促進補助: 市区町村内のリフォーム業者に工事を発注した場合に補助金が出る制度。
- 三世代同居・近居支援: 子育て世帯と親世帯が同居・近居するために行う住宅リフォームへの補助。
制度の有無、対象となる工事、補助額、申請条件は自治体によって全く異なります。 まずは「〇〇市(お住まいの自治体名) トイレリフォーム 補助金」といったキーワードで検索するか、自治体のホームページや担当窓口(住宅課、福祉課など)で確認してみましょう。
介護保険制度
介護保険の要介護・要支援認定を受けている方が、自宅で安全に暮らし続けるために住宅改修を行う場合、その費用の一部が支給されます。
- 対象となる主なトイレ関連工事:
- 手すりの取付け
- 床の段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床材の変更(例:滑りやすいタイルからクッションフロアへの変更)
- 引き戸等への扉の取替え
- 和式便器から洋式便器等への便器の取替え
- 支給限度額:
- 要介護度にかかわらず、対象となる住宅改修費20万円までが支給の対象となります。
- 自己負担は所得に応じて1割~3割なので、最大で18万円(20万円の9割)の支給が受けられます。
- 申請の注意点:
- 必ず工事の「前」に、市区町村への事前申請が必要です。 工事後の申請は認められませんので注意してください。
- 申請にはケアマネージャーが作成する「理由書」などが必要となります。まずは担当のケアマネージャーに相談することが第一歩です。
参照:厚生労働省ウェブサイト(介護保険における住宅改修)
これらの制度は、知っているかどうかで費用負担が大きく変わってきます。リフォーム計画を立てる初期段階で、利用可能な制度がないかを積極的に調べ、賢く活用しましょう。
失敗しないトイレリフォーム業者の選び方
トイレリフォームの成功は、良いリフォーム業者と出会えるかどうかにかかっています。価格の安さだけで選んでしまうと、「工事が雑だった」「追加料金を請求された」「すぐに不具合が出た」といったトラブルにつながりかねません。ここでは、信頼できる業者を見極めるための3つの重要なポイントを解説します。
水まわりリフォームの実績を確認する
トイレリフォームは、単に便器を置くだけの作業ではありません。給排水管の接続や、水漏れを防ぐための確実な施工など、水まわり特有の専門的な知識と技術が求められます。
- なぜ実績が重要か?:
- 専門知識: トイレの種類ごとの特性や、建物の構造に合わせた最適な配管方法を熟知しています。
- トラブル対応力: 工事中に予期せぬ問題(古い配管の劣化など)が発生した場合でも、豊富な経験に基づいて的確に対応できます。
- 提案力: 利用者の悩みや希望に対し、専門的な視点から最適なトイレ機種や工事内容を提案してくれます。
- 実績の確認方法:
- 会社のウェブサイトで施工事例を見る: これまでに手掛けたトイレリフォームの写真や内容が豊富に掲載されているかを確認しましょう。ビフォー・アフターの写真だけでなく、どのような課題をどう解決したのかが具体的に書かれていると、より信頼できます。
- 保有資格を確認する: 「給水装置工事主任技術者」や「排水設備工事責任技術者」、「管工事施工管理技士」といった資格を持つスタッフが在籍しているかどうかも、技術力を測る一つの指標になります。
- 建設業許可の有無: 500万円以上の大規模なリフォームでなければ必須ではありませんが、建設業許可を受けている会社は、財産的基礎や経営経験などの一定の要件をクリアしており、信頼性の一つの目安となります。
特に和式から洋式へのリフォームや、トイレの移設など、大掛かりな工事を検討している場合は、水まわり工事の実績が豊富な業者を選ぶことが極めて重要です。
見積書の内容が明確かチェックする
複数の業者から見積もりを取ったら、その内容をじっくり比較検討します。このとき、総額の安さだけで判断してはいけません。誠実な業者の見積書は、内容が詳細で分かりやすいという共通点があります。
- チェックすべきポイント:
- 「一式」表記が多すぎないか: 「〇〇工事一式」といった大雑把な表記ばかりで、何にいくらかかるのかが不明瞭な見積書は要注意です。優良な業者は、使用する製品の型番、単価、数量、各工事項目の費用などを明確に記載します。
- 諸経費の内訳: 諸経費や現場管理費といった項目が含まれているか、またその割合が適正か(一般的には総額の5~15%程度)を確認します。不明な場合は、何のための費用なのかを質問しましょう。
- 追加料金の可能性: 「既存の床や配管の状態によっては追加費用が発生する場合があります」など、追加料金が発生しうるケースについて、事前に説明があるかどうかも重要です。考えられるリスクを正直に伝えてくれる業者は信頼できます。
- 提案内容が反映されているか: 打ち合わせで伝えた希望や要望が、きちんと見積もりに反映されているかを確認しましょう。
見積書は、その業者の仕事に対する姿勢を映す鏡です。 質問に対して丁寧に、かつ明確に答えてくれる業者を選びましょう。
保証やアフターサービスが充実しているか確認する
リフォームは工事が終われば完了ではありません。万が一、工事後に水漏れや不具合が発生した場合に、迅速かつ誠実に対応してくれるかどうかが非常に重要です。
- 確認すべき保証の種類:
- メーカー保証: トイレ本体や便座などの製品自体に対する保証です。通常1~2年程度で、メーカーが製品の不具合に対応します。
- 工事保証: リフォーム会社が独自に設けている、工事部分(配管の接続など)に対する保証です。施工が原因で発生した不具合を無償で修理してくれます。
- チェックポイント:
- 工事保証の有無と期間: リフォーム会社独自の工事保証があるか、保証期間は何年か(3年、5年、10年など)を必ず契約前に確認しましょう。保証内容を記載した「保証書」を発行してくれるかどうかも重要です。
- アフターサービスの体制: 「工事後に何かあればすぐにご連絡ください」という姿勢があるか、定期的な点検サービスを提供しているかなど、長期的に付き合える体制が整っているかを確認します。
- リフォーム瑕疵(かし)保険への加入: 業者がこの保険に加入していれば、万が一その業者が倒産してしまっても、工事の不具合(瑕疵)の補修費用が保険法人から支払われます。消費者にとっては大きな安心材料となります。
「安かろう悪かろう」の工事を避けるためにも、価格だけでなく、技術力、誠実さ、そして長期的な安心感を総合的に判断して、信頼できるパートナーを選ぶことが、満足のいくトイレリフォームへの一番の近道です。
トイレリフォームの一般的な流れ
トイレリフォームを思い立ってから、実際に新しいトイレが完成するまでには、いくつかのステップがあります。全体的な流れを把握しておくことで、スムーズに計画を進めることができます。
リフォーム会社探しと相談
すべての始まりは、リフォームを依頼する会社を探すことからです。
- 情報収集: インターネット検索(「地域名 トイレリフォーム」など)、リフォーム紹介サイト、知人からの紹介、近所の工務店など、様々な方法で候補となる会社を探します。
- 相談・問い合わせ: 気になる会社が見つかったら、電話やウェブサイトのフォームから問い合わせます。この段階で伝えるべきことは以下の通りです。
- 現状のトイレの状態と不満点: (例:「古くて掃除がしにくい」「水の流れが悪い」)
- リフォームで実現したいこと: (例:「節水トイレにしたい」「おしゃれな空間にしたい」)
- 大まかな予算: (例:「総額で30万円くらいまで」)
- 希望の工事時期
この初期相談の対応の速さや丁寧さも、業者選びの判断材料になります。
現地調査と見積もり
相談した内容をもとに、リフォーム会社の担当者が実際に自宅を訪問し、現状を確認します。これを「現地調査」と呼びます。
- 現地調査で確認すること:
- トイレの寸法: 新しいトイレが設置できるか、スペースの広さを測ります。
- 給排水管の位置と種類: 床排水か壁排水か、配管の位置などを確認します。
- 床・壁・天井の状態: 劣化や損傷の有無を確認し、内装工事の必要性を判断します。
- コンセントの有無と位置: 温水洗浄便座用の電源が確保できるかを確認します。
- 搬入経路の確認: 玄関からトイレまでの通路に、資材や新しい便器を問題なく運べるかを確認します。
現地調査の後、通常1週間~10日ほどで正式な見積書が提出されます。 「失敗しないトイレリフォーム業者の選び方」で解説した通り、この段階で2~3社から相見積もりを取り、内容を比較検討するのが一般的です。
契約
見積もり内容や提案プラン、担当者の対応などを総合的に判断し、依頼する業者を1社に決定したら、正式な工事請負契約を結びます。
- 契約前に確認すべきこと:
- 最終的な見積もり金額
- 使用するトイレや内装材の品番・色
- 工事の範囲と内容
- 工事期間(着工日と完了予定日)
- 支払い条件(契約時、着工時、完了時など、いつ・いくら支払うか)
- 保証内容とアフターサービス
- 工事請負契約書・契約約款の内容
不明な点や疑問点は、必ず契約書に署名・捺印する前にすべて解消しておきましょう。 口約束はトラブルのもとです。すべての合意事項を書面に残すことが重要です。
工事
契約が完了し、トイレ本体などの商品が納入されたら、いよいよ工事開始です。
- 工事期間の目安:
- 洋式トイレの交換のみ: 半日~1日
- 内装工事も含む場合: 1日~2日
- 和式から洋式へのリフォーム: 2日~4日
- 工事中の注意点:
- トイレが使えない時間: 工事中はトイレが使用できません。事前にリフォーム会社にトイレが使えない時間帯を確認し、近くの商業施設や公園のトイレを利用するなどの対策を考えておきましょう。
- 騒音やホコリ: 工事内容によっては、大きな音やホコリが発生します。近隣への配慮として、事前にリフォーム会社から挨拶回りなどをしてもらえるか確認しておくと安心です。
- 立ち会い: 工事中は必ずしも家にいる必要はありませんが、初日と最終日には立ち会い、工事内容の確認や最終チェックを行うのが一般的です。
完成・引き渡し
工事が完了したら、リフォーム会社の担当者と一緒に仕上がりを確認します。
- 最終チェックのポイント:
- 傷や汚れ: 便器や壁、床などに傷や汚れがないか。
- 動作確認: 水はきちんと流れるか、温水洗浄便座の各機能は正常に作動するか。
- 水漏れ: 給水管や排水管の接続部から水が漏れていないか。
- 仕上がり: 壁紙や床材のつなぎ目がきれいか、コーキングは丁寧に処理されているか。
すべての確認が終わり、問題がなければ引き渡しとなります。この際に、製品の取扱説明書や保証書(メーカー保証書、工事保証書)を受け取り、工事代金の残金を支払って、トイレリフォームはすべて完了です。新しい快適なトイレ空間での生活が始まります。